性交を認めながら「レイプでなかった」とする根拠に乏しいジャーナリスト・山口敬之と擁護派の主張

「彼女が(タクシーで)ゲロ吐くわけですよ。それでホテルに行ってですね、ゲロ吐いたから少しはまあ落ち着いて歩いてですね、荷物持ってですね、彼の部屋にいく、そこでまたいきなり吐くんですよ。部屋中に、あとトイレに。で、そんな人をさ、強姦しようと思う? 普通。いやー、気持ち悪いですよ」

(花田紀凱「月刊Hanada編集長の『週刊誌欠席裁判』」2017年10月23日公開)

 この手記を載せた『月刊Hanada』の編集長・花田紀凱がYouTubeチャンネルを設けており、その場で山口の潔白を訴えていた。その主張が、上記にあるような、ゲロを吐くような女性を強姦しようと思うわけがない、である。言わずもがな、主張、と言えるほどのものではない。山口は手記に、そこら中に吐いた伊藤について、「私はあなたのあまりの痴態に怒り呆れました」と記しているが、そもそも、伊藤の手記では、ホテルのハウスキーパーの記録に「ホテルの部屋に吐しゃ物があったという記録はみつからなかった」と、吐いた行為自体が確認されていなかった、とある。

 花田は上記のように山口をかばったが、しかし伊藤ではなく、山口自身も性交したことを否定していない。「痴態に怒り呆れ」たくせに、性交に及んでいる。山口の手記では、性交に及ぶ様子については、「ここから先、何が起きたかは、敢えて触れないことにします。あなたの行動や態度を詳述することは、あなたを傷つけることになるからです」と、人情派気取りの筆致で逃れようとしている。それもそのはず、山口は伊藤とのメールのなかで、性交に及んだことを認めているから、詳述できないのである。

 伊藤の手記には「あなたのような素敵な女性が半裸でベッドに入ってきて、そういうことになってしまった」と山口から送られてきたメールが載っている。このメールは伊藤の手記が発売される前の週刊誌報道の時点で散々報道されている。花田は山口をかばうならばもっと他の方法を考えるべきだっただろうが、あろうことか、ゲロを吐いた女なんて強姦しないよね、を理由にしている。山口は性行為に及んだことを否定できていない。

 避妊具なしで性行為に及び、妊娠の恐怖におびえる伊藤に出したメールが、「精子の活動が著しく低調だという病気です」である。つまり、避妊具なしで性交したことも否定していない。「そんな人をさ、強姦しようと思う? 普通。いやー、気持ち悪いですよ」という花田の答弁は、もしも山口を支えようとしているならば、質が悪すぎる。

 このYouTubeチャンネルでは、「デートレイプドラッグ」を混入された可能性を記した伊藤の指摘を糺弾しているが、その話をした後、花田と、トークの相手であるオンザボード代表・和田憲治(数多くの右派系言論チャンネルを運営)と、このようなやりとりをしている。そのまま書き起こす。

和田「(読者から)絶対買うわ、というふうに(コメントがきている)。……どっちのことなのか(笑)。薬のことなのか、『月刊Hanada』の来月号のことなのかわからないですけど、絶対買うわ、と」
花田「雑誌でしょうね(笑)」

(両者大笑い。スタッフも大笑い。)

和田「……書き込みがありました」
花田「ネットでしか買えないんだ、それは。それは一般に売ってないから」

 ただただ呆れる。伊藤の切なる訴えが総じて虚偽だと訴えるならば、それだけの情報を並べ、ひとつずつ細かく虚偽であると指摘し、(彼らなりの)真実を提示するべきではないのか。もちろん、そんなものを提示できないからこそ茶化して嘲笑するという選択肢にすがっているわけだが、本人だけではなく、雑誌を編纂する側までこうやって訴えを潰していることが、一応、同じ出版の世界で生息している人間として、とてつもなく恥ずかしい。

 山口も、彼を支援する人達も、事件が忘れられていくことを待ちこがれている。だからこそ彼らは事件の詳細を語るのではなく、茶化すことに専念する。ならば、繰り返し指摘する必要がある。山口の手記は、何の弁明にもなっていない。少なくとも、伊藤がそうしたように、記者会見に臨むべきだ。自分をかばってくれる雑誌と、なかばプライベート空間のFacebookのみで反論する人間を「ジャーナリスト」とは呼べない。

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「性交を認めながら「レイプでなかった」とする根拠に乏しいジャーナリスト・山口敬之と擁護派の主張」の みんなの反応 129
  • 匿名さん 通報

    「適切な捜査」ならば警察庁の中村格総括審議官は「何故、逮捕状執行を止めたのか」と問う詩織さんに車を急発進させ逃げるのではなく、きちんと応えるべきでないのか。

    136
  • 匿名さん 通報

    籠池さん、前川前事務次官、詩織さん。 彼らは堂々と国民の前に姿を表した。 逃げも隠れもしなかった。

    119
  • 匿名さん 通報

    伊藤詩織氏が自ら「中村格」に取材してる。 警察幹部が庶民から逃げる。 おかしいよな。 中村格は刑事部長から、総括審議官に出世したんだから、国会に呼んでもらいましょう!

    118
  • 匿名さん 通報

    反吐が出そうな腐った話だ!

    73
  • 匿名さん 通報

    記者クラブのメディアの記者だから「慎重な捜査を」と逮捕見送らせたのか、一般人でも同じ対応か、甚だ疑問

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