まるで犯罪者扱い「成年後見人」で地獄見た家族

認知症の夫を支える妻のあまりに過酷な現実

認知症の人を介護する家族の間で成年後見制度が大きな問題になっています(写真:Mills/PIXTA)
ある日、家族が認知症とわかったら? かつては特別な人に起こる特別な出来事と思われていた認知症だが、その数は急速に増えてきており、2025年には高齢者の5人に1人が認知症になるという予測もあるほど。もはや、ひとごとではない状況になりつつあるのだ。
もしも親やパートナー、あるいは自分自身が、認知症と診断されたらどうするべきか。おそらく多くの人が、その時初めて認知症について真面目に調べ、考え始めることだろう。手っ取り早くネットで検索をかけ、対応方法を考えるかもしない。しかし、認知症の症状は十人十色、そしてその対応方法もまたさまざまなのだ。
ノンフィクション作家の奥野修司氏は、これまで多くの認知症当事者や家族を取材することで、認知症のリアルな実情、そして問題点を見つめてきた。家族がよかれと思ってした選択が、結果的に当事者や家族を不幸にしまう例も多くある。今回は、おそらく多くの人が信頼できる制度と思い込んでいる「成年後見制度」の問題点について、最新の著書『なぜか笑顔になれる認知症介護』より抜粋して紹介する。

誰も知らない成年後見制度の実態

認知症の人を介護する家族の間で成年後見制度が大きな問題になっている。

成年後見制度とは、認知症や精神障害があると判断能力が衰えるため、家庭裁判所の監督の下で本人を支援する制度である。そのために特定の人を後見人に選ぶのだが、後見人は本人に代わって財産管理(預貯金や現金、不動産の管理)と身上監護(施設入所の契約等、生活や看護の支援)を行うことになっている。

後見人の候補になれるのは家族や弁護士、司法書士、社会福祉士などである。

理念として、保護を受ける方の(1)自己決定権の尊重、(2)残存能力の活用、 (3)ノーマライゼーション(障害のある人も家庭や地域で普通に生活ができる)を挙げていて、なんとなくよさそうに見えるのだが、どうも現場は違うらしい。

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  • 如月五月ブログ6407c324596e
    そもそも、

    現在の後見人制度は「家族は資産を勝手に処分する」
    という前提になっている。

    これは、子供が後見人になれた時代に、資産の使い込みが
    いくつも露見したことへの対応策なのだが、
    現実にそぐわない制度になっているのも事実。

    大体1000万円程度の資産に、毎年数十万円も報酬を支払ったら
    本人が長生きしたら資産をすべて食いつぶされてしまう。

    私自身が親の後見人だった10年以上前は、年に1回資産残高の
    証明のための預金通帳のコピーを家庭裁判所に送るだけだった。

    記事を読んで当時との制度の違いに驚かされた。

    up110
    down6
    2019/12/22 06:55
  • 小一小万小吉1c2d61f12a85
    成年後見人制度は絶対に使うな!
    アレは食い詰め法曹を救済。
    その常識は「寄ってたかって食い潰す」
    法曹は経済の素人だ。
    法律を盾に言を左右して、「ああ言えば上祐」だ。
    そして、被後見人が死んだ日に自分の報酬をサッサと引き出しやがった。人が死亡したら銀行は即座に資産を凍結する。この後見人の引き出しは大いに疑問。これを裁判所に持っていけば裁判所は制度を保護するために後見人の有利に判断するだろう。
    したがって、よほど財産に余裕があるのでなければ成年後見制度を使ってはならない。
    弁護士や司法書士はその道のプロだ、素人であるあなたが勝てるわけがない。
    繰り返すとこのようなプロ対素人の精度絶対使ってはならない。
    民事信託等他の制度を使うのが良いだろう。
    up67
    down4
    2019/12/22 09:44
  • no name38d9740415a5
    >欠陥だらけの法律を放置してきた国

    日本の法律は明治初期に策定されたモノが多くあり、日本の法整備・法整理ランキングは160ヵ国中140位くらいと記憶している。後進国というより未開国だ。
    up30
    down0
    2019/12/22 11:44
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