side-B 慣れない視線
どいつもこいつも同じか。
その職人は私を見るなり小さく唸り声を挙げた。
全身を見てひとしきり驚いた後、再び髪の毛に目を向けて硬直する。
私の姿を見るとどいつも同じ反応を見せる。
人馬族というだけで好奇の視線を向け、この髪の毛を見ると更にその視線を強める。
男の視線に対する苛立ちが強まり、私はいつものように皮肉を言ってやることにした。
男は慌てて謝罪の言葉を口にするが、その目は髪の毛を向いたままである。
まったく苛立たしい限りだ。私がいつものように皮肉を続けようとしたら、男は予想外の言葉を口にした。
「ああ…そんな綺麗な髪は見たことがねえ。あんたは天女の娘なのかい。」
私は思わず、続けて放とうとしていた皮肉を飲み込む。
何を言ってるんだこいつは。
その意味を理解するにつれ、顔が熱を帯びてくるのが分かる。
男はよく分からない言葉を並べていたが、まったく耳に入ってこない。
私は動悸を抑え、気持ちを切り替えるために力強く一歩を踏み出すと、大きく深呼吸をしてから本題に入った。
「私の蹄鉄を打ってほしい。」