昨日の当ブログ「名作『約束』とショーケン」で触れたように「約束」(1972 斎藤耕一監督)は当初は岩下志麻さんと中山仁さんの主演コンビが予定されていました。それが紆余曲折、岸恵子さんと萩原健一さんのコンビとなり、結果的には大成功。お二人はのちに「雨のアムステルダム」(1975 蔵原惟繕監督)でも共演します。
こうして当初のキャスティングが変更になるという例は映画界にはよくあることです。多くのお金がかかるのでスポンサーの意向というのもあるでしょうし、大作になれば拘束時間も長いので他の仕事との兼ね合いでスケジュールが調整できないことも多いでしょう。「約束」では代役として主演となった萩原さんですが、逆に萩原さんが予定されていて出れなくなって代役となった作品もあります。「ブラック・レイン」(1989 リドリー・スコット監督)もその1本です。ご存知のように、凶悪犯を追ってアメリカから来た刑事が日本の警察と協力して捜査する作品で、主演のマイケル・ダグラスさんが製作も兼ねています。この中で凶悪犯のヤクザを演じたのが松田優作さんで残念ながら遺作となってしまいましたが、この役、最初はショーケンにオファーがあったそうです。実は、他のキャストも当初は全く違っていて、高倉健さんが扮した日本の刑事も勝新太郎さん、若山富三郎さんが演じたヤクザの大親分は何と!藤山寛美さんだったそうです。また、アンディ・ガルシアさんがやった部下の刑事もトム・クルーズさんだったといいますから、実現していたら全く違うテイストの作品になっていたかもしれませんね。
リドリー・スコット監督は「座頭市」の勝さんに出てほしかったようですが、勝さんは乗り気でなく、ショーケンは一所懸命に口説いたそうですが、出演を断ったそうです。寛美さんは出演OKと言ったものの、製作会社に莫大な借金を肩代わりしてくれと条件を出し、断られたといいます。何でも35億円にも及んだ借金でさすがのハリウッド業界でも出せなかったのです。それで、キャスティング・ディレクターから「勝新太郎の代わりに誰かいないか?」と聞かれたショーケン、「高倉健さんしかいないんじゃないですか」と答え、健さんの出演が実現したのです。ただ、勝さんに合わせて「アル中」の刑事という設定になっていたのを、健さんの希望で脚本を書き直してもらうことになりました。やはり、健さんのイメージがありますからね。アメリカの刑事たちと行ったクラブでノリノリでレイ・チャールズさんの歌を唄う、健さんにしては珍しいシーンはありましたが。
しかし、そうしてキャスティングに難航したり、脚本を直している間に半年が過ぎ、ショーケンは前から決まっていた他の作品のクランクインが重なって降板となってしまったのです。健さんVSショーケン、観たかったなあ……。ともかく、ショーケンが演じるはずだった役はあらためてオーディションを行い、根津甚八さん、小林薫さんなども受けたそうですが、優作さんに決まったのです。萩原さんは、「マカロニ」の後任「ジーパン」刑事で登場した松田優作さんは「いつもオレのあとを追いかけてきた役者」と考えていて、この「ブラック・レイン」を観たときも「オレの真似をしてるな……」と感じたそうです。ちなみに、ショーケンは優作さんをライバルと思ったことはなく、「ライバルと言えるのは沢田研二だけ」と述べています。 (ジャッピー!編集長)
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こうして当初のキャスティングが変更になるという例は映画界にはよくあることです。多くのお金がかかるのでスポンサーの意向というのもあるでしょうし、大作になれば拘束時間も長いので他の仕事との兼ね合いでスケジュールが調整できないことも多いでしょう。「約束」では代役として主演となった萩原さんですが、逆に萩原さんが予定されていて出れなくなって代役となった作品もあります。「ブラック・レイン」(1989 リドリー・スコット監督)もその1本です。ご存知のように、凶悪犯を追ってアメリカから来た刑事が日本の警察と協力して捜査する作品で、主演のマイケル・ダグラスさんが製作も兼ねています。この中で凶悪犯のヤクザを演じたのが松田優作さんで残念ながら遺作となってしまいましたが、この役、最初はショーケンにオファーがあったそうです。実は、他のキャストも当初は全く違っていて、高倉健さんが扮した日本の刑事も勝新太郎さん、若山富三郎さんが演じたヤクザの大親分は何と!藤山寛美さんだったそうです。また、アンディ・ガルシアさんがやった部下の刑事もトム・クルーズさんだったといいますから、実現していたら全く違うテイストの作品になっていたかもしれませんね。
リドリー・スコット監督は「座頭市」の勝さんに出てほしかったようですが、勝さんは乗り気でなく、ショーケンは一所懸命に口説いたそうですが、出演を断ったそうです。寛美さんは出演OKと言ったものの、製作会社に莫大な借金を肩代わりしてくれと条件を出し、断られたといいます。何でも35億円にも及んだ借金でさすがのハリウッド業界でも出せなかったのです。それで、キャスティング・ディレクターから「勝新太郎の代わりに誰かいないか?」と聞かれたショーケン、「高倉健さんしかいないんじゃないですか」と答え、健さんの出演が実現したのです。ただ、勝さんに合わせて「アル中」の刑事という設定になっていたのを、健さんの希望で脚本を書き直してもらうことになりました。やはり、健さんのイメージがありますからね。アメリカの刑事たちと行ったクラブでノリノリでレイ・チャールズさんの歌を唄う、健さんにしては珍しいシーンはありましたが。
しかし、そうしてキャスティングに難航したり、脚本を直している間に半年が過ぎ、ショーケンは前から決まっていた他の作品のクランクインが重なって降板となってしまったのです。健さんVSショーケン、観たかったなあ……。ともかく、ショーケンが演じるはずだった役はあらためてオーディションを行い、根津甚八さん、小林薫さんなども受けたそうですが、優作さんに決まったのです。萩原さんは、「マカロニ」の後任「ジーパン」刑事で登場した松田優作さんは「いつもオレのあとを追いかけてきた役者」と考えていて、この「ブラック・レイン」を観たときも「オレの真似をしてるな……」と感じたそうです。ちなみに、ショーケンは優作さんをライバルと思ったことはなく、「ライバルと言えるのは沢田研二だけ」と述べています。 (ジャッピー!編集長)
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