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「淡島ホテル」破産手続き 地裁沼津支部開始決定、負債数百億円

(2019/12/21 07:16)
会員制高級リゾートホテルの「淡島ホテル」。債権者の申し立てで運営会社が破産手続き開始の決定を受けた=20日午後、沼津市内
会員制高級リゾートホテルの「淡島ホテル」。債権者の申し立てで運営会社が破産手続き開始の決定を受けた=20日午後、沼津市内

 沼津市の会員制高級リゾートホテル「淡島ホテル」が20日、静岡地裁沼津支部から破産手続きの開始決定を受けたことが分かった。関係者によると、負債総額は数百億円とみられる。今回の開始決定は、ホテル会員権を購入した一部債権者が7月に申し立てていた。
 ホテルは20日現在、営業を続けている。近年は人気アニメ「ラブライブ!サンシャイン!!」の登場人物の実家が経営するホテルのモデルとして全国からファンが宿泊に訪れ、地域振興にもつながっているだけに、関係者に波紋が広がりそうだ。
 破産手続きの開始決定により、同社の管理処分権は同地裁支部が選任した破産管財人に委ねられる。破産管財人は今後、ホテルが所有する資産などの換価作業などを進めるとみられる。
 同ホテルを巡っては、経営権を持つ名古屋市の家賃保証会社に対し、リゾートホテル会員権を購入した債権者が「預かり金や投資額が返済されない」などと主張。今年9月に債権者100人超が弁済などを求めて債権者団体を結成している。関係者によると、会員権を購入した全体の債権者数は千人以上に上るという。
 同ホテルは1991年、旧東京相和銀行(現東京スター銀行)の故長田庄一元会長が建設。今年9月に死去したフランスのシラク元大統領も訪れたことで知られる。しかし、赤字経営が続き、2018年4月、長田氏のファミリー企業がホテルの株式を家賃保証会社に譲渡した。
 債権者が企業の破産手続き開始を裁判所に申し立てて認められたケースとしては2010年、熱海市などで温泉ホテルを展開していた会員制リゾートクラブ「岡本倶楽部」などがある。

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