Vol.1 飼い易い大・中型ヤッコ


小型ヤッコは適度な大きさとカラフルな色彩から人気があります。一方で、大型ヤッコはカラフルでかわいい、というよりは優雅で力強い種類が多いのが特徴です。今回は、大型・中型ヤッコの中から飼い易いのは何かについてレポートしていきます。



飼い易さって何!?


- 水質
硝酸塩濃度等の水質への許容範囲が広いほど飼い易いと言えます。水質に敏感な種類は、水質が悪化すると肌荒れや病気、拒食につながります。又、水質は「褪色」との関係性が非常に高いと言われています。クイーンやイナズマは褪色しやすいキンチャクダイの一種です。

- 水温
26~27℃は比較的維持しやすい水温ですが、品種によっては24℃以下、22℃以下といった低水温でなければ状態を崩すものもいます。夏場の東京だと冷却装置をつけないと37℃くらいまで水温が上がってしまいます。-13℃分の冷却をするのは本当に大変です。しかし、きちんと低水温を維持できないと一瞬で白点だらけになってしまいます。

- 餌付け
なかなか餌を食べないものも中にはいます。幸い、ポリプ専食の種類はいないので環境面で工夫を凝らせば大半の個体が餌付いてくれます。

- 性格(混泳)
臆病な性格だと、うまく混泳をこなせません。当然、餌を取れなかったり攻撃されたりで衰弱していきます。自分よりも大型の個体が居る場合は当然ながら、小さくてもスズメダイや肉食魚がいる場合はストレスになる場合があります。




具体的に・・


- サザナミヤッコ
太平洋産の大型ヤッコで、比較的見かける機会が多いヤッコです。採集地域も近隣諸国が中心なので通年で入手できるのも魅力です。 気が強め、あまり物おじしない性格で丈夫、更には非常に安価です(東アフリカ産の個体は別ですが)。問題は少し外見が地味な所でしょうか。。

- タテジマキンチャクダイ
サザナミヤッコと同様、とても丈夫な種類です。気が強く、浮袋を鳴らして威嚇音を出す事があります。人にも慣れるので手から餌を与える事も可能です。水温・水質の許容範囲も比較的、広いと思われます。サザナミほどでは無いですが、値段もお安めです。

- その他
パッサーやクイーンも飼い易い部類ですが、お値段がお高めなのと水温変化に弱いのでサクっと飼うにはちょっと勇気がいるかもしれないですね^^
個人的には、ニシキ・キンチャクダイ以外は餌付かない事はほとんどないと思うので、問題は混泳面と水槽環境(水温・水質・水流など)だけなのかなーと思います。



幼魚の飼育


- 過信は禁物?
大型ヤッコの幼魚は成魚の姿から想像できない程あどけない感じでかわいらしい個体が多いです。大きくなれば「淡水浴に10分耐える」なんて事もザラな大型ヤッコですが、幼魚の内はそこまで丈夫ではありませんので過信は禁物です。肌荒れをしやすい種類も多いので成魚以上に気をつけてあげる必要があります。水質、水温に問題が無いのに肌荒ればっかりしてる場合は、複雑な水流を作り澱みを無くすようなレイアウトにするのをお薦めします。

- 体色の変化
幼魚から成魚の体色変化を観察するのは不可能ではありません。ウズマキ、ブルーフェイス、マクロス、クイーン、フレンチあたりは成長が早く飼育下で体色変化を観察する事も出来ます。といってもウズマキなどは体色変化が始まって完全に変化するまで1年ほど?かかる事も多いようです。 一方で、中型ヤッコ(ロックビューティー、アフリカヌスなど)の幼魚はデリケートかつ成長が遅いので中々、成魚まで育て上げるのが難しいようです。

-オススメは?
やはり成魚と同様、サザナミ・ウズマキあたりの幼魚は非常に丈夫です。台湾でブリードされているマクロスス幼魚も、かなり丈夫だと思います。
ロック・シテンあたりの幼魚は非常にデリケートなので気を配ってやる必要があります。




最後に・・・

と、色々書いてきましたが、基本的にはどの種類であっても設備と環境さえしっかり出来ていれば上手く飼う事が出来ます。マリンアクアリウムを初めたばっかりの時にとあるショップで「飼い易いとか、飼い難いとか気にしてもしょうがない。飼いたい魚がいるなら、そいつに合わせて環境を作ってやればいいだけ。難易度なんてないよ」と言われた事があって、確かに!と思った記憶があります。

といってもちょっとしたミスで死んでしまう魚と耐えてくれる魚がいるのは事実。
慣れないうちは丈夫な種類でカンを養うのがベターな気もします?