さかごは予防できる?直せる?を産婦人科医に聞く
おなかの赤ちゃんが頭を上にした状態でいる“さかご”。予防はできる? さかご”を直すためにできることは? 産婦人科医の林田綾子先生にお話を伺いました。
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“さかご”は予防できる?
さかごの原因がわかっていないので、確実な予防法はありません。ですが、日ごろから、子宮の筋肉が緊張しないように体を温め、ママがリラックスをするなどして、赤ちゃんが子宮の中を動きやすい環境を整えてあげることが大切。そうすれば、赤ちゃんがおなかの中を動き回っているうちにさかごの状態になっても、また頭を下にした状態に戻りやすくなるからです。
そういう意味では、前置胎盤や子宮筋腫合併妊娠、双角子宮(そうかくしきゅう)など子宮の形が通常と違うといった赤ちゃんがおなかの中を動きづらくなる要因がある場合は、いったんさかごの状態になるとそのままの状態が続きやすいことも考えられます。
“さかご”を直すためにできることは?
「たまごクラブ」データ※によると、妊娠中に“さかご”と言われ、出産までに直った人は94%。このように自然に直ることが多いとはいえ、何かできることがあると安心できるかもしれませんね。
基本は、子宮の筋肉をやわらかい状態に保ち、おなかが張らないようにリラックスを心がけることです。以下、効果が期待できる方法を紹介します。
※たまひよインターネット調査(0カ月~1才11カ月の赤ちゃんのママ412名対象/2018年8月実施)
体の冷えに気をつけて。内&外から温めましょう
さかごを直すのに「冷え」は大敵! とくに、下半身を冷やさないように腹巻きや厚手の靴下を着用するのがおすすめです。また、ホットの飲み物などで体の中から温めることも大切。ノンカフェインのルイボスティーなどがいいでしょう。コーヒーは、豆自体に体を冷やす作用があるので、たとえカフェインレスでも飲みすぎには注意してください。
立ちっぱなし、座りっぱなしは避けて
妊娠中は長時間、同じ姿勢でいることはNG。さかごの場合は、おなかが張りやすいことも。たとえば、デスクワークなどでずっと座ったままだと、子宮が血管を圧迫することで血流が悪くなり、血栓ができる恐れもあります。
おなかの赤ちゃんに話しかけましょう
おなかの下のほうを軽くたたきながら、「こっちが頭だよ~」と声に出して話しかけてみて。話しかけるママの気持ちまでやわらぎ、リラックスにつながります。そうして子宮の筋肉がやわらかくなると、赤ちゃんが動きやすい環境に。
疲れやストレスをためない工夫を
ママが疲れやストレスを感じると、子宮が収縮し、おなかが張りやすくなります。おなかが張った状態では赤ちゃんが回りにくいので、ママは日ごろから無理をしない習慣を。とくに夜ふかしが続くと、疲れがたまりやすくなります。また、パパとのケンカなど精神的なストレスにも注意しましょう。
産院で指導を受けてから! おきゅうで体を温めましょう
おきゅうでツボを刺激すると、血行がよくなり体が温まります。すると、子宮の筋肉の緊張が解け、おなかの赤ちゃんが動きやすくなります。おきゅうは、おなかの張りにつながりやすい運動などに比べ、安心して行える方法。ですが、妊娠中は刺激したくないツボもあるので、産院の指導を受けてから始めましょう。医師の許可が得られれば自宅でも気軽にできます。ツボ押しは、親指か人さし指でやさしく押すのがコツ。
●至陰のツボ
足の小指の外側、つめの下の角から3㎜ほど足首寄りのところにあるツボ。ここを刺激すると、全身の血液のバランスを整えられます。
●三陰交のツボ
内くるぶしの出っ張りのいちばん高いところから、指4本分上にあるツボで、子宮の血流をよくする効果が。強く押すと効きすぎることも。
●足三里のツボ
ひざの皿の下にあるくぼみから指4本分下のツボ。はやしだ産婦人科医院では、至陰、三陰交への刺激でも直らないときに刺激します。
産院で指導を受けてから! 横向きに寝て赤ちゃんが回転しやすい状態を作りましょう
赤ちゃんの背中が上になるように横向きに寝ることで、赤ちゃんの頭が重力によって下がり、自己回転を促す方法。赤ちゃんがどちらを向いているのかは自分ではわからないので、まずは、産院でおなかの赤ちゃんの向きを教えてもらってから試しましょう。
赤ちゃんがずっと同じ向きでいるとは限りません。また、一方向ばかり横になっているとママの体にも負担がかかるので時々向きを変えましょう。
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“さかご”は、原因がはっきりとしておらず、自然に直ることも多いもの。とはいえ、出産方法に影響することを考え、気をもむこともあるでしょう。そんなときは赤ちゃんがおなかの中で心地いい位置がたまたま“さかご”なのだとおおらかに構えることも、さかご直しの一つといえるかもしれませんね
(文・松田祥子、たまごクラブ編集部)
■監修/林田綾子 先生
はやしだ産婦人科医院 院長
2018年、林田和郎前院長の後任として院長に就任。東洋医学と鍼灸に基づいたさかご治療をはじめ、保健指導や授乳指導、産後ケア、妊婦さんを含む乳がん検診にも力を入れています。
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