今は介護とは無関係な生活を送っている。けれど、いつかは親の介護をすることになるんだろう……。
親御さんが健在の方ならば、“身内の介護”については、少なからず想像したことがあるのではないでしょうか。ところが、親でも、親戚でもない、“赤の他人の介護問題”が、いきなり降りかかってくることもあるのです。
「管理人が勝手に部屋に入ってくる!」
分譲マンションに住み、そこの理事長を務めるHさん。同じマンションで一人暮らしをする80代の男性からこんな苦情が入りました。
「マンションの管理人が、自分の家に勝手に入り込んでくるんだ!」
驚いて管理人に確認すると、そんな事実はないと言います。「そもそも、管理人がお預かりしているカギでは、個々の住宅のドアを開けることはできないんです」と。それを男性に伝えても、「でも、何回も入り込まれて本当に困っている」と繰り返すばかり。
話し合いを重ねても、一向に問題は解決しません。一人暮らしなので客観的な情報も乏しく、らちがあきません。そしてふとHさんは、「もしかしたらこの男性は、認知症なのではないだろうか?」と、気がついたのです。
ご存じの通り、この連載ではずっと「親が認知症ではと思ったら、すぐに地域包括支援センター(以下、包括)に連絡を」と訴えてきました。
でも、親でも親戚でもない「他人」についての相談を、包括に持ち込んでいいものなのか。しかも、「認知症では」という内容で。
困り果てたHさんは、私に相談を持ちかけてこられました。
企業の個別相談でも、こういった“赤の他人の介護問題”について相談を受けることがあります。また、逆のパターンとして「親が住むマンションの住民から、親に関する苦情の連絡を受けた」という方もいらっしゃいます。
今、なぜ、こういった相談が増えてきたのでしょうか?
コメント6件
ダメおやじ
痴呆公務員
以前、ご近所に人付き合いを断ったうえ、生活に問題のある独居老人がいた。その上、知らない人の訪問を極端に嫌っていた。
オレオレ等の特殊詐欺が増える中、他人に対し疑心暗鬼の高齢者も増加すると思う。
Lafitte
自営業
私も近所の高齢者が明らかにおかしな言動を始め、その症状が通院レベルだった時に包括に連絡したことがあります。また、顔見知り程度の方ですが、レジで会計が出来ないとか待ち合わせの約束が分からなくなるなどを度々見掛けたため、隣県に住むその方のお子さ
んに偶々会ったので伝えたこともあります。町内会には独居の高齢者がいて、私が訪れても誰だかさっぱり分からなくなっていたので、町会長などの役についている男性達に相談したら、他家に口を出すのは遠慮すべきだから係わってはいけないとか認知症という言葉は禁忌なので口に出してはいけないなどと言う人もいて、なるほどこういう考え方の人が孤立者をつくっていくのかなと思ったものです。町内会の独居の方の件は子世帯が知っててそのままだったので、口を出すなと子供に言われたら、よほど緊急事態でないと手を出せません。包括も知ってて放置の子世帯がいたらどう対処するのか私は知りません。
...続きを読む自分の親は出来る限りの介護をしましたが、他人だと踏み込めるわけでも責任とれるわけでもないですが、包括に連絡だけならハードル低いので、これからも気付いたら連絡はします。
LW
マンション管理会社は、共用部の管理を受託契約していますので、専有部、とりわけ居住者個人のプライバシーに係る分野には、通常、踏み込んできません。やる気やスキルの話ではなく、管理委託契約上の話です。当該事案では、ご家族、管理組合、理事会、マンシ
ョン内コミュニティ、包括、行政サービス、ボランティア・・・というアプローチになるのではと思います。...続きを読むうーむ
以前住んでいた家の階下のおばあさんが認知症でした。一人で自活はできていたし周りに迷惑かけてはいなかったのですが少々心配で、近所でどうしようかと相談・・・というか噂しつつ何もできていない時にそのおばあさんが火事を出し、亡くなってしまいました。
後悔が少々ありますが、同じ状況にもう一度あっても何かできるかあまり自信がありません。...続きを読むBANDIT
独り暮らしで、身寄りがなく、ご近所付き合いをされないご老人は今後増えていくと思います。そういうご老人が認知症になるまえに対応できればいいんと思いますが、いろんな意味で手遅れになる事も予想されます。
ご近所さんが包括に連絡して訪問しても、拒否
されたらどうするんでしょう。思いつくのは地道な訪問活動ぐらいですが、スタッフの増員が必須ですよね。...続きを読むコメント機能はリゾーム登録いただいた日経ビジネス電子版会員の方のみお使いいただけます詳細
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