「納豆のタレ、全部入れる？」から始まった、みんなの納豆レシピを試してみました！

納豆が大好きです。

朝ごはんとしてほぼ毎日食べていますし、冷蔵庫にはスーパーで売っている三連パックを欠かしません。

そんな私がある日、納豆を食べながらふと思い浮かんだことを唐突に呟いたことから、壮大な冒険が始まりました。

この何気ないつぶやきに対し、「全部入れる」「全部入れた上に追い醤油をかける」「タレはかけない」「同じように少しだけかける」と様々なリプライが付いていたんです。

ところが、リプはいつの間にか、「納豆にはこれを混ぜる」と自分のレシピ紹介となり、なんだか美味しそうなツリーになっていきました。

そんなものを見せられたら、食べたくなりますな。

ということで、私が個人的に興味を持ったレシピを片っ端から試してみました。

とはいえ、私も一応、医療記者。最後の方に少し栄養についても触れていますので読んでくださいね。

【チョイ足しバージョン】

これは香味野菜好きの私が一番最初に試してみたレシピ。大葉（青じそ）3枚と茗荷一つを刻んで混ぜてみました。

とても美味しい！しかし、意外なことに大葉の風味は納豆に完全に負けてどっかに行ってしまったようです。次はもっと多めに入れてみよう...。ミョウガの方が爽やかな風味を残して存在感を示し、かなりいい仕事をしている感じです。

これは日本酒のおつまみにも合いそうです。

↑こんなに上手に作ってくださった方もいましたよ。私よりよっぽど美味しそう！

もっと細かく刻めばよかった...というのはさておき、混ぜる時からトマトの水分が粘りの泡を多く生み、期待が持てるスタートでした。

トマトの酸味が納豆のこくに爽やかさを加えて、さっぱりと食べられる感じ。ご飯のおかずというより、深夜に帰った時のビールのつまみにいい気がしました。

これは作る前から美味しいだろうと思っていましたが、想像通り美味しかったです。安定の味。これにメカブも入れると、居酒屋の定番おつまみっぽいですね。

滋味深い味わいで、来し方行く末を考えたくなるような味でした。焼き締めの皿なんかに合わせたら合うのかもしれません。渋い。

梅の主張が強くて、逆に納豆のクセや独特の匂いが苦手な人には最高だと思いました。逆に言えば、納豆の香りは少しどこかに飛んでいく気がします。

味はおばあちゃんのポタポタ焼き的な甘辛じょうゆの想像通りの味です。懐かしい味わいでした。ご飯のお供には少し甘いかな。少し砂糖は少なめがいいかもしれないです。

ねっとりコクが出て、文句なく美味しい。わさびじょうゆも合う！ 今回、初めて試したものの中では一番気に入った組み合わせでした。

ただ、混ぜてすぐは一体感がない感じです。カリカリの食感を残したいなら混ぜてすぐですが、少し時間を置いて、天かすに少し水分が染み込んでから食べたほうが納豆とのコラボレーション感を感じました。

紅生姜とか入れたくなりますね。

【ご飯もの】

これはとても美味しいです。おっしゃる通り、柚子胡椒がとてもいい仕事をしています。変わり卵ご飯といった感じです。

こちらの元ネタ、NHKエデュケーショナル「みんなのきょうの料理」で紹介されている発酵学者・小泉武夫さんのレシピなんだそうです。

早速、試してみました。

納豆丼、美味しかったので何度か作ってみましたが、如野さんのようにごま油で焼くと香ばしさが増します。これは繰り返し作りそうな予感がします。ぜひお試しを〜。

【変わり種】

これが意外や意外、美味しかった！コクが増して、牛乳がマッチしています。ただ、ちょっと乳臭いのが気になる。そこで...

すると、乳臭さが消え、非常に美味しく食べられました。牛乳の量をもう少し減らしても美味しく食べられるのかもしれませんが、騙されたと思って、一度試してほしい。

今回試した中で、一番意外な美味しさにあふれていて、「一番驚いたけど美味しい賞」を差し上げたいです。

水を入れたら納豆の味や香りが薄まるのかなと想像してやってみたのですが、意外や意外、かえって豆の味や香りがたってくる印象でした。普段粘りに隠されているものが、水でさらりとした粘りになることで前面に押し出された感じ。

結構、量が増えてお腹がいっぱいになりました。面白いですね。

ちょっと健康のことも...　塩分量はどれぐらい？

というわけで、とても楽しい取材（？）だったのですが、そもそもタレを全部入れたらしょっぱすぎではないか？という疑問から始まったこの企画です。

「おかめ納豆　国産丸大豆納豆」（納豆40グラム、タレ4.8グラム、食塩相当量0.6グラム）

「おいしい極小粒納豆」（納豆45グラム、タレ5.8グラム、食塩相当量0.59グラム）

「おかめ納豆　極小粒」（納豆50グラム、タレ5. 5グラム、食塩相当量0.7グラム）

「くめ納豆」（納豆40グラム、タレ6.0グラム、食塩相当量0.78グラム）

という感じでした。正直、納豆の塩分量を気にしたことはないのですが、一応差があることがわかります。

日本人の食事摂取基準の塩分目標量は？

それでは、1日にどれぐらいの塩分をとるべきだと考えられているのでしょうか？

世界保健機関（WHO）の一般成人向けのガイドラインでは全ての成人は1日 5グラム未満を目標としており、日本高血圧学会減塩委員会は高血圧予防に1日6グラム未満を推奨しています。

厚生労働省の「日本人の食事摂取基準（2015年版）」によると、高血圧を予防するために、18歳以上の男性は1日8.0グラム未満、18歳以上の女性は1日7.0グラム未満と定められています。

もう少し詳しく管理栄養士の塩野崎淳子さんに聞いてみましょう。

塩野崎さんによると、5年ぶりの改定となる「食事摂取基準2020」では5年前よりも目標量がさらに下げられて、男性は8.0から7.5グラムへ、女性は7.0から6.5グラムとなるそうです。

いずれの基準からみても、0.6〜0.8グラム程度の納豆のタレはそれほど大したことがないように感じます。ところが、塩野崎さんは、他のおかずの塩分量も考えないといけないと言います。

「朝食として納豆と塩鮭小ひときれ（50g）をつけ、みそ汁を飲んだとすると、納豆のタレが0.6グラム、塩鮭が0.9グラム、みそ汁1.3グラムで合計2.8グラムの塩分をとることとなります。この量では1食分の塩分量を超えてしまいます」

なるほど。それならどうすればいいのでしょうか？

「みそ汁を具沢山にして野菜の体積を増やすことで、汁を半分にすればみそ汁の塩分量はは0.65gになります。そうなると納豆のタレは全部かけてもよさそうですね」

「減塩といっても、単に一つの料理を薄味にするだけでなく、塵が積もって山とならないために食事全体を工夫する必要があると思います。しかし、昼食でラーメン＆チャーハンとか食べてたら台無しですね（笑）」

減塩は高血圧と胃がんの予防が目的

そもそも、塩分のとり過ぎは健康にどのような影響があるのでしょうか？　食塩で体に影響がある主要な成分は、ナトリウムです。

「『ナトリウムの目標量は高血圧と胃がんの一次予防を目的としている』と食事摂取基準を策定している委員の一人である佐々木敏先生の『食事摂取基準入門』（同文書院）という解説書で明確に記されています」

「高血圧、糖尿病、高脂血症が重なると、心臓病や脳卒中が増えることもわかっているので、高血圧を防ぐことが、ほかの病気を防ぐことにもつながります」

そして、これは生活習慣病が気になるお年頃の人だけが気をつけるべきものではないことに注意が必要です。

「減塩はなるべく若いうちに始める方が加齢による血圧上昇を抑えられることがわかっています。子どものころから薄味に慣れておくことが大切だと思います」

「胃がんは、先進国の中では比較的少ないがんですが、日本では例外的に多く、食事性の因子としては高塩分食品由来の塩分摂取の多さが指摘されています。食塩摂取量と胃がん発症率の関連が論文でも示されていますが、結構衝撃的です」

納豆で減塩するためには？　　

さて、では納豆を食べる時に減塩するためにはどんな工夫ができるのでしょうか？

「納豆に限らず酸味や旨味を加えると減塩しやすいです。醤油を出汁割り醤油にしたり、レモン醤油などに変えてもよいと思います」

薬味を加えるのはどうでしょうね？

「薬味もたくさん加えるのはいいのですが、野菜から水分が出るので薄くなって醤油を追加するようでは本末転倒ですね」

なるほど。末永く納豆を楽しむために、ちょっとだけ減塩にも気をつけたいと思います。

【おまけ】タレで味付け

Twitterでのリプライの中には、余ったタレを煮物やおひたしに使うという声が目立ちました。

そこで、私も今回、大量のタレが余ったので、肉じゃがの味付けに挑戦しました。