Thunderbolt 3を基にしたUSB4だが、両インターフェースには違いもある。例えば、PCI Expressへの対応に差がある。USB4の特徴や実装時の留意点などについて解説する本連載の最終回は、その違いとUSB PDとの関係を解説する。

 ここまで解説してきたように、USB4はThunderbolt 3とほぼ同一である。それでもいくつか異なる点がある。中でも大きな違いは、Thunderbolt 3のトンネリングがサポートしていたPCIeをUSB4では「オプション」にしたことだ。

表1 USB 3.2、USB4、Thunderbolt 3の主な仕様
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 Thunderbolt 3は、主にパソコンへの搭載を想定したインターフェースである。一方で、USB4は従来のUSB同様にパソコンのみならず、携帯機器や家電への搭載も見込んでいる。こうした機器に搭載するSoCやCPUは、PCIeを搭載していない場合がある。そのため、PCIe対応をオプション扱いにしたとみられる。

 そもそも、Ice Lake世代以降のIntelのCPUを採用したパソコンならば、Thunderbolt 3を搭載しているので、USB4としてPCIeに標準で対応する必要がないだろう。加えて、将来、USB4でPCIeのトンネリングに対応してくる可能性もある。2020年登場が予定されている次世代のTiger Lakeでみえてくるだろう。

 PCIeは拡張性に優れたインターフェースで、近年の電子機器にとって重要な存在である。

 USB4では高いデータ伝送速度を生かし、ノートパソコンや小型のデスクトップパソコンでも、描画性能が高いGPUを備えた外付けの拡張ボードとPCIeで接続し、実写映像やアニメーションの編集、VR、3Dゲーミング、CAD、深層学習などを行える。ストレージに目を向けると、HDDからSSDへの移行に伴い、インターフェースがSATAからPCIeを用いる「M.2」や「U.2」に移行しつつある。

 SDメモリーカードでもPCIeを採用した「SD Express」仕様がある。このほかにも「CF Express」やキオクシア(旧・東芝メモリ)のXFMEXPRESSなど、PCIeを活用するインターフェースは枚挙にいとまがない。その結果、USB4でPCIeに対応すれば、こうした各種ストレージの選択肢が増す。

 ただし、USB4へのPCIe実装時には、入念なセキュリティー対策が不可欠になるだろう。例えば、PCIeを通じた不正アクセスとして、PCIeで可能なダイレクト・メモリー・アクセス(DMA)を悪用する「DMA Attack」に留意すべきである。PCIeは一般に、機器内部の伝送に利用されるものだが、USB4で利用できるようになれば、ポートが外に露出することになる。すなわち、DMA Attackの敷居が下がる。

 そこで、対策を講じる必要がある。OSでの対策だけでは不十分で、BIOSやファームウエアでの対策が欠かせない。パソコンをリセットし、OSがブートするまでにDMA Attackを実行できるからだ。Thunderboltでもその対策の重要性を説いている5)

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