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 「2020年、世界から日本に注目が集まるその瞬間においても日本の人々や企業そして訪日外国人を含む全ての人にとって役立つグーグルでありたい」

 グーグル日本法人の渋谷本社オフィスに新たに開設した起業家支援施設「Google for Startups Campus」の公開に合わせて来日した米グーグルのスンダー・ピチャイCEO(最高経営責任者)は2019年11月19日、集まった報道陣に対しこう力を込めた。2020年開催の東京オリンピック・パラリンピックのオフィシャルスポンサーにも名を連ねているグーグル。巨大IT企業に対する規制を強める政府の動きもあり、急速に日本市場へのコミットメントを強めている。

 日本政府は巨大IT企業に対する規制強化の動きを強めており、プラットフォーマー(プラットフォーム事業者)に対する風当たりは強まるばかり。こうした中で、プラットフォーマーはどのような対策を打ち出しているのか。グーグルでトラスト&セーフティ統括バイスプレジデントを務めるクリスティ・カネガッロ氏に話を聞いた。

(写真:山田愼二、以下同)

「トラスト&セーフティ」という部署はどのようなミッションを抱えているのか。

 ユーザーの保護をミッションとしている。インターネット上には様々な脅威があって、我々のようなプラットフォーム上に表出する。

 例えば、毎日300万件以上のグーグルのアカウントが乗っ取りのリスクに遭っている。動画投稿サイト「ユーチューブ」にはコミュニティーガイドラインに反する動画が年間3000万件以上投稿され、オンラインストレージ「グーグルドライブ」、写真/動画共有サービス「グーグルフォト」、ブログサービス「ブロガー」などには年間で3万8000件のヘイトスピーチ関連コンテンツ、16万件以上の暴力的過激主義関連コンテンツが投稿されている。広告も同様。毎日600万件以上の悪質な広告が我々のようなプラットフォームを利用してユーザーを欺こうとする。

 こうした脅威からユーザーを保護するために、我々のポリシーと照らし合わせながら日々、検出してははじく作業をする。実際、我々のチームはかなりのハードワークだ。悪意を持つ相手に対して、様々な問題に対処しなくてはならない。しかも問題は多岐にわたる。だからこそ我々のチームは1万人以上のスタッフを抱え、加えてAI(人工知能)も用いてこれらの脅威をキャッチすべく日々戦っている。

日々進化していく脅威に対してどういう気持ちで対応に当たっているのか。いずれ根絶できると考えているのか。

 テクノロジーの進化は人々の生活をより良くしている。一方で、意図せず悪意のある人たちにも機会を与えてしまっている。

 悪事を働こうとする人たちはどの時代にもいる。どこかで完全に終わる仕事だとは思っていない。だが、脅威を事前に察知して先手を打つ、いわゆる動的なプロセスを続けることによって、悪意のある人たちの行為を中断させることはできる。これによってユーザーを保護できると考えているし、プラットフォーマーとしてのユーザーに対する責任だと思っている。

先ほどポリシーの話について触れた。そもそも何をもって悪意とするかの線引きはどうしているのか。

 おっしゃる通り、何が悪くて何が善いのか、判断が難しい領域はある。ヘイトスピーチやフェイク情報のような問題は、どこまでが正解でどこまでが間違っているのかの判断が実に難しい。我々のサービスは多くの文化圏で提供されているが、文化圏によって白黒がつきにくいという状況が発生する。