女剣闘士見参!   作:dokkakuhei

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第14話 激突前夜

 王国の某所、部屋の中で円卓を囲んで席に着く数人の男女がいる。地下室なのか部屋に窓はなく、視界の頼りは机に置かれた2つの燭台の灯りだけ。そのせいで部屋は薄暗く、ややもすればお互いの顔すら見えない状況だ。

 

 並ぶ面々を見ると、やたらに目つきの鋭い者、顔に向こう傷のある者、威圧的な刺青を彫っている者等、悪人の見本市といった有様だ。それだけでもこれがまともな集団ではない事がわかる。

 

 場は沈黙が押し込め重苦しい雰囲気だ。皆険しい表情を浮かべて、周りを気にしている。誰が口火を切るか様子を伺っているのだ。

 

「予定時刻になったな、会議をはじめようじゃないか。」

 

 上座にいる男が声を上げる。この集団の中においては少し異質な、首に水神の聖印を下げる温和そうな男だ。その立ち振る舞いからこの集団のまとめ役のような存在なのだろう。

 

「さて、お互いのための情報交換と行きたいところだが、まずはあの話をしなくてはな。私達の縄張りと知って悪さをする奴がいるそうじゃないか。なあ、ヒルマ。」

 

 聖印の男は自分から見て左側の前から2番目に座る女に声を掛ける。ヒルマと呼ばれた女は恨めしそうに男を見返すが、自分が呼びかけられる事を予想していたらしく、すぐに諦めた。男の質問に答える形で話し出す。

 

「うちの畑がやられたの。6つね。」

 

 ヒルマが言うのは平凡な野菜畑の事ではない。王国で流通する麻薬、ライラの粉末の生産拠点のことだ。ヒルマは王国を裏で牛耳る犯罪組織八本指の麻薬部門の長である。ここにいる人間はそれぞれ八本指に属する部門の長達なのだ。

 

 周囲の人間の様子を見ると大した動揺はなく、その情報は既知のようだ。早く詳細を知りたくて身を乗り出す者もいる。

 

「6つとも大規模ないし中規模の畑で、生産のだいたい2分の1を担っていたんだけど、徹底的にやられてひどい有様だったわ。それに的確に搬送ルートの中継地を狙ってて流通網が混乱状態だし、残りの畑の警備を強化しようにもわざわざ偏在するよう残して戦力を集中させにくくしているの。やんなっちゃうわ。」

 

 見張りの64人も全滅だしねと付け加えるヒルマ。

 

 その言葉に動揺が走る。他の部門の事とはいえ、ここまで手酷くやられたのはハ本指史上初めての事だ。明日は我が身である。

 

「…やったのは十中八九蒼の薔薇だわ。」

 

 目撃者は全てやられているが、ヒルマは数々の状況証拠から下手人をそう判断した。自分達が支配しているシマで直接的な敵対行為をする者、巨大犯罪組織の警備をものともしない者、どちらも蒼の薔薇しか思い当たる節がなかった。聴く者達も同意の色を浮かべている。

 

「大方あの王女様の差し金でしょうね。」

 

 ヒルマは背もたれに体重を掛けながら深く息を吐いた。忌々しいあの女の顔が目に浮かぶ。今や王国においてハ本指の障害となるのは"黄金"と名高い麗しの第三王女様だけだ。

 

「それで、どうするんだ?」

 

 聖印の男がヒルマに尋ねてくる。ハ本指の稼ぎ頭である麻薬部門が抱える問題の対策に意欲的なようだ。八本指と言う組織は普段、他部門に介入することはなく、むしろ己の勢力を拡大しようと市場争いをしているのだが、ひとたび有事になれば速やかに情報を共有し組織的に問題に対処する。そのための会議である。

 

「相手が蒼の薔薇ならぁ、警備部門に応援を頼んだほうがいいんじゃない? これ以上拠点を潰されちゃう前にさあ。」

 

 ヒルマの向かい側に座る男がやけに間延びした声で言った。顔には挑戦的な笑みを浮かべている。それを見てヒルマは軽く舌打ちをした。

 

 声をあげたのはコッコドールという男で奴隷部門の長である。奴隷売買部門は最近王国内で規制が厳しくなり落ち目なのだが、力を付けていた麻薬部門がポカをやらかしたのが愉快でたまらないのだろう。

 

「順風満帆ってカンジだったのに残念ねえ。」

 

「些事よ。死にかけの奴隷部門と違って私の所は層が厚いもの。黒粉の在庫だって充分にあるし、すぐ立て直せるわ。」

 

「あら、人の忠告は素直に聞くべきよん。蒼の薔薇相手に麻薬部門だけで張り合えるつもりなのかしら。」

 

「…。」

 

 ヒルマはコッコドールから極力目を逸らしつつ、斜め右前に泰然と座る筋骨隆々の男を見た。全身に刺青をいれているスキンヘッドの男で名前はゼロという。警備部門の長で六腕という凄腕の部隊をまとめる存在だ。

 

 ヒルマから視線を向けられたゼロはおもむろに口を開く。

 

「仲間のよしみだ。2割引にしてやるぞ。」

 

 ゼロはそれだけ言うと瞑目し、再び岩のように動かなくなった。ヒルマとコッコドールの小競り合いに巻き込まれたくないのだろう。目の端でコッコドールが依然ニヤニヤしているのが見える。

 

 ヒルマは不意に背もたれから身を起こし、辺りを一瞥した。支配者が得意とする高圧的で傲慢な態度の演技。そのまま努めて態度を崩さず言った。

 

「分かったわ、六腕を全員雇う。」

 

「なんですって?」

 

 コッコドールが素っ頓狂な声を上げた。六腕は1人雇うだけでもアダマンタイト級冒険者に依頼をする程度の金が掛かる。全員を雇うのはそれこそ莫大な費用が必要となる。

 

「いいのか?」

 

 ゼロが片目を開けてヒルマを伺う。ヒルマは先の言葉が間違いでないことを首肯で念押しした。

 

「ただし、雇われている間は私の指示に従ってもらうわよ。」

 

「もちろん契約後は雇い主の意向を優先する。」

 

 両者のやり取りを残りのハ本指メンバーは驚いた様子で聞いていた。蒼の薔薇やそのバックにいるラナー王女はハ本指の他の部門にとっても1番の仮想敵であり、今回に関してはハ本指総出で対策に乗り出しても良い案件だ。それなのにヒルマは率先してリスクを背負い込んだのだ。

 

「あんた、本気なの?」

 

「ええ。」

 

 ヒルマ自身、コッコドールに乗せられた部分があって癪に触らないことも無いが、それよりも麻薬部門が健在であることをアピールする必要があった。組織内での地位の保全の為の出費、許容範囲だ。

 

 ついでにコッコドールの間抜け面も拝めた。体力のない奴隷部門ではできない芸当である。いい気味だ。

 

 話がひと段落した所で会議は休憩に入った。長達はそれぞれの付き人にいくつかの指示を出している。

 

 ゼロは残りの六腕メンバーに召集をかけているようだった。その後、ゼロは麻薬部門が襲撃を受けた時の状況を詳細に尋ねてきた。主に配置されていた戦力と地形、人的及び物的被害について。

 

「では、雇い主に意見、というより確認事項があるのだが。」

 

 ゼロが顎に手を当てながら発言する。

 

「敵は蒼の薔薇だけか? この短期間にこれだけの被害はどうも納得がいかん。少なくとも他にアダマンタイト冒険者級が2、3人いる気がする。」

 

 ヒルマは感心したようにゼロを見る。

 

「…私も襲撃者の数が合わないと思っていた。アダマンタイト級がまだいるってことは信じられないけど、あんたが言うならそうなんだろうね。」

 

「ちょっと! いるとしてもそいつらは何者なのよ! 朱の雫は国外にいるはずでしょ?」

 

 暇をしていたコッコドールが話に首を突っ込んでくる。もっともな疑問だ。突如浮上した誰も知らない複数の実力者は何者なのか。ヒルマは自分が知っている強者に該当する人物を頭の中で思い浮かべた。

 

「…念のために聞くけど。」

 

 ヒルマがゼロを正面から覗き込む。その顔は賭博師が勝負所を見定める様な、鋭い眼つきをしている。

 

「六腕の誰かって事はないわよね。」

 

「違う。」

 

 質問を予想していたかのような即答。ヒルマの目を覗き返す、獲物を狙う飢えた獣の如き目。

 

「我々には麻薬部門と敵対する利益がない。蒼の薔薇には我々を雇う為のコネクションがない。」

 

「…。」

 

「最後に、俺はそんなことを命じていない。もし、俺の知らない所で部下が勝手に動いたとしたら、俺がそいつをぶっ殺している。」

 

 ゼロは静かに淡々と説明をする。誰にも文句を言わせないという意思を刀のように全員に突き立てていた。

 

「それを聞いて安心したわ。」

 

 見合っていた両者が視線を切る。剣呑な空気が去り、全員が張り詰めた緊張の糸が緩むのを感じた。

 

「あまり仲違いをするようなことを言わんでくれよ、お前達。冷や冷やしたぞ。」

 

 と聖印の男。

 

「ごめんなさいね。たとえ小さい事でも懸念材料は見逃せない性質なの。」

 

 にっ、と笑うヒルマ。歳を重ねてはいるが十分魅力的に見えた。数々の男を食い物にしてきたオーラが衰えずその魔力を湛えている。

 

「あー、ちょっといいか? その麻薬畑を襲撃した人物達に心当たりがある。」

 

 沈黙を保っていた密輸部門の長が声を上げた。

 

「なーに? 何か知っているなら勿体ぶらずに早めに教えなさいよ。」

 

 コッコドールが大袈裟に目を剥いて仰け反った。このタイミングまで情報を出し惜しみした事を非難しているのだろう。

 

「確証がないので言わないつもりだったが、疑心暗鬼で内輪揉めするぐらいなら話そうと思ってな。」

 

「そんな事言って、情報を独り占めしておきたかっただけだろ?」

 

 金融部門の長が茶々を入れる。それに対して麻薬部門の長は、まあな、と悪びれずに宣った。

 

「多分、エ・ランテルに最近やってきた軽戦士風の女二人組だ。あそこにあったズーラーノーン拠点をぶっ潰してる。」

 

「へえ。そいつらだと思う理由は?」

 

「城門をくぐった奴のリストに記録があった。目的は第三王女に会うためで、蒼の薔薇同伴だった。」

 

「ほぼアタリだな。身辺調査はしたのか?」

 

 ゼロが密輸部門の長に聞く。

 

「ああ。」

 

「記録をくれ、警備の参考にする。」

 

「オーケー。仲間のよしみだ、情報料は2割引にしといてやる。」

 

 おどけてみせる密輸部門の長。

 

「それはヒルマに言ってくれ。」

 

 ゼロはそれを軽くいなす。

 

「だとよヒルマ。おい、そんなにニラむなって。わかったよ、今回に関してはタダで情報提供するから。」

 

 笑い合う八本指のメンバー。騒がしくなってきたところで聖印の男が二拍して、場を静止した。

 

「さて、問題にある程度目処がついたところで、今日はもう1つ話し合うことがある。先日、第一王子の所に客が来た。名をアインズ・ウール・ゴウンという。」

 

 八本指にとって第一王子のバルブロは良き取引相手の1人だ。メンバーの視線は聖印の男に集まる。

 

「この名前を知っているか?」

 

 男の問いに長達はもちろん、という顔をした。その名前は裏の世界では既に有名になっている。こいつのせいで王国貴族達が法国と共謀したとき、王国戦士長が死んだ時の準備をしていた者達は随分と損をした。金融部門の長はその1人だ。

 

「バルブロくんに取り入ろうとするとはね。初めからこのつもりだったのかな?」

 

「奴も政治権力と闇のパイプラインを狙ってるってこと?」

 

「ナメてんな、この市場に新規入場者の枠はもうねえよ。」

 

 口々に思った事を言うメンバー達。自分の庭に土足で入って来た闖入者が相当気に入らないようだ。聖印の男は再度場を鎮める。

 

「私は。」

 

 言い含めるような声。

 

「取り込めないかと考えている。そのアインズ・ウール・ゴウンという男を。ガゼフを助けていながら、バルブロに取り入る奴だ。面白いじゃないか。」

 

 男は不敵に笑った。

 

 

 ーーー

 

 

 夕暮れ時、人々が一仕事終えて家路につく時間帯。同時に飲食店に活気が出てくる時間帯でもある。王国の一角に店を構える酒場も人が入り始めた。そんな客の賑わいを押しのけるようにスイングドアを豪快に開ける者がいる。アダマンタイト級冒険者チームとその他2名、先頭はガガーランだ。

 

「親父、邪魔するぜ。いつものとこに7人。」

 

 ガガーランがカウンターにいる男に挨拶をすると、男は軽く会釈し蒼の薔薇を奥のテーブル席に通した。先頭のガガーランがどかりと椅子に座り、他のメンバーも続いて席に着く。

 

「やー、順調じゃねえか。ラナー王女様々ってとこだな。」

 

「ガガーラン、不用意な発言はよせ。せめて<静寂(サイレンス)>をかけてからにしてくれないか。」

 

「わりぃ、わりぃ。」

 

 蒼の薔薇はラナー王女の指示のもと、八本指の麻薬拠点を掃討して回っているところだ。ラナーが言うポイントを順番に襲撃する事で、尻尾をつかませず、かつ壊滅的な打撃を与えることに成功した。

 

「次はどこを狙うんだ? またチーム別に行動か?」

 

「いや、ラナーが言うには敵がそろそろ本腰を入れて守りに着く頃だって。あと1つを全員でやっちゃって、一先ず畑潰しは終了ね。」

 

「全員作戦、久しぶり。」

 

 7人は運ばれて来たエールビールを口にしつつ、それぞれのチームの状況報告(デブリーフィング)を行なった。特に話題になったのがリカオンの強さについてだ。

 

「ガガーランから聞いてはいたけど本当に強いのね。」

 

 リカオンの戦績を聞いたラキュースは感嘆の声を上げていた。もっとも同じ班のガガーランとイビルアイの作戦時の驚きはひとしおだったが。

 

 襲撃の時、リカオンは行動開始してものの200秒と掛からずに敵の9割を打ち倒し、畑とその付随する倉庫施設を占拠してしまったのだ。

 

「敵に逃げられないようにって言い始めた時は何事かと思ったが、まさか剣の一振りで入り口を瓦礫の山にするとは思わなかったぞ。」

 

 イビルアイが半分呆れたように言った。

 

「私、オブジェクト破壊にプラス補正つくからね。」

 

 得意顔でフフンと鼻を鳴らすリカオン。

 

「そういうことができるなら先に言え。綿密に計画を立てていた私がバカみたいじゃないか。」

 

「やーい、ばーか。」

 

「ばーか。」

 

 すかさず横槍を入れるティアとティナ。それにイビルアイが癇癪を起こすのもいつもの流れだ。ラキュースは3人をよそに話を続ける。

 

「スケリトル・ドラゴンを二体同時に倒した実力は本物ってとこね。」

 

「まだまだ本気じゃないよ。私の戦闘スタイルは自己強化(バフ)ありきのものだから、素の攻撃力は大したことないんだ。条件が整えば最大600%まで倍率かかるよ。」

 

「よくわからないけど、凄いことは伝わったわ。」

 

 意味不明な事を喋るリカオンに苦笑いを浮かべるラキュース。

 

「話してるとこ悪いけどよ、最後の襲撃目標はどこになるんだ?」

 

 ガガーランが王都周辺の地図を広げながら割り込んで来た。丸太のような上腕二頭筋に押しのけられたイビルアイがムギュッという声を上げてつぶれる。

 

「おい。」

 

 抗議の声を上げるイビルアイ。

 

「んーとね。ここかな。」

 

「おい。」

 

「ふむ。王都に近いな。そうなると…。」

 

 残念ながらイビルアイの2度に渡る陳情は聞き入れられなかったようだ。不貞腐れて机に突っ伏す。

 

「スルーなのか? 私こんな扱いのキャラだったか?」

 

 リカオンとクレマンティーヌが来てからどうも自分の立ち位置が変わっている気がする。以前はチームの最年長かつ最強として威厳に満ちたキャラだったはずだ。確かそうだった。

 

「イビルアイが小さすぎて見えていないのだ。」

 

「ぷぷぷ。」

 

「ぷぷぷ。」

 

「コラァ! そこ! 笑うな! ていうか1人厄介なのが増えてるじゃないか!」

 

 いつもどおりの軽口を叩くニンジャ2人と悪ノリをするクレマンティーヌ。ツッコミ役が過労死しかねない凶悪な組み合わせだ。イビルアイは一度反応してしまった事を後悔しつつ、流れを変えるために手頃な話題を探す。

 

「そういえば、そろそろ六腕が出てくるかもな。」

 

「六腕?」

 

 すぐさまラキュースが尋ねてくる。こういう話は聞こえるのな。都合の良い耳しているな、とイビルアイは心の中で毒づく。

 

「俺それ知ってるぜ。八本指の腕利きの奴らだろ?」

 

「ああ。詳しくは知らないが何でもアダマンタイト級の実力を持っているという話だ。」

 

「それは…用心した方がいいかもしれないわね。場合によっては襲撃をかけるのも打ち止めにした方がいいかしら。」

 

 うーん、と考え込むラキュース。

 

「まあ、自分で言っておいてなんだが、六腕自体が八本指が自分たちの脅威を誇張するためのでっち上げだという事もある。何せ名前だけ知られていて殆ど情報が無いんだからな。」

 

「よしんば本当だとしても、そんなに神経質になる必要ないんじゃねえか? 相手はどこを攻められるか分からない以上、守備人員をいろんなところに割かなきゃならねえ。俺たちが襲撃するところだけにたまたま戦力を最大投入はして来ないだろ。」

 

 ラキュースは真剣な面持ちでイビルアイとガガーランの話に耳を傾ける。

 

「確かに、今は八本指を徹底的に潰すチャンス。これをみすみす逃すわけにはいかないわね。それに六腕とやらがアダマンタイト級ならば、それは私達が倒すべき相手。…決まりね。」

 

 ラキュースはテーブルに着く全員の顔を見渡す。そして深く頷いた。

 

「明日決行する。各自用意して。」

 

 

 

 

 

 

 





最近バトル成分が足りないので次話で補充したいと思います。

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