ジャーナリストの伊藤詩織さん(30)と、伊藤さんから15年4月に性的暴行を受けたとして1100万円の損害賠償を求めた民事訴訟を起こされ、18日に東京地裁(鈴木昭洋裁判長)から330万円を支払うよう命じる判決を言い渡された、元TBSワシントン支局長の山口敬之氏(53)が一夜明けた19日、都内の日本外国特派員協会で会見を開いた。

先に会見を開いた山口氏は、伊藤さんとの性行為について「私が支局長であることで、仕事を上げるからセックスをさせろとか、そういうやりとりは一切、ございません」と強調した。伊藤さんがジャーナリストとして記者席で取材する中、山口氏は「伊藤さんがいらっしゃっている前で、カメラの前で詳細を話すことは、あまり良いこととは思えないので裁判資料をぜひ読んでいただけたら。何が起きたか分かってもらえると思うが、私が自分の立場を利用して性行為をしたことは全くない」と訴えた。

また山口氏は、酒に酔った伊藤さんをタクシーに乗せたことについて「ホテルに向かう全てにおいて、それがベストだったかと言われると、こういうことを起こしてしまった以上、私は非常に悪い選択だったんだろうなと、今は反省しております」と語った。

会見後、応じた囲み取材では「道徳的に間違っていたから、ごめんなさいと言えば良いんだろうけど、2年間(裁判に集中するため)黙っていた間に『薬物を盛った性犯罪者だ』ということが流布、固定されている。今、私は違法行為を一切していないところからスタートして戦わざるを得ない」と語った。

また「山口さんが考える性的合意とは、どういったものか?」との質問には「明確に性行為に合意はありました」と答え、「(伊藤さん)ご本人から、そういう(合意の)言葉はあったか」との質問にも「はい」と答えた。

伊藤さんがジャーナリストとして会見を取材していたことについて聞かれると「僕は今でも記者ですが、ここ(日本外国特派員協会)は、ジャーナリストでありさえすれば、入れてくれるオープンなところ。伊藤さんはジャーナリストを名乗って活動されている。いらっしゃるのは、問題ないと思います」と語った。

前日まで裁判で争った人間同士が、時間を前後して同じ会見場で会見したこと、しかも自らを訴えた伊藤さんが記者席にいたことについては「しょっちゅう、ある(シチュエーション)かと言われたら私も、なかなかない状況だとは思います。伊藤さんに来てほしくないという気持ちは全くなくて、出来るだけオープンにお話しするということ」と語った。

また山口氏は「期限は1月6日ですが、控訴いたします」と、控訴する考えを改めて明言した。