「freee」大型上場、海外投資家が殺到した理由

上場相次ぐ「SaaS」ベンチャーは盛り上がるか

12月17日に東証マザーズに上場したfreee(フリー)。写真は取引所での上場セレモニーの模様、中央が佐々木大輔CEO(撮影:今 祥雄)

今年2番目の規模となる大型上場となった。クラウド会計サービスを手がけるfreee(フリー)は12月17日、東証マザーズ市場に上場した。

初日は公開価格2000円を上回る2700円で引け、株式時価総額は1259億円をつけた。株式募集・売り出しの金額や時価総額では、クラウド名刺管理サービスのSansanに次ぐ規模となった。調達した約120億円は、営業・マーケティングや製品開発などに投じる。

主力製品の「会計freee」は、従来の会計ソフトとの発想の違いを前面に打ち出し、個人事業主やベンチャー企業向けに展開されている。同様のサービスを手がけるマネーフォワードや弥生を含めた主要3社のうち、ユニークユーザー数はトップとなった。

自動で会計帳簿が作られていく

従来のソフトでは会計帳簿と同様に貸方、借方の項目に数字を打ち込んでいた。だがfreeeは、さまざまな銀行やクレジットカード会社と連携し、明細データを取り込んで自動で仕訳する。また、請求書を発行して期日までの支払いがなかった場合には通知が送られるといった機能もある。

「会計freee」のサービス画面。さまざまなアラートが自動的に出てくる(写真:freee)

「会社の日々の業務をfreeeの上で回していくだけで、自動で会計帳簿が作られていく。蓄積されたデータでリアルタイムに経営の分析もできる。担当者が経理の知識を持っている必要はない」。佐々木大輔CEOはそう語る。

2019年は、freeeのような法人向け「SaaS(Software as a Service)」を手がける企業の上場が相次いだ。SaaSはクラウド上で提供する定額課金サービスを指す。先述のSansanのほか、POSレジシステムのスマレジ、人材管理のカオナビ、ビジネスチャットのChatworkなどだ。

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  • 東洋経済購読マンa6605f19310f
    時価総額が1259億円もあるのに、売上が45億円しかないの!?

    驚きだ。
    up24
    down4
    2019/12/19 06:00
  • 今日のご飯はf81b0319ab5a
    私もfreeeを使用していますが、非常に使いやすいです。
    しかし、現時点では確定申告書は「税理士」に連携する方式となっていますので、
    私のような超零細会社には少し残念です。

    本件のビジネスモデル(販路)は、税理士でもありますので、仕方ないかもしれませんが、税務申告までできるようになると非常に便利です。(税理士の仕事が減る可能性大)

    そもそも、確定申告書は、決算書の内容を転記するだけにもかかわらず、非常に難しい(税理士のための書式)ためです。
    私のような、利益が数十万円の会社で20万円程度を税理士にしはらうのはナンセンセスだと思います。
    別に、税理士さんへの20万円が高いと言っているわけではなく、単なる転記のために税理士先生に依頼することが無駄だと言っているだけです。

    ちなみに、私は確定申告書をfreeeのデータを移行して他の申告書作成ソフトで作成しています。
    up19
    down2
    2019/12/19 08:32
  • ゆー9665f9a45cf5
    目に見えない仕分けが発生しないor僅少な小さな会社にはいいだろうね。上場企業となった自社の会計をこのソフトでやってたら笑うわ。
    up4
    down3
    2019/12/19 10:36
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