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佐藤誠二朗「グリズリー世代のバック・トゥ・ザ・ストリート」
グリズリー……それは北アメリカ北部に生息する大きな灰色のヒグマの名であると同時に、白髪交じりの頭を形容するスラング。頭にちらほら白いものが目立ち始める40~50代を、アラフォー、アラフィフといってしまえば簡単だけど、いくつになってもオシャレと音楽が大好きで遊び心を忘れない彼らを「グリズリー世代」と名付けよう――
そんな思いを胸に、自身もグリズリー世代真っ只中の著者がおくる、大人の男のためのファッション&カルチャーコラム。

グラミチパンツを凌駕する、コスパの高いGERRYのデニムパンツ

少し前に本コラムで紹介したグラミチのデニムパンツ。
最近、こればっかり履いている自分に気づいた。

細身シルエットで見た目ばっちり、ストレッチデニムの素材感は抜群。
グラミチパンツ最大の特徴である、180度の開脚を可能にする股間のガゼットクロッチというディテールが、スペシャルな履き心地をもたらす。

あまりにも気に入ったので、同じものを色違いでもうひとつ買おうと思っていたのだが……。
とあるアメカジショップで見つけてしまったのだ。
グラミチパンツと同じくらい有能なデニムパンツを。
しかも! グラミチはオーバー1万円だったのに、こちらは税込で4000円ちょい。

「グラミチさんごめんなさい!」と心の中で謝りつつ、浮気してしまった。

この冬はグラミチパンツとGERRYパンツがあれば乗り切れる気がしている

そのパンツは、GERRYというアメリカのブランドのものである。
1940年代年代のニューヨーク州ユティカでスタートしたアウトドアブランドGERRY。創立者はジェランド(ジェリー)・カニンハムだ。
GERRYのハイスペックなウェアは1953年、アメリカのエベレスト登山隊のオフィシャルユニフォームとして採用されて一躍有名になり、現在もダウンジャケットなどが高く評価されている。

僕がGERRYのパンツを見て驚いたのは、グラミチの特徴であるはずのガゼットクロッチがほとんどそのまま採用されていること。
これって、俗に言うパクリでは?と思った。
でもGERRYだって名のあるブランドだし、まさかそんなねハハハ……、と思考を停止させ、こちらを選んだ次第だ。

しかもGERRYパンツはグラミチパンツと違い、裏に起毛素材が施されている。寒い冬にはこちらの方が快適だ。それなのに、しつこいようだがお値段は半分以下。ウムムムム……。

まあ深く考えるのはよしておこう。
僕のグラミチパンツはインディゴブルーなので、GERRYはブラックデニムにしてみた。
今冬はこの2本をひたすらローテーションしていくことになりそうだ。

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佐藤誠二朗

さとう・せいじろう●児童書出版社を経て宝島社へ入社。雑誌「宝島」「smart」の編集に携わる。2000~2009年は「smart」編集長。2010年に独立し、フリーの編集者、ライターとしてファッション、カルチャーから健康、家庭医学に至るまで幅広いジャンルで編集・執筆活動を行う。初の書き下ろし著書『ストリート・トラッド~メンズファッションは温故知新』はメンズストリートスタイルへのこだわりと愛が溢れる力作で、業界を問わず話題を呼び、ロングセラーに。他『糖質制限の真実』『ビジネス着こなしの教科書』『ベストドレッサー・スタイルブック』『STUSSY2017 FALL/HOLIDAY COLLECTION』『DROPtokyo 2007-2017』『ボンちゃんがいく☆』など、編集・著作物多数。

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