飲食店の集客をグルメサイトに頼り切ってて大丈夫?グルメサイト依存の問題と解決するための戦略について

多くの飲食店が抱える悩みとして、集客に困っているというお店って非常に多いですよね。

僕は20歳ごろから7年以上に渡って、様々な飲食店の広告・グルメサイト運用など集客活動を行ってきました。

飲食店といえど集客方法は多彩で、フリーペーパーや看板、テレビCMといったウェブ以外のものからグルメサイト、リスティング広告までいろいろ経験してきました。

その中で、業態を問わず、安定的に効果が得られるものってやっぱり「グルメサイト」なんですよね。

でも、グルメサイトって長期的に掲載し続けるものではありません。

本記事では、グルメサイトからの集客力が高い理由や頼り続けることのデメリット、今後、飲食店が行うべき集客活動について、解説していきたいと思います。

そもそもグルメサイトは何故集客できるのか

そもそもグルメサイトの始まりは、検索需要の多いキーワードで上位表示させ、人を集めてお店を紹介する、つまり飲食店のSEOを代行して行っているわけです。

SEOとは、“Search Engine Optimization”の略で、検索エンジンに向けてWebサイトを最適な状態に近づけることを意味します。
読み方は「エスイーオー」で、直訳して「検索エンジン最適化」とも呼びます。

このSEOを行うことで、検索エンジンからWebサイトを通じて売上が見込めるようになるので、企業成長が期待できます。

出典:SEOラボ

実際にグルメサイトへ訪れるユーザーの多くは、グーグル・ヤフーからの検索が60%~80%程度。

このSEO対策を飲食店個人で行うことは不可能ではありませんが、「新宿 居酒屋」「新宿 焼肉」のようなキーワードで上位表示させることは非常に難しいです。

というのも、新宿には居酒屋が山ほどありますよね?

「新宿 居酒屋」と検索した人は、「新宿にはどんな居酒屋があるのか」知りたいわけです。

こうした人は、新宿の居酒屋情報がまとめられているサイトを上位表示することが最適解だよねっていうような感じでグーグルは検索結果を決めているわけです。

つまり、「新宿 居酒屋」という検索キーワードに対して、居酒屋一店舗のホームページを検索結果の上位に表示されることは、非常に難しいわけです。
※絶対に無理というわけではありませんが、相当の知識と時間とコンテンツ制作力が必要です。

こういったキーワードで上位表示されているページ内で優先的に表示させる対価として掲載料が掛かってくるわけです。

グルメサイトの収益源は『掲載料』と『広告費』

グルメサイトも飲食店と同じく営利目的で運営されているわけですから、儲からなければ維持し続けることは出来ません。

グルメサイトに限らず、ウェブメディアの収益源は『自社商品の販売』もしくは『広告費』であることが基本です。

グルメサイトの収益源

  1. 自社商品の販売=飲食店の有料掲載
  2. 広告費=バナー広告や無料掲載店舗ページでの広告枠

他にも飲食店に関連するサービス(リクルートでいうとAirペイ・Airレジなどの業務アプリなど)を提供していることが多いですが、グルメサイト単体で見ると上述の2点が基本的な収益源です。

どちらが儲かるかというと、「①の飲食店の有料掲載」です。

この①から収益を最大化するには

  1. 有料掲載店舗を増やす
  2. 1店舗辺りの掲載費用の単価を上げる

上述のいずれかしか方法はありません。

有料掲載をすることでサイト内での露出が増えるわけですから、有料掲載店舗が増えれば当然露出は割れてしまいます。

そこで、「+5万円のプランにしてくれたら、もっと露出増やします」と営業をかけてくるわけです。

当然、掲載店舗が増えれば、サイトの利便性は上がるので利用者も増えます。

利用者が増えれば集客力も上がるわけですから、高額の掲載費用を支払っても利益は残るわけです。

しかし、飲食店は席数が決まってますので、どんなに集客が出来ても売上には限界あります。

また、掲載店舗が増えすぎれば、需要と供給のバランスが崩れてしまいます。

1か月の掲載費は50万円以上!?搾取され続ける飲食店

グルメサイトの中でも掲載費用が高い媒体は「ホットペッパーグルメ」と「ぐるなび」。

この2サイトは、数あるグルメサイトの中でもマネタイズに特化したメディアで、どんなに評判が悪いお店でもお金さえ払えば露出させてくれる、つまり広告集としての側面が非常に強いです。

メディア収益を最大化するために、この2サイトは掲載店舗の増加と価格のつり上げを続けました。

2012年辺りから新宿、渋谷といった都内のターミナルエリアでは1か月の掲載費50万円以上支払うお店も増え、現在でも60万円以上支払っているお店が結構多いです。

実際ここまで掲載費用を支払って、利益が残るのかというと、まともな飲食店を運営するのは至難の業です。

以下の記事でも解説している通り、人件費・食材費を極限まで切り詰めないと厳しいです。

ぼったくり居酒屋がなくならない理由はグルメサイトが原因?悪質な飲食店の集客方法について

2019年10月18日

加えて、「ホットペッパーグルメ」「ぐるなび」は口コミや評点といった本質的なお店の良し悪しを基準とした検索機能がないため、価格競争に巻き込まれることが非常に多いです。

グルメサイトに依存することで陥る3つの問題

グルメサイトが悪かというと、そういうわけではありません。

しかし、グルメサイトに集客を依存しすぎて経営が立ち行かなくなった飲食店も数多くみてきました。

圧倒的に努力不足かつ、能力不足の飲食店ほどグルメサイトに依存しやすいです。

グルメサイトはお金を払えばある程度集客出来てしまうので、楽なんですよ。

もし、効果的な集客戦略が「グルメサイト」しかないという状況であれば、非常に危険な状態です。

具体的にどういった問題が挙げられるかというと以下の通り。

グルメサイトに依存することで陥る3つの問題

  • 集客及び利益のコントロールが効きにくくなる
  • 損小利大の飲食店構築が出来ない
  • 売上や企画などの情報が横流しされる

それでは一つずつ解説していきます。

【問題①】集客及び利益のコントロールが効きにくくなる

第一の問題は、グルメサイトに集客を頼りすぎると集客及び利益のコントロールが効きにくくなります。

グルメサイトの契約は半年~1年間と長く、成果報酬型ではない場合が多いです。

そのため、成果が出ようが出まいがその期間は固定費として掲載費用が発生します。

加えて、掲載費用に応じて露出が変わるため、周辺店舗の増加やプラン変更により、露出が減ってしまいます。

周辺の競合がプランを上げると露出が減るため、掲載プランを上げる必要があります。

1年目は毎月10万円だった掲載費が気付けば毎月30万円払わないと採算が合わないなんてことも割と多いです。

また、グルメサイト側が設けたルールに従わなくてはいけません。

例えば、予約システムとして即予約がリリースされた際には、即予約の使用には基本掲載料とは別に1名辺り50円~200円の従量課金が発生するようになりました。

【グルメサイトのネット予約手数料まとめ】掲載料とは別途請求されるネット予約従量課金について

2019年6月1日
使わなければ良い、というわけではなく、即予約を受け付けることで掲載順位が上がるため、実質的に利用を強制される仕様です。

極端な話、掲載費用の価格も言い値で設定出来てしまいます。

つまり、グルメサイトに依存するということは、実質的にお店の存続をグルメサイトにゆだねてしまってるわけですね。

【問題②】損小利大の飲食店構築が出来ない

第二の問題は、集客に対するコストが一定のため、利益率を上げることが難しくなります。

特に上述の通り、広告集としての役割が強い「ぐるなび」「ホットペッパーグルメ」は、掲載費用に応じて効果がはっきり出るようなサイト設計になってます。

例えば「食べログ」であれば、口コミ・評点が重視されるため、一定の点数がつくことで無料掲載プランであっても十分な集客効果に期待できます。

「ぐるなび」「ホットペッパーグルメ」のようなグルメサイトはどれだけ長い期間掲載しても、店舗の評価が上がるわけではないので、掲載費用を下げれば露出が減り、集客効果が下がるわけです。。

むしろ、周辺店舗がプランを上げたり、店舗数が増えると掲載費用を上げる必要が出てくるため、年々掲載費用が上がる可能性が非常に高いのです。

加えて、低価格コースや食べ放題といった安売りを行っている店舗も多く、価格競争に巻き込まれることもあります。

口コミや評点といったお店を選ぶ材料が少ないため、価格重視で予約をするユーザーも非常に多いわけです。

つまり、長期的には掲載費用が高くなり、集客効果は下がる、集客するために値下げをする、といった負のスパイラルに陥ってしまうお店も非常に多いです。

【問題③】売上や企画などの情報が横流しされる

どこのグルメサイトとは言いませんが、営業担当のモラルが非常に低いグルメサイトも存在します。

もちろん優秀な人もいるにはいるのですが、彼らの仕事は飲食店の売上を上げることではありません。

有料掲載店舗の新規契約の獲得と既存の顧客の継続および掲載プランの増額が目的です。

そのため、効果の高いお店の情報を他店舗に横流ししたり、価格の値下げを促したりするわけです。

「A店は、掲載プランを上げてから予約が20%増えました」
「B店は、食べ放題を始めてから売上が10%増えました」

みたいな感じです。

こういうことされると同じような商品を提供するお店が増えるだけでなく、掲載費用が底上げされるわけです。

加えて、ウェブマーケティングの知識が圧倒的に足りてないわけです。

AIとかSEOとか、それっぽい言葉使うのは良いみたいな感じで営業かけてきますけど、お前意味わかってんの?みたいな感じです。

僕の場合、7年以上飲食を通してWEBマーケティングの知識やプログラミングを学んできたので、突っ込むこと多いんですけど、WEBに疎いオーナーさんならわからないと思います。

「無知は罪」とはよく言いますが、そこに付けいるような営業は本当にクズだと思います。

そんな感じで、グルメサイトの営業担当のいうことは基本的に鵜呑みにしないことです。
よくわからないこと言ってきたら、理解できるまで徹底的に説明させるのもおすすめです。

だって彼らは営業であって、自分の力で集客したことなんてありませんからね。。。

グルメサイトに依存しない3つの戦略

【計画】売上構成の目標・広告予算を明確化する

毎月の売上目標を設定する際、来店経路の割合まで明確に設定することで目標達成に向けての戦略構築が組みやすくなります。

例えば開業初月の売上目標は500万円、1年後は800万円と設定する場合、内300万円は広告(グルメサイト含む)から集客を行うとします。

300万円に対して、いくらお金をかけることが出来るのかが重要です。

お店の業態・FL設定・家賃などによって、広告予算は変わってきますが、費用対効果に基づく基準を設定しておくと良いでしょう。

僕の場合は以下の通り。
※開業初年度の場合

  • 費用対効果7倍
  • 全体の売上の5%
上記の基準を基に初年度の予算を設定し、2年目以降削減できる形で計画を組むことが基本です。

売上目標500万円、広告からの売り上げを月/300万円と想定するのであれば、「費用対効果7倍=約43万円」「全体の売上の5%=約25万円」となります。

初年度に関しては、認知度向上を図るため、「全体の売上の5%=約25万円」の中でグルメサイトに予算を回し、「費用対効果7倍=約43万円」との差額である「18万円」を単発の広告や撮影などに回します。

もちろん、この「18万円」全てを使い切るわけではなく、売上に応じて予算を投下していくイメージです。

「ここまでは広告費を掛ける可能性がある」ことを想定した予算組みをするようにしましょう。

基本的には初年度でお客様を付け、リピーター割合を増やし、2年目以降は広告予算を一気に落とすというような戦略ですね。

【準備】情報発信に必要なコンテンツに対してのお金は惜しまない

WEB上に限らず、お店の情報をより多くの人に知ってもらうためには、わかりやすいコンテンツが重要です。

情報発信に必要となるものに関しては、しっかりとお金を掛けるべきです。

具体的には以下のようなものが挙げられます。

  • 写真
  • 動画
  • 看板・メニューなどの制作物

写真や動画はプロに委託するとお金は掛かりますが、一度撮ってもらえば、ホームページからグルメサイト、SNS、紙面媒体まで様々なメディアで利用することが出来ます。

お店の規模、業態によりますが、50席程度の居酒屋であれば、6時間程度の撮影で空間、料理、イメージカットまで一通り必要な撮影を行うことが出来ます。

撮影費用は委託先によってピンキリですが、1時間辺り1万円~1.5万円ほどが一般的です。

最近ではスマホのカメラ性能が非常に高いですが、料理撮影に関しては照明の設置などライティングが非常に重要なので、プロカメラマンに撮影してもらうことをおすすめします。

【運用】成長に期待が出来るメディア運用を行う

長期的に運用を行うことで集客力に期待が持てるメディアに力を入れることが大切です。

僕は個人店や小規模飲食法人から相談受けることが多いですが、基本的には以下のメディアの運用戦略についてアドバイスすることが多いです。

口コミ系グルメサイト

  • 食べログ
  • レッティ
気軽に情報発信ができるSNS

  • FACEBOOK
  • Instagram
  • Twitter
  • youtube
WEB上の受け皿&SEO戦略で集客できる

  • ホームページ

それぞれの強みと運用するポイントを簡単に紹介していきます。

口コミを重視するグルメサイトに力を入れる

グルメサイトで例を挙げると「食べログ」「レッティ」といった口コミを重視するメディアがおすすめです。

この2媒体は、有料掲載することで露出が増えることは「ホットペッパー」「ぐるなび」といった媒体と変わりありません。

Retty(レッティ)の掲載料・有料プランによる違いを解説!気になる集客効果は?

2019年8月29日

【食べログ有料プランの選び方】プランの違いや掲載費用も併せて解説

2019年7月27日

しかし、良い口コミが入ることで点数が付いたり、サイト内の露出が増えるなど無料掲載であってもアクセスを集めることが可能です。

意図的に口コミを書くなど、サクラ行為はおすすめしませんが、来店されたお客様へ口コミの促進を行うくらいは取り組むべきでしょう。

気軽に情報発信ができるSNS

SNSは無料で利用することが出来る情報発信ツールです。
利用者も多く、無料で情報発信ができる反面、情報量が多く運用が難しいと感じる人も多いと思います。

SNSの運営がうまくいかない飲食店のほとんどは、ファンがいないのに宣伝ばかりしていることが多いです。

まずはお店を知ってもらうために、他人が求めている情報発信を行うなど誰かの役に立つ情報発信を行いましょう。

例えば、レシピを動画にして配信したり、お店の地域情報を発信するなど。

このアカウントをフォローしておけば、有益な情報が得られるというイメージ作りを行うことで、徐々にお店に興味を持ってもらうことが重要です。

SNS運用については別の記事で詳しく解説したいと思います。

WEB上の受け皿&SEO戦略で集客できる

SNSは情報発信が気軽でできる反面、お店の細かい情報発信には向いてません。

SNSを見てお店に興味を持った人に対して、売り込みをかける役割としてホームページは非常に効果的です。

また、グルメサイトの場合、独自的なコンテンツを作れないため、SEO対策を行うことは基本的には出来ません。

ホームページであれば、自由にコンテンツを作ることが出来ます。

「新宿 居酒屋」といったキーワードでのSEO対策は難しいですが、競合が少ないキーワードに関する記事を作成することで、検索エンジンからの直接的な流入経路を確保することが出来ます。

グルメサイトにお金を払って集客を任せるのではなく、毎日1記事ホームページでコンテンツ発信をすることで、1年先2年先にグルメサイトに依存しない集客スキームを確立できるわけですね。

また、ホームページは基本的にはお店側の持ち物のため、他社が設けたルールに従う必要はありません。

グルメサイトの運用は自店で必ず行うべき

グルメサイトの運用代行やコンサルに委託する飲食店もありますが、特別な理由がない限り自店で行うべきです。

なるべくオーナー自ら運用を実践的に行うことをおすすめします。

というのも、グルメサイトの利点はSEO対策を行う必要がないので、ウェブ集客を基本を理解する上で非常に簡単です。

例えば、ホットペッパーグルメの特集設定を行う際に、テーマによってクリック数が全く異なります。

多くの場合、グーグル上で検索需要が高いキーワードで上位表示されていたり、サイト内で目立つ位置にリンクが設置されているなどです。

「流入割合が多いから」ではなく、何が要因であるのか、そしてどういった打ち出しが反響が良いのか、など思考と検証を繰り返しましょう。

グルメサイトに限らず、ウェブ集客では検証と振り返りの繰り返しです。

こうして、適正な運用が出来ているのか判断できる知識はつけるべきです。

検索キーワードやSNSから世の中の需要を読み取る力を付けることで、企画・開発で受けるものが作りやすくなります。

「よくわからないから」という理由で安易に外注を使うのは辞めましょう。

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