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【首都圏】

天皇制を問い直す 21日、早稲田でドキュメンタリー上映

昭和天皇死去後の1989年1月15日に行った路上ライブ。この後、「さよならヒロヒト」と書かれた横断幕(写真後方)を橋桁に無許可で張った軽犯罪法違反容疑でメンバーが逮捕される=いずれも東京・原宿の歩行者天国周辺で

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 昭和天皇が死去する前後の数年間、東京・原宿の歩行者天国(ホコ天)を拠点に独自の活動を展開した若者グループ「反天皇制全国個人共闘 秋の嵐」のドキュメンタリー映画「秋の嵐 harajuku im herbst」が二十一日、東京都新宿区西早稲田二の日本キリスト教会館で上映される。平成から令和へ元号が移った今年、天皇制をあらためて問い直そうとしている。 (平岩勇司)

 秋の嵐は一九八七年、昭和天皇の沖縄訪問に反対するため早稲田大学生の見津毅さんらが結成した。天皇の病気で自粛ムードが高まった八八年秋から、「天皇は戦争責任を取っていない」「国民への自粛強要はおかしい」とホコ天での活動を本格化。「個人共闘」を名乗るように既成団体と関係なく、十~二十代の学生やミュージシャンら数十人が集まっていった。

 映画では、破れたジーンズにモヒカン頭などの若者らが昭和天皇のお面を付けた「キョンシー作戦」というパフォーマンスや「さよならヒロヒト路上ライブ」、路上演劇などを通じて、道行く人に主張を伝える姿を映し出す。

1988年12月4日、昭和天皇のお面を着けたパフォーマンス

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 通行人にマイクを開放するスピーカーズコーナーも設置し、たびたび論争を繰り広げた。昭和天皇死去翌日の八九年一月八日、路上活動が「無届けデモ」にあたるとして、メンバーが都公安条例違反容疑などで逮捕された瞬間も上映される(その後の国家賠償請求裁判で逮捕は違法と認定)。

 大喪の礼や即位の礼などの行事が終わった九一年以降、秋の嵐は事実上活動を終える。見津さんは外国人やホームレスの命と権利を守る活動に取り組んでいた九五年、バイク事故のため二十七歳で死去した。

 監督の犬川犬夫さん(45)は「今回の代替わりで天皇制を巡る議論はほとんどなかった。若い世代が映画を見て、天皇制を考えるきっかけにしてほしい」と話す。当時の秋の嵐メンバーでシンガーの高橋よしあきさん(56)=川崎市=は「当時を知らない人にこそ見てもらい、率直な感想を聞きたい」と話す。

 当日は午後六時半上映。入場料千円。問い合わせはメールで制作委員会=akiara.movie@gmail.com=へ。

昭和天皇死去後の1989年1月15日、路上ライブの最中、警察官にひきずられながら連行される「秋の嵐」メンバー

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