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【社会】海自中東派遣 近く閣議決定 「国会閉会中…おかしい」「調査研究の名目は詭弁」
政府が海上自衛隊の中東派遣に向けて近く閣議決定しようとする中、派遣に反対する市民団体の抗議行動や法律家団体による記者会見が十九日、東京都内で行われた。市民らは「国会閉会中に閣議決定するのはおかしい」と批判した。 (谷岡聖史、西田義洋) 閣議決定案では、派遣部隊は船舶の航行の安全確保に必要な情報収集を行い、不測の事態が起きた場合には「海上警備行動を発令して対応する。迅速な意思決定に努める」と明記。護衛艦一隻を新規派遣し、現在アフリカ東部ジブチを拠点に活動中のP3C哨戒機を活用するとしている。 東京・永田町の衆院第二議員会館前の路上では、市民団体が抗議した。主催した「戦争させない・9条壊すな!総がかり行動実行委員会」によると、約二千二百人が集まり、「武力の行使は許さない」と声を上げた。埼玉県鶴ケ島市の小田美智子さん(81)は「閣議決定だけですべて決めてしまうことは、あってはならない。民主主義なのに国会が機能していない」と非難した。 横浜市の岩本正義さん(74)は、アフガニスタンで人道支援を続け、殺害された中村哲さんについて触れ、「アフガンも、米国が核合意から離脱したイランも、中東の情勢は不安定になっている。自衛隊は事実上の海外派兵で、調査研究なんて名目は詭弁(きべん)だ」と話した。 弁護士や法学者らでつくる「改憲問題対策法律家六団体連絡会」は衆院第二議員会館で記者会見した=写真。事務局長の大江京子弁護士は「今回のように、軍事的な緊張がきわめて高い状態の中東地域に自衛隊を派遣することは、自衛隊が紛争に巻き込まれ、そのまま武力行使もしくは戦争状態などに巻き込まれる危険性がきわめて高い」と訴えた。 声明では「緊張状態の続くホルムズ海峡周辺海域に展開する米軍への攻撃があった場合、自衛隊は米軍の武器等防護を行うことが認められており、自衛隊が米軍と共同で反撃することで、米国の戦争と一体化する恐れがある」といった懸念も挙げている。 会見に先立ち、連絡会は防衛省を訪れ、派遣命令を発令しないよう求める河野太郎防衛相宛ての要請書を渡した。 PR情報
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