黒田兵衛は2人存在し、一方がラム、もう一方が脇田兼則による変装。
つまり黒田と脇田は同一人物であるというのが私の考察です。
今までブログで綴っていた内容以外にも両者が同一人物というヒントがあるのでご紹介したいと思います。
「犯人は元太の父ちゃん」はRUM編の伏線
RUMの名前が作中に初登場したのは85巻。ですがそれよりずっと前の63巻にRUM編のヒントと考えられるエピソードが収録されています。青山先生はかなり早い段階からRUM編の構想を練っていたとされています。63巻で断片的にヒントを描いていても不思議はありません。
私は63巻の段階でRUM候補に関するキャラクター設定はできていた可能性は極めて高いと考えています。
なぜなら63巻収録の「回る凶器」の扉絵は脇田初登場となった92巻「江戸っ子探偵!?」と酷似しているから。
ちょっとした間違い探しと思うくらい似ています。明らかに意図的です。
つまり「回る凶器」と脇田兼則というキャラクターには繋がりがあるという事。
この考察に関してはまた別に記事にします。
ですが今回注目したいのは同じく63巻収録の「犯人は元太の父ちゃん」です。
タイトル通り元太の父親、元次が容疑者の1人になってしまう話です。
この事件とRUM編に一体何の繋がりが?と思う方も多いと思いますがきちんと繋がっています。
元太の父、元次は昔ながらの生粋の江戸っ子です。それはキャラクターの台詞を通しても強調されています。
灰原「チャキチャキの江戸っ子だっていう彼の父親がね…」
灰原「まさに生粋の江戸っ子ね…」
コナン「江戸っ子だからだよ!昔ながらの江戸っ子は…」
元次「火事と喧嘩は江戸の華って言うじゃねえか!!」
元次は生粋の江戸っ子。ですがその元次に関して大変奇妙なことが描かれています。
高木「あなたは今日どんな歌を?」
元次「黒田節を…」
この日元次は歌を披露しなければならなかったのですが彼が歌ったのは黒田節。
これは福岡県の民謡。生粋の江戸っ子である元次がなぜ黒田節を選択したのか理解に苦しみます。
そもそもですが実はこの「犯人は元太の父ちゃん」の1つ前のエピソードである「回転寿司ミステリー」(同じく63巻収録)でも元次が江戸っ子であることが語られています。
元太「父ちゃんが江戸っ子なら寿司はいい店で食えって言ってたからよ!」
つまり「回転寿司ミステリー」「犯人は元太の父ちゃん」と立て続けに元次の江戸っ子っぷりを描きながらその彼が歌うのは福岡の民謡。どうにも納得がいきません。
当然「江戸っ子」「寿司」とくれば連想するのは脇田。そして「黒田節」から連想されるのはもちろん黒田です。
ちなみにRUM候補の初登場は黒田兵衛が86巻、若狭留美が91巻、脇田兼則が92巻です。
63巻の時点で伏線が張られているのならRUM編は相当に凝ったものになるはずです。
黒田節の内容はRUM編のキーワードばかり
生粋の江戸っ子であるはずの元次がなぜか披露した福岡県の民謡である黒田節。
ここで黒田節について簡単に綴ります。
黒田官兵衛の嫡男黒田長政は福島正則の元へ家臣を使いにやります。
その際長政はその家臣に酒の問題を回避するために正則と酒を呑まないことを約束させますが正則は大杯に注いだ酒を「これを飲み干せばなんでも褒美を与える」と言うので家臣はその酒を飲み干し、褒美として正則は豊臣秀吉から下賜された槍である日本号を貰い受けました。
黒田官兵衛➡黒田兵衛
豊臣秀吉➡羽田秀𠮷
日本号➡RUM編は槍に関する事件が発生(日本号の話も語られている)
槍に関しては若狭のこんな台詞もあります。
若狭「む、夢中でトンボ振り回してたから…」(91巻)
天下三名槍のひとつに蜻蛉切があります。この台詞は若狭と槍が関連している伏線だと考えています。(これに関してもまた別に記事にします)また黒田節ですが「太閤恋する名人戦」でその内容について語られています。
「太閤恋する名人戦」は作中でRUMの名前が登場した次のエピソード。
黒田節とRUMが繋がっていることがよく分かります。
元次を通して黒田と脇田が同一人物であると描いている?
江戸っ子でありながら福岡県の民謡である黒田節を歌った元次。
私は元次を通して黒田と脇田が同一人物だというヒントが描かれているのではないかと推測しています。
便宜上黒田と脇田を1人で2役演じている人物を双方のイニシャルを取ってKWとします。
彼の江戸っ子口調は脇田そのもの。生粋の江戸っ子である彼が黒田節を歌ったのは黒田がと脇田が同一人物で両方ともKWの変装だから。
また元次は普段掛けない眼鏡をかけていました。
元次「度が入(へえ)ってて目ェ開けてらんなくて大変(てーへん)だったぜ!」
この時彼は片目を閉じています。隻眼のRUMを連想させますね。
脇田は初登場回(92巻)で左目にあるはずの眼帯を右だと勘違いしている描写があります。
またこの時だけ江戸っ子口調ではありませんでした。
これは脇田が右目が隠れ、江戸っ子口調ではない人物も演じている伏線。
体格などから該当するのは黒田のみなのでKWが1人で2人の人物を演じている可能性は極めて高いと思います。
元次は普段眼鏡をかけない人物です。ですがこの時は眼鏡をかけて別人のようになっていました。
そして言葉遣いも普段の江戸っ子口調ではありませんでした。
これもKWが目に何か細工をし、江戸っ子口調とそうでない口調を使い分けることで全くの別人に変装していると捉える事が出来ます。
近々発売の97巻で脇田(KW)がトランプのペアを捨てる事が出来なかったと考えられる描写があります。
KWはある時は右目が見えない設定の黒田、ある時は左目に眼帯のある脇田を演じている。
そうなると視界に問題が出てきます。その中の1つがトランプのペアを見過ごしたという事なのです。
これも元次が普段掛けない眼鏡を掛けて視界に問題が生じたことと重なります。
「犯人は元太の父ちゃん」は黒田=脇田という方程式をそのまま描いた貴重なエピソードだと考えています。
つまり脇田は本来両目が見えている人物。必然的にラム候補から外れます。
また元次は犯人の態度に激昂し突如暴力を振るい、恐ろしい表情と言葉で相手を威圧するシーンがあります。
これは若狭そのものですね。彼を通してRUM候補を全員描いたとも言えます。
ただ先述の通り体格からKWが若狭を演じている可能性はゼロ。
元次は盗賊団のボスを追い詰め自白させる展開に持ち込みました。
私は以前から脇田(KW)はRUMの影武者であると同時に正義の立場と推理しています。
元次がボスを追い詰めたのは脇田(KW)がボスを追い詰める立場という暗示なのかなとも思います。
63巻は伏線だらけ?
実は「回転寿司ミステリー」「犯人は元太の父ちゃん」の次は「霧にむせぶ魔女」。安室透の愛車であるRX-7が大々的に描かれたエピソード。
この時点でまだ安室は登場していないので63巻は後の作品に関する大きな伏線が描かれている1冊という見方もできそうですね。
ちなみに私はKWは安室の恩師であり父親的な存在で梓の父親と推測しています。
RUM編は親の癖が子供に移るという特徴がありますが安室と梓は右利きなのにトングを持つ時は左手という奇妙な癖があります。
これは2人が同じ人物を父親としている伏線だと思います。
コナンの作中では利き手が重要なカギを握るので少なくともこの2人にはポアロの同僚という以外にも何か繋がりがあるというのは間違いないでしょうね。