太陽が容赦無く照りつける真昼、2人の獣が相対する。一方は夜を塗り込めたような漆黒のフルプレートの甲冑に身を包んだ戦士。赤いマントを風にたなびかせ、その背には巨大な両手剣を二本差しにしている。一方は黄金色のヘルムに挑発的な赤い飾りをつけた軽戦士。腰に巻いたベルトには業物であろう見事な剣を帯びている。
ここは都市エ・ランテルの城壁の外、草木がマメに剪定されてあり、障害物も何もない場所。2人はここで剣戟を交えようとしている。観客には都市の衛兵と検問待ちの旅人や御者がおり、彼らは暇を持て余してどちらが勝つか賭けをし始めた。
「では、型など何も考えずに自由に手合わせするということで。」
「オッケーです。」
モモンは近接職初心者なので型もへったくれもないのだが、リカオンも特定の戦いの型はなく、敢えていうならば実戦剣法といったところだ。互いの距離は10m、リーチを考えればモモンが多少有利か。観客の大方の予想も体格の良いモモンに軍配があがるだろうとしていた。
「よいしょ。」
リカオンは三日月刀を腰から抜いて、格闘武器も装備する。その姿にモモンは違和感を感じた。普通フルプレート相手なら鎧の隙間を攻撃できる突剣を選択する筈だ。斬属性と打属性を選択するとはどういうことなのか。もしかするとこいつ、俺の正体を見破っているのかも知れない。
モモンは実は人間に扮したアンデットなのだ。種族はオーバーロード、スケルトン種である。種族特性から突属性耐性が高く、打属性耐性が低い。もしや俺を仕留める気ではあるまいな。
「
気になったので単刀直入に聴いてみた。するとリカオンはキョトンとした顔をして答える。
「殺し合うわけじゃないですし、鍔迫り合いをするにはこっちの方がいいでしょう?」
ああ、成る程そういうことか。モモンは自分のPVP脳を改める。戦いになると、どうしてもいかに効率良くダメージを与えられるかという思考になってしまうのだ。
「そうか、失礼した。」
モモンは凝り固まった思考を振り払うようにグレートソードを1つ抜き、縦に横に空を斬り付け感触を確かめた後、両手で持って正眼に構えた。観客からは巨大な両手剣を軽々と扱うモモンにどよめきが起きる。
やる気満々のモモンにリカオンも戦闘態勢に入った。右脚を後ろに開き三日月刀の鋒を相手に向けてフェンシングの構えを取る。勝負の匂いに観客のボルテージもうなぎ登りだ。
モモンは周囲の雑音など気にも留めず、目の前の相手に集中する。いつでも掛かって来いという気持ちで重心を深く落とす。何が来ても初撃は受け止めてやるつもりだった。いくら相手がスピード重視の装備や戦闘スタイルでも、100レベルのパラメータがあれば対応可能だろうと軽く考えていたのだ。
「来い。」
モモンは視界の中心に相手の全身を捉えており、相手の一挙手一投足を具に観察することができる。対象のリカオンは軽く刀を上下に振り、攻撃のリズムを作り出そうとしている。刀は見せつけるようにふらふらと動く。モモンの目がつい、刀の動きに気をとられた瞬間。
モモンはリカオンを見失った。
「!」
姿を眩ましたのはほんの一瞬、モモンは再度リカオンを発見する。その位置は自分から僅か1メートル、相手の攻撃範囲に入っている。そして既にリカオンの三日月刀は右から襲い掛かり、モモンの胴体を横薙ぎにしようとしていた。
モモンは三日月刀に集中していた為、辛うじてその動きに対応できる。攻撃の進行方向にグレートソードを滑り込ませ、正面から受け止めんとする。
『スキル
突然あり得ない方向にリカオンの三日月刀の軌跡が曲がり、モモンのグレートソードとの衝突は避けられた。リカオンはグレートソードを躱し、モモンの目の前に着地する。
(大振りな横薙ぎはフェイント!本命は…。)
バランスを崩しているモモンに対して、腰を低くして安定した構えをしているリカオンから最短距離で掌底が放たれた。
「くぉっ!」
咄嗟にモモンは身を翻しマントでリカオンの視界を遮るが、無駄な足掻き、左脇腹に打撃を喰らった。
ガキィィン!!
鎧と武器が派手な音を立て、モモンが吹っ飛ぶ。称賛すべきはリカオンの戦闘技術、この一撃を成功させる為の始めの武器の構えからフェイントまで無駄な動きが一切無い。
「この程度!」
モモンは地面に叩きつけられる前に<飛行>で空中制御し、即座に体勢を復帰させる。一対一ではダウンを奪われるのが一番拙い。追撃に起き攻め、スキル発動の待機時間を稼がれる等、良いことは1つもない。
モモンはてっきり追撃が有るものと踏んで直ぐさま身構えたが、相手は此方を追って来ず、武器を構えている。慎重に様子を見ているのか、早く終わらせるとつまらないと思ったか。それともその両方か。
(何が鍔迫り合いだ、初めからぶっ込んで来やがった。それより、相手は先日見た王国戦士長より遥かに強い。やはり此方の世界にも強者はいるのか。それとも…。)
モモンが思考の海にとらわれる前に、再度リカオンが突っ込んで来る。
「うおぉぉおらぁぁあ!」
怒号とともに高速で吶喊するリカオン。だがモモンも戦士との戦闘経験は豊富に有る。物凄いスピードだが、一度見れば容易く対応可能だ。しかし相手は明らかに戦士としては格上、今のまま正面からぶつかり合えば負ける。やりたくなかったがモモンは仕方なく奥の手を使うことにする。
<
モモンは戦士化の魔法を唱える。これで即席の100レベル前衛職の出来上がりだ。
モモンは突っ込んで来るリカオンに左手で逆袈裟にカウンターを合わせる。地面を削り、土を捲き上げながらリカオンの顔面に迫り来るグレートソード。だがリカオンは一切スピードを緩めることなく、グレートソードの腹を右手で小突き、払いのける。刹那の見切りと熟練の技が無ければ出来ない芸当だ。
ニヤリと勝ち誇った様に笑うリカオン。隙だらけな左胴に拳の突きを繰り出す。だがここまでモモンの手の内だ。モモンは斬り上げの勢いそのままに飛び上がり、上半身を捻ったと思うと、背中のもう一本の大剣を右手で掴み、抜刀しながら一回転。裏拳の要領で剣を横一文字にブン回す。化け物じみた身体能力だ。
「ぐぅ!」
ガキィィンと、先程と同じ音が鳴る。今度はリカオンの方が吹っ飛んだ。姿勢を低くして吶喊したため大剣をもろに頭に喰らったのだ。リカオンはゴロゴロと地面を転がりながら受け身を取る。直ぐに立ち上がって見せたが、ダメージを少なからず受け息を切らしている。兜も先程の攻撃で脱げてしまった。
「やられっぱなしは性に合わないのでね。」
モモンはニヤリと笑った。
リカオンはモモンの戦闘センスに素直に驚いていた。1駆目はこちらの策に嵌ったのだが、2駆目には対応して来たどころか此方の度肝を抜いて来た。
「ここで止めるかね。」
モモンが問う。
「まさか。」
リカオンは顎にかけて伝って来た鼻血を拭いながら答えた。出血の見た目は酷いが骨は折れていない。にぃ、と歯を剥き出しにして笑みを浮かべる。強者との戦闘は堪らない。これからがお楽しみなのだ。先程のやり取りでお互い相手の戦闘スタイルは大体分かった。今からは力と技の駆け引き、不意打ちが通用しない純粋な戦闘になる。
リカオンは再度三日月刀を構えた。そして今度は距離を一気に詰めようとせず、ジリジリとした足運びで相手に近づいていく。ゆっくり、ゆっくりと、だが確実にモモンの剣の射程距離に入っていく。
(踏み込めばグレートソードが当たる距離。攻撃を誘っているのか?カウンターが怖いが、これ以上近付けると小回りの効かないこちらが不利になる。)
モモンが攻撃の予兆を見せると、リカオンはピタリと止まった。数秒、両者は沈黙を守り、相手の出方を伺っている。まるでお互いの次の行動で賭けをしているようだ。
場の緊張が高まる。
戦いの気に当てられて騒がしかった観客たちも静まり返っている。唾を飲む音さえ聞こえる静寂。
先に仕掛けたのはモモン。右のグレートソードを一息にリカオンの頭に目掛けて叩き付ける。巨大な岩山をも両断する威力、当れば並の人間なら縦に半分になって死ぬだろう。リカオンは身を低くして死の圧力を潜り抜け、モモンの右側に回り込む。攻撃の死角に入ることで左の追撃を受けないためだ。
それをみすみす許すモモンではない。地面に突き刺さった右のグレートソードを支えにして右脚で回り込んで来るリカオンに対し唐竹蹴りを放つ。
『スキル:地蔵』
「なっ?」
リカオンは顔面にまともに蹴りを受けるがびくともしない。それどころか逆にモモンの方が反作用で押し返された。バランスを崩すモモンにリカオンはすれ違い様に右腕でラリアットをかます。リカオンの武器は的確にヘルムの中心を芯で捉え、会心の一撃となった。
「がぁ!」
モモンは後ろ向きに地面に叩きつけられる。
「いよし!」
決まった。リカオンはガッツポーズを取る。顎にクリーンヒット、普通なら
「イェーイ!ぶい!」
リカオンは両手でピースマークを作り、満点の笑顔を見せる。その顔は誰もが恋に落ちるような可憐なもの……、ではなく再三顔面に攻撃を喰らって両の鼻の穴から血が滝のように流れており、折角の整った顔が台無しであった。
「よっこいせっと。」
そんな盛り上がるリカオンと観客を他所にモモンは何事もなかったかのように立ち上がる。
「ええー!?なんで!?」
「鍛え方が違うのでね。」
本当は脳が無いのでバッドステータスを受けなかったのだ、無いものは揺れない。アンデット特性様様である。
「さて、と。」
両者戦闘続行可能なので、決闘は続く。2人は10mの位置で向き合い直し、次の掛合いの準備をする。
(やはり専門の前衛職はスキルの使いどころが上手い。不用意な攻撃は避けた方がいいな。相手の対処できない大技をメイン軸に戦闘を組み立てて行かねばならない。そうなるとチャンスをひたすら待ってカウンターを決めて行く感じか。)
(
視線がぶつかり合い、今一度戦いの火蓋が切って落とされようとした時。
「そこで何をしている!!」
城壁の方から怒声が聞こえた。見ると役人か何かの格好をした人間が兵士を引き連れて、此方に近づいて来た。
「いや、検問が時間かかりそうだったので暇つぶしを…。」
「暇つぶしだと?お前らの周りをよく見てみろ!」
促されるまま周りを見る。地面はあちこちめくり上がり、穴だらけになっている。モモンが剣を突き立てた場所など20mほどの長さの亀裂が入り、リカオンのラリアットでモモンが沈められた場所はクレーターが出来ている。この惨状では、街を預かる身であれば癇癪の1つも起こそうというものだ。
2人は少し反省した。ユグドラシル時代では時間経過でフィールドエフェクトは復元されていたので全く気にならなかったが、こちらでは幾分目立ちすぎる。
役人の怒りは2人の前まで来ても収まりそうにない。唾のかかる距離で怒りをブチまけている。
「いや、申し訳ない。」
「ごめんなさい。」
「誰が地面を整備していると思っとるんだ!全く近頃の冒険者は!でかいのは図体だけか?頭に脳は詰まっているのかね!」
役人がモモンのヘルムを小突く。
(スミマセン、詰まってません。)
バキッ。カランカラン。
「は?」「あ。」「え?」
突然ヘルムが割れて地面に落ちた。リカオンとの戦闘でダメージが蓄積されていて、今のパンチで限界を突破したのだ。
「あーあ。」
「あ、あ、あ」
「「アンデットだーーー!!!???」」
そこにあったのは肉のない顔。正真正銘の化け物だ。役人、観客たちは蜘蛛の子を散らすように逃げ出す。兵士たちも及び腰だ。そんな周りを気にも留めずモモンは1人心情を吐露する。
「…やっちまった。計画がパーだ。」
モモンはガクリと肩を落とす。その言葉に反応するものが1人。
「計画だと!?まさかこの街を狙っていたのか!変装して潜り込んで虐殺をするつもりだったのだな!」
一目散に逃げ出した役人だが、口だけは達者だ。何か変な方向に話が進んでいるが否定するのも面倒だ。そういう体にしてこの場を切り抜けよう。
「はっはっは、バレてしまったか。仕方があるまい、今日のところは帰らせてもらおう。
「ハッ。」
ナーベラルと呼ばれたナーベは魔法を詠唱し始める。昨日、今日と鬱憤を貯めてきた彼女は愉悦の笑みを浮かべてさぞ楽しそうだった。
<
ナーベが魔法を発動させると、その足下に亀裂が入り、城壁の方へ波打ちながら進んで行く。一拍した後、亀裂が拡がったと思うと地面が穴の内側に崩れ始め、あらゆるものが飲み込まれ出した。
「やば。」
検問所は大惨事だ。展開が早すぎて状況が飲み込めていなかったリカオンも100m7秒台のダッシュでひたすら逃げる。騒ぎが落ち着いた頃にはあの2人組はどこにもいなかった。
ーーー
その日エ・ランテルはてんやわんやの大騒ぎだった。街の近くで強大なアンデットが出現したことにより厳戒体制が敷かれ、冒険者組合は至急討伐チームを結成する為人員を募り出した。
そんな中リカオンは重要参考人として役所に出頭していた。だがそんな事は気にも留めず、リカオンは1つの事に思い当たっていた。
「あの声、あの顔…。ひょっとしてモモンガさんじゃね?」
ーーー
ここはナザリック地下大墳墓、玉座の間。アインズはこの度の情報収集計画が失敗した事について緊急閣僚会議という名の謝罪会見を開いていた。メンバーはガルガンチュアとヴィクティム、任務のあるシャルティアを除く守護者各位とナーベラルである。
「かくかくしかじか…。というわけで、なんというか…その…計画を一部変更してだな、一度帰還したのだ。」
アインズはチラリとアルベドを伺う。無理を言ってナザリックの外に出たのに、初志を貫徹出来ずにおめおめと帰ってきたのだ。アルベドに合わせる顔が無い。当のアルベドはニコリと聖母のように微笑んでアインズを見つめ返す。心の内では何を思っているかわからないのでとても怖い。アインズはもう考えない事にした。早速本題に入る。
「さて、計画は予定と変わったわけだが全く問題はない。だが私1人の考えで行動しては組織全体の動きに不備が出るやもしれん。そこでお前たちの意見が聞きたいのだ。今後どうすれば良いのかをな。」
嘘だ。今後の計画は一切無い。白紙状態だ。
「ソノヨウナ事、我々シモベハアインズ様の御心ニタダ合ワセルノミ」
コキュートスの言葉にシモベ達はみなうんうんと揃えて首を縦に降る。
(言葉自体は嬉しいけど、そういう事を聞きたいわけじゃないんだよなー。)
「お前達の忠誠、嬉しく思う。それを承知の上で、お前達の意見を聞きたい。なにぶん私1人では見落としもあろうからな。」
意訳すれば、この後どうしたら良いんですか教えてください、だ。
「現状のままで何も問題は無いかと存じます。というよりもやはりアインズ様の御計画はいつも我々の先を行かれる。ナーベラルという人選を考えると元よりこうする予定だったのでは?」
「全くデミウルゴスの言う通りでございます。」
(え?)
ナザリックの頭脳2人が相次いでアインズを褒める。他のメンバーはアインズも含めてどうしてこういう話の流れになったのか分からない。
「デミウルゴス、どう言う事?」
アウラが不思議そうに尋ねた。マーレとコキュートスも同様にデミウルゴスに視線を集める。アインズは興味の無いフリをするが、聞き耳を立てて会話の経過を探る。
「何事も見通す神算鬼謀の持ち主であらせられるアインズ様が計画の変更を余儀無くされることなどあり得るかい?今までの行動、あのカルネ村を助けたのも、王国戦士長と懇意にしたのも全てこの状況を作り出す為だったのだよ。」
(え?え?)
アインズの頭の中はクエスチョンマークでいっぱいだ。しかしここは支配者ロールでなんとか乗り切るしか無い。話の流れで自分が説明する羽目になることだけは避けなければ。
「はっはっは、デミウルゴス、アルベドよ。少々買いかぶりすぎではないか?今回は賭けのようなものだった、偶々だよ。」
「またまたご謙遜を。」
「アインズ様の誘導あればこそです。」
賢い3人(2人)だけの会話に他のメンバーは面白くない。
「つまりどういうことなんです?アインズ様。」
縋るようにアウラが説明を求める。
「私から話すのは少し照れるな、デミウルゴス頼むよ。」
「では僭越ながら。」
(セーフ!バトンはデミウルゴスに渡された。あとは見守るだけだ)
「先ず、現状がどうなっているか整理してみよう。王国にとっての要所エ・ランテルに強大なアンデットが現れた。そのアンデットは都市の前で戦闘、供の魔法で甚大な被害を出した後、行方を眩ませた。」
デミウルゴスがつらつらと解説していく。
「今、王国は大きな脅威に晒されていることになる。現有戦力では対処できるか分からない。そこで白羽の矢が立つのがカルネ村と王国戦士長を救ったアインズ・ウール・ゴウンという
「でもどちらもアインズ様だよ?出現タイミングも同じだし、関係性を疑われるんじゃないかな。」
「そう。だからアインズ様は戦士の姿でエ・ランテルに行き、一流の戦士としての力を見せた。国を脅かすアンデットと村を救った
(話の流れがおかしい。たかが情報収集をするだけの計画の筈なのだが、王国を侵略する計画になっている。皆そこには疑問を抱いていない様子だし、おかしいのは俺だけ?)
「更に盤石に事を進めるために予めアインズ様は王国戦士長とパイプを作っておき…。」
デミウルゴスの話が続いていく。
「如何致しました?アインズ様。」
「ん、あ、なんでもないぞ。」
考えているところに突然アルベドが話しかけてきたので、言葉を濁してしまった。誤魔化すために話題を少し変える。
「いや、1つ懸念事項があってな。」
アインズの言葉にシモベ達が一斉にこちらを向く。
「私が実際に戦うことになったリカオンとやらのことだ。名前もプレイヤーネームのようだし、偶然かと思っていたがあの強さだ。プレイヤーの可能性があり、監視が必要だ。後、連れのクレマンティーヌとか言う奴もだ。」
「ハッ。直ちに対処致します。」
「但し、迂闊に手を出すんじゃないぞ。落ち着くまで明らかな敵対行動はしたくない。」
「承知致しました。」
「では今日は解散とする。」
指輪で転移したアインズは周りに誰もいない事を確認して、悲喜交々の溜息をつく。
「はぁ。なんとか守護者達には説明付けたけど、暫く気晴らしとして戦士の真似事をするのはお預けかぁ。参ったな、またギルドを抜け出す良い手を考えないと。それにしてもリカオンか、変なやつだったな…。」
アインズは昼に戦った女に想いを馳せる。もし奴がプレイヤーなら、アインズ・ウール・ゴウンのメンバーもこの世界に来ている可能性がある。そうなれば捜索活動にも一層熱が入ろうというものだ。
大英雄モモン誕生ならず!
何気に巻き込まれたクレマンティーヌさん。彼女の明日はどっちだ。