Vol.2 餌付けについて
今や輸送状態の向上により、ショップでのストック段階で餌付く個体が多くなってきました。当然、 採集方法や輸送状態が良くストレスがかかっていないほど餌付く確率は高くなります。例えば、マニラ産のツノダシやチョウチョウウオは餌付けが難しくアサリから餌付けをしている、なんて話を聞く事があります。しかし、値段は2倍ほどしますが沖縄産のツノダシは既に餌付いている個体を入手するのは困難ではありません。これは採集方法・輸送のストレスなどの影響が大きいのでしょう。
餌付いている個体を入手出来れば良いのですが一部の人気種(スミレヤッコやシマヤッコなど)やポリプ食の品種(一部のチョウチョウウオなど)、餌付いている個体を入手できない場合は自宅で餌付けるしかありません。
餌付け=リスク!?
「餌付けをする」という事は「リスクがある個体を買う」という事だと僕は思っています。なぜならば、流通する大半の種類(ポリプ食以外)で、既に餌付いている個体を入手できる可能性があるからです。裏を返せば、ショップで餌付いていないのは「訳あり」の魚。現地で捕獲されてから何も食べずに長距離輸送されてきた個体は弱っていて当然です。当然、リスクを考慮してから自宅に連れて来る必要があります。餌付けをする際は「餌」よりも「水槽環境」と「個体の状態」が大事だと僕は思っています。どんな餌を用意しても、環境と状態が悪ければどうにもならないと感じます。僕の場合は、環境を整えてから、魚達にとって今まで見た事も食べた事も無い”人工飼料”を「食べ物」と認識してもらうのを気長に待ちます。特別な事は”何もしない派”です。
食性を調べる
自然界で食べていたものに近い餌ほど反応は良くなります。例えば、自然界でプランクトンを食べているハナダイにいきなり人工粒餌やクリルや海藻を投入しても期待薄ですが、ブラインやコペポーダには強い反応を示す事が多いです。人工粒餌に見向きもしなかったニシキヤッコが海苔や海ブドウに反応するケースも多々あります。
クリルに見向きもしないフグには活餌を与えると狩りを始め出す場合も。
品種ごとに食性は異なるので、調べると良いヒントが見つかるかもしれません。
とはいうものの、市販の人工粒餌(SUREやメガバイト)は調達が便利ですし保存も容易なので出来れば粒餌に餌付けたい所です。基本的に慣れてくればどの食性の魚も人工粒餌に餌付ける事は可能です。
ただしポリプ食の品種は非常に困難を極めるでしょう。
気長に待つ・・
魚は見た事のない物体を餌と認識する為に・・ニオイを嗅いでいます・・多分^^。どのニオイを餌と見なしてくれるかは何とも言えないので 基本的には少しでも多くの種類の人工餌を用意する事が大事です。
又、長期的な視野から見て扱い難い餌は候補から外すのもオススメです。例えばイサザアミ(活エサ)などは嗜好性は高いのかもしれませんがイサザアミ自体のキープに手間がかかります。 冷凍コペポーダや冷凍ブライン、アサリは非常時には使いますが解凍作業や仕込みに手間がかかる、水を汚す、冷凍コペポーダやブラインに慣れてしまうと人工粒餌に餌付きにくくなる気がするので僕は使いません(主観です)。
添加剤を使う
市販の人工飼料(粒・フレーク)を試したけど反応が無かった場合は人工餌に添加剤を付して与える方法をとります。肝心の添加剤の種類ですが、ニオイが強いものが「餌付け用」として使われます。微粒元素系のフィッシュソリューション、コンビネーション2、藻類エキス系のゾーエマリン、ガーリック系(ガーリックエクストリーム、ガーリックエリクサー、ガーリックパワー)などが手に入りやすい添加剤です。僕が良く使うのはフィッシュソリューション、ゾーエマリンです。
それでも餌付かない・・
それでも何も口にしない場合は、苦労と出費を覚悟して「自然系食材」に頼る事になりますw 。特に全く人工飼料を口にしないチョウチョウウオにはオオバナサンゴを与えて餌付けるまでの時間稼ぎをする方もいらっしゃいます。とりあえずは安価なアサリで様子を見て、それでも駄目ならオオバナサンゴや海藻類を投入します。植物食性・珊瑚食性の魚には効果テキメンです。問題は水質の悪化と高コスト、更には甘やかしてしまった事により人工粒餌に餌付く確率が減って行く事・・。それでも生命維持を優先すべきケースであれば仕方ないかもですね^^。
ちょっとした体験談~オススメアイテム
-人工フレークフード
意外ですがヒラヒラ舞う&柔らかいので粒餌に興味を持たない個体には試す価値があります。又、コンゴウフグやクロハコフグなど歯がないフグの仲間だとあまり大きな粒餌や浮遊しているクリルを上手く食べる事が出来ませんのでフレークフードは食べやすい様です。麺の様にツルリン♪と呑みこんでいくみたいです。うまく餌を食べれていない場合は試す価値があります。
-パッキングされたコペポーダ
宣伝などではないですが、便利なので一応書きます。B-BOXが販売している珊瑚用のコペポーダは非常に使いやすいです。一般的な冷凍コペに比べてエビの成分が含まれているのか臭いも結構あり、嗜好性が高いですし、パッキングされているので非常に扱いやすいです。解凍→アクを分離→スポイトで吸う、といった冷凍ブライン・コペポーダ特有の煩雑な作業をしなくて良いのはありがたいです。
私は解凍作業が大っきらいなので家ではもっぱらこの餌を使っています。家から販売店までは近いので、安定してストックしておける餌として重宝しています。頑固なチョウチョウウオやハナダイにお勧めです。