当銘寿夫

「怖いよ」仕事中に小学生の娘から5分おきメール……敏感な子ども「HSC」と向き合う親の苦悩

12/19(木) 7:55 配信

「ハイリー・センシティブ・チャイルド」(HSC)という気質を持った子どもたちがいる。「人一倍敏感な子ども」という意味だ。感受性が豊か。他人の気持ちによく気が付く。一方で、周囲の刺激に敏感で傷付きやすい――。そして親たちは、戸惑いや悩みも深いという。HSCについては、大人版の「ハイリー・センシティブ・パーソン」(HSP)もある。あまり知られていない、その現状を追った。(文・写真:当銘寿夫/Yahoo!ニュース 特集編集部)

突然の「学校に行きたくない」 やがて長期化

ある年の9月、2学期が始まる日だった。

埼玉県に住む斉藤和代さん(40代・仮名)の娘が朝、「行きたくない。給食食べて、吐いたらどうしよう」と言い出した。小学校1年生。今日は始業式だから給食はないよ、と言い聞かせて送り出すと、帰宅してからこう言った。

「お母さん、明日は行きたくない」

斉藤和代さん(仮名)。HSCの娘を育てている=埼玉県内で

予兆はあったという。夏休み中、熱中症のような症状が出て学童保育を休み、その後、学童保育に行けなくなった。斉藤さんは「学校に行ければいい」と考えたが、学校にも通えなくなる。

登校しようとすると、おなかが痛くなった。小児科を受診しても、医師は体に異常は見当たらないという。何度か受診した後、小児神経科を紹介された。小児神経科の医師は「不安障がいかもしれません」と言う。

並行して行政の教育相談室も訪れた。そのときのことである。

そこは、担当者が親子別々に話を聞く方式。1時間ほどの相談を終えて斉藤さんが外に出ると、泣き疲れた娘が立っている。母親と離されたことが不安で、ずっと泣き続けていたという。

「二度と教育相談室に行かない、と言いました。ほかの相談にも行けなくなって……。家でのお留守番もどんどんできなくなった。とにかく、私がいないとだめなんです」

娘のランドセルと机

娘から職場に「怖いよ」 5分おきに連絡

斉藤さんは、実母とも一緒に暮らしている。学校に行かなくなった娘を実母に頼み、斉藤さんは仕事に出た。娘には子ども向けの携帯電話を渡したが、今度は携帯に何度も連絡が来た。

「メールで何度も『怖いよ』って。5分おきだったこともあります。電話もしょっちゅうかかって。上司が『心配だったら帰っていいですよ』って言ってくれて早退したんですけれど、結局、その日を最後に職場に行けなくなった。娘は家の中どころか、私が一緒の部屋にいないと不安がるようになって」

斉藤さんと娘の離れられない日々が始まった。

イメージ

カウンセリングのために外出すると、建物の入り口で娘が強く嫌がり、入ることができない。電話相談をしようとすると、察した娘が携帯電話を持つ腕の裾を引っ張り、通話ができない。久しぶりの場所や初めての場所も極度に嫌うようになった。

斉藤さんの行きつけの美容室に一緒に付いてきても、店の前で泣き出す。だから、斉藤さんは自分で自分の髪を切るようになった。

「本当につらかったですね。くっついて離れなくて。どこにも行けない。誰とも会えない。誰かに相談さえできない。シングルマザーだったので、私が働かないと収入もない。フェイスブックとか、見られなくなっちゃいました。(友達は)みんな、『ここ行ってきたよ』と写真を載っけるじゃないですか。精神衛生上、すごくよくないんですよ。だから見なかったです。一切やめた」

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