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愛知ウズゲタンを豊橋名物に 道の駅で販売、亡き友の遺志継ぐ
全国一のウズラ飼育数を誇る豊橋市で、卵でなく肉を、韓国料理のサムゲタン風スープに仕上げた「ウズゲタン」が十三日から、同市東七根町の道の駅とよはしで販売されている。豊川市小坂井町のウズラ農家塩野谷和昭さん(45)らが、ウズラ肉の普及に情熱を燃やした亡き友の遺志を継いで作りあげた商品だ。 ウズゲタンは、一羽分(約百七十グラム)のウズラ肉の中に、もち麦、もち米、ネギ、ゴボウ、ニンニクを詰めた料理。鶏肉に比べてビタミンBが豊富といい、野性味のあるコクとあっさりした味が特徴だ。レトルト食品で、電子レンジで温めたり、湯せんしたりして手軽に食べられる。 豊橋市でウズラ肉の普及にいち早く取り組んだのは、同市高塚町の「うずらの里・内田ファーム」を運営していた故内田貴士さん(享年四十二)だった。内田さんは安価な外国産に押されながら卵生産に奮闘していたが、二〇〇九年、飼育中のウズラが鳥インフルエンザに感染。全二十万四千羽を処分する絶望を味わった。 内田さんはこれを機に、ウズラ肉一本で勝負することを決意。クーラーボックスに肉を詰めては東京などの店を一店ずつ営業に回った。さらに、フランスと南米の品種を掛け合わせた新品種「三河山吹うずら」も開発し、国産ウズラ肉は少しずつ広がっていった。 ところが、内田さんは一八年一月、インフルエンザによる肺炎で突然死去。その結果、農場は整理される状況に追い込まれた。しかし、そこで「彼の遺志を継がなければ、同じ農家として絶対に後悔する」と立ち上がったのが、塩野谷さんだった。 ウズラ肉を生産する農場を受け継いだ塩野谷さんは、「ウズラ肉の知名度を上げ、皆に愛されるものにしたい」と商品開発も決意。有志で「世界平和応援宣言!三河山吹うずら普及委員会」を設立し、豊橋市東小田原町の鳥市精肉店らが協力してウズゲタンを完成させた。 塩野谷さんらは「命をかけてウズラ肉を作り上げた内田さんの情熱の火を、絶対に絶やしてはいけない。この東三河から、世界に広げていきたい」と意気込む。 一パック千三百五十円、四パック五千四百円。鳥市の柴田博隆営業本部長(37)は「ニワトリを使ったサムゲタンだと皆で取り分ける必要があるが、ウズゲタンなら一人でまるまる一匹を食べられるのでぜいたくな気持ちになれるかも」とPRしている。 (昆野夏子) 今、あなたにオススメ Recommended by PR情報
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