9分の7。岡田俊哉が残したこの数字が語るのは、圧巻の窮地脱出能力である。今季の岡田は満塁で9打数1安打。驚くのは7三振を奪っている点だ。
「満塁なんてまさしく神頼みですよ。神様のおかげ!」。岡田は笑ったが、野球の神様もそうそう同じ人間ばかりに御利益はもたらさないだろう。満塁でマウンドに立っていれば、誰だって三振がほしい。しかし、相手もプロだ。そんなに都合よく事が運ぶはずはないのに…。
岡田が最も満塁で躍動したのが7月3日の巨人戦(東京ドーム)。序盤から激しい点の取り合いで、3-4の3回、無死満塁でベンチは岡田を2番手に指名した。8番・炭谷。岡田はここにすべてを懸けた。
「まだ1点差だったでしょ。最初の打者しだいだなと。これはあの試合に限ったことじゃないんですけど、僕は初球を大切にするんです。力むって意味じゃなく、いかに練習と同じように自然に入っていけるか。その初球でストライクを取れたことが、あの結果にもつながったのかな」
見逃し、見逃しで追い込み、ボールを1球はさんで外角ストレートで空振り三振。「最初の打者」を打ち取った。ここがポイントだと踏んだ原監督は、9番に代打・中島を起用する。微妙な判定もあって3ボール1ストライクと追い詰められたが、スライダーを2球続けて空振りさせ、2死までこぎ着けた。1番・亀井はスライダーを二塁に打たせた。計13球。「満塁の岡田」のハイライトだった。
今季、規定投球回数に達したのはセ・リーグで9人だが、50試合以上登板したリリーバーは23人いる。最新の野球がいかにブルペンに比重が移っているかを示しているが、岡田の得点圏での被打率1割9分は23人中5位だった。ちなみに岡田を上回る満塁男は島本(阪神)の13打数無安打。岡田から満塁で唯一の安打を放ったのは、得点圏打率リーグトップの会沢(広島)だった。