【お友達限定】刀剣横領事件に巻き込まれました。最終回 | @九枚笹のブログ

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お越し頂き、誠にありがとうございます。趣味の御刀の事や普段の出来事などを備忘録のために日記にしています。


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今月は出張が多かったので少し間が空きましたが、続けたいと思います。

そう言えば、勝山剣光堂からの内容証明での督促書は下記のような形で福井新聞の記事にも載りました。

イメージ 1

この事件は福井県内ではけっこうな問題となっているようですが、全国的にはローカルな事件程度でみんな知らないでしょう

さて、いよいよ強制執行の日になりました。
岐阜からレンタカーを借りて福井県に向かいます。国道21号線をひた走り、米原インターから北陸道に入りました。途中の関ヶ原古戦場の横を通った時に、石田三成の陣跡の石碑が車窓越しに見えました。あとになれば寄りたかったな~と思いましたが、その時はそんな時間もないし、そんな気持ちの余裕もありませんでした。
福井県に到着し、何か食べようと思いましたがなかなかお店がなく、福井まで来たのに車中でコンビニの弁当を食べました

待ち合わせ時間の12時半に近くなり、裁判所の地下一階の待ち合わせ場所に行くと、それらしい人が数人いました。弁護士さんはお会いした事がありませんがHPに写真が載っているのですぐわかりました。それと事務局長さんもHPに写真があるのでわかります。もう一人は今日の強制執行の被害者の一人でした。
本日の強制執行は3名の予定ですがお一人は宮崎県でしかも体調がすぐれないらしく、弁護士さんに委任したそうです。そこで弁護士さんに尋ねられました。
「今日来れなかった方の分の刀なんですが、写真等の資料はこのようにありますがこれで現物の確認ができますかね?」と。
写真を拝見すると出目貫柄巻き拵えで非常に特徴があるので自分のような新米愛刀家でもわかると思いました。刀身は写真と保存鑑定書と押形もあるのでこれも大丈夫だろうと思いますと言いました。もうお一方の被害者の方(おそらく60代半ば)も同じ意見でした。

強制執行は本日の裁判の始まる16時前に終わらせようとの事で、対象の刀剣があるであろう勝山剣光堂の店舗に行きます。現場には地元のマスコミも来ていました。TV局の女子アナとカメラマン、それと新聞記者2名。一人は女性でした。

いよいよ、強制執行のため執行官がインターホンを鳴らします。
自分たちは暑いので少し離れた日陰で弁護士さんと事務局長さんとで待機します。
インターホン押したらすぐに店に入るのかと思いきや、インターホン越しに勝山の嫁さんと揉めてます。どうやらこの事件では本人以外の関係者も所詮、同じ穴の狢なようです。
最初は主人を釈放しないと鍵を開けないとか言っていたようなので、強制執行妨害ですよ、と言いましたが全く取り合わないので警察官を呼び、このまま鍵を開けないならこちらで解錠し、強制執行妨害罪で逮捕します、と説得してもらいます。
実は、このような事態は予想ができていたのか、予め鍵屋さんは来ているし、警察官も速攻で来ました

警察官の説得(脅し?)が功を奏したのか、開けてもいいと返事がきましたが、こんどはマスコミのカメラがあるのがおかしいとか言い出しました。最初からインターホン越しというよりは直に妻の怒鳴り声が聞こえていましたが、この時(マスコミの)が一番騒いでいたと思います。
弁護士さんと執行官が協議してマスコミに帰ってもらおうとしましたが、マスコミってそんな簡単に帰らないんですね(笑)
妥協案として、勝山妻から見えない場所に移動してもらうという事で話が付きました。

強制執行が始まってから1時間半は経過したでしょうか、やっと観念して鍵が開いて執行官が店内に入りました。刀剣は発送用の箱のような物に入っており3箱ありました。店内には入れませんでしたので店先で「これですか?」と見せられました。箱には新しい白鞘と元々の白鞘が入っており、その状態で自分のだとわかりました。抜いて確認してくださいと言われましたのでそうしましたが、なんと実に1年7ヶ月振りのご対面となります
自分の物に間違いないと伝えると、まだ持ち出せないのでもう少し待っててくださいと言われ、同時にもう一人の被害者の方と当日に来れなかった方の御刀も確認しました。

少しすると、弁護士さんが店内から御刀の入った箱を持ってきてくれました。
その時の写真がこちらです。

イメージ 2

左手の二人が弁護士さんで、奥の方のカバンを持った人とその後ろの人が執行官、その手前のハゲた人は町内会長さんだそうです。
実は、この写真はマスコミの記事用で本当は扉から出てきたのですが、マスコミは勝山妻から見えないところにいるのでこんな演出をしています(笑)
この写真を使った記事がこちら。
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客から預かった日本刀を返却しなかったとして福井市の業者の男が業務上横領などの罪に問われている事件で、刀の返還を命じた福井地裁の決定に業者側が応じなかったため、地裁は21日、回収の強制執行を行った。業者の代表が刑事事件の容疑者として昨年5月に逮捕されてから1年余り。刀を取り返した被害者は「返ってきてうれしい」などと述べた。 
 業務上横領などの罪に問われているのは福井市の刀剣類販売・修理会社「勝山剣光堂」代表取締役勝山智充被告(48)=公判中。地裁の決定は、代金と引き換えに3人に対して刀を返還するよう命じたもの。業者側に刀などの返還を求めた集団民事訴訟に関連し、先行して出されていた。 
 今月14日の期日までに業者側が応じなかったため、地裁は強制執行に踏み切り、3本とも店舗内で発見された。 
 この後、被害者の会が福井市内で会見。宮崎県の60代男性は「あきめていたが、返ってきて大変うれしい」。2015年10月から業者に預けていた神奈川県の50代男性は「感激はひとしお」と語った。同会の村内光晴事務局長は「3人の刀が返還され喜ばしい。全員救済できるよう尽力したい」と話した。 
 集団訴訟は13府県20人が昨年11月と今年2月、返還を求め福井地裁に起こしている。残る17人に関する訴訟は21日結審、判決言い渡しは9月20日に行われる。
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何にしても、やっとのことで御刀を取り戻すことが出来ました
この後は裁判に同席し、裁判終了後の記者会見にも出席しなければならず、一度裁判所の地下に戻りました。

この時に弁護士さんより「指示した諸工作がされているかどうか確認してください」と言われ、改めて抜刀してよ~く眺めました。研磨はそれなりにされていましたが、24万もかけた美術研磨ではないでしょうね。研磨が終わってからの扱いが悪いのか、若干ちいさな傷もありましたがこれ以上を望むと今度は損害賠償請求訴訟となり、またお金がかかるのでこれで良しとします。

この後は裁判の傍聴するものの、勝山被告は出廷しませんでした。憎い勝山の顔でも見てやろうと思いましたが、肩透かし食らいました
そして裁判終了後は記者会見になりますが、初めてインタビューというものをされました(笑)
記事の中の50代の男性というのが自分です。もっと話しましたが「感激はひとしお」の一言に纏められてしまいました(笑)

これで刀剣横領事件に巻き込まれた一件は終了しますが、やはり持ち出しとなったお金がつくづくもったいないとの思いだけが何時までも残ります。
なるべく考えないようにはしていますが・・・・・

今回は高い授業料を払いましたが、いろいろと勉強にもなりましたし、反省する点もありました。また、このブログを読んで頂いてとても感謝致します。
このブログはこの事件を忘れないようにこのような形で記録に残せて尚且つ、皆様が同じ目に合わないように参考になればと思います。
今となっては手元に戻ってきた、「伝 寿命」の御刀は穏やかに自分の家で刀箱に収まって当家をお守りして頂いていると思います。

長々とお付き合い、誠にありがとうございました。