意外な訪問者
玄関を開くと、ソファへと直行する。
何もかもがうまくいかない。
今日はついに職すら失い、明日からの金策を考えると頭が痛かった。
ソファへと倒れ込んだ俺は、思考を切り換えようとテレビを点ける。
モニター画面が点灯すると『節分』の二文字が大きく映し出される。
俺はそのニュースを見ながら鼻を鳴らした。
何が福は内だ。福が来てるんなら、今の状況はどういうことなんだよ。
楽しそうなアナウンサーの声音に苛立ちを覚えた俺は、「福なんざ当てになるか!いっそ鬼は内だ!鬼は内!」と怒鳴ると、そのまま眠りに落ちた。
誰かが耳元で歌っているのを感じる。
うるさいな。
ここは俺の家だぞ。
静かにしろよ。
靄が掛かった頭の中で苦情を並べ立て、再び深い闇に落ちようとしたとき、俺の頭にあることが引っ掛かる。
ちょっと待てよ?
ここって俺の家だよな?
じゃあ、こいつは誰だ?
不法侵入者の存在に気付いた俺が慌てて顔を上げると、「あっ、起きた」なんて呟きながら笑う、謎の女が目の前にいた。