取引ナビで連絡
車の場合、落札しただけで喜んではおられない。ここからが大変だ。まず、早速「取引ナビ」で連絡。これは修正不可能な連絡掲示板で、トラブル時の連絡記録になるものだ。 細かい連絡はメールを使うが、重要事項の確認や支払い連絡などは必ずこれで行うべきである。車の場合、以下を必ず確認する。
支払金額と内訳の確定。
車両本体価格+自動車税(月割り)+リサイクル預託金+陸送費用+その他
僕の場合「その他」はなかったが、たまにこれ(事務手数料など)を要求してくる相手もいる。その場合はその意味と金額をよく把握した上、承諾の旨を伝えるべきである。
支払い日、支払方法の確定。
車の場合、金額も大きいことなのでまず手付を打って事務手続きを進行させるべきものと思う。全額をいきなり入金してから事を始めるのはリスキーだろう。
僕は週末に落札し、月曜日の朝一番で3万円を手付として振り込んだ。 こうしておけば、あらかじめ車検証のコピーなどは要求できる。車検証の記載内容がわかれば車庫証明を取得できる。同時に商品説明写真ではナンバープレートが隠されている のが常だが、間違いなくその車であることをぼかしのない写真で確認すべきだと思う。
陸送方法と費用の確定
今回の例は後述する。
名義変更期日の確定
いつまでに名義を変更する(これは買主の義務)との連絡
預かり金の有無と返還手順について
車検のある車の売買では原所有者が4月に自動車税を払っている。これを月割りにして売買時以降相当分負担するのは慣行だが、名義変更しなければ来年もまた原所有者に税金がかかることに なるから、通常名義変更が買主のところで完了するまで3万円程度の金銭を売主に預けるのが慣例だ。これの金額と返還手順をあらかじめ決めておく。(売主に名義変更を委託することも可能だがそれは手数料を請求されるだろう) なお、今回の取引では売買契約書を作成しなかった。先方が月内の取引完了を望んでいたからだと思う。しかし、本来は時間がかかってもこれはやるのが望ましいと思う。このあたりはヤフオクを使う当事者の意識が現れるところだ。
車のオークション取引は「共通の利益のために売主と買主が協力して取引を完成させる」行為だと思う。買主だからといって「客」のつもりでいては良いものが安く手には入らない。 買主もまた「業者」の意識で取引には臨むべきである。これはコストコで安く物を買おうとする場合も同じだろう。(ヤフオクでもstore出品の物件を買う場合は別) 隔地間の車取引にはいくつかのステップがあり、これらの都度完了連絡と次の確認を怠らず行うことが肝要である。そしてこれを繰り返すことで相互の信頼関係が構築される。
業者だろうが一般人だろうが名義変更でやることは同じだ。手馴れた業者間ならくどい連絡や書類は省こうとするのかもしれない。しかし、一般人がこれをやろうとするなら、不明点は しつこいくらいに問いただし、細かく連絡しあって事を進めるべきだし、それを嫌がる相手ならやめておいたほうがよいと思う。
手付の支払い~車庫証明
事を早く進めるためにはさっさと手付を払ってしまうのが良い。自己都合で解約する場合はこれを放棄することになり、相手都合での解約の場合は倍額を請求できる(民法557条)。しかし、そのようなことよりも現実的には 売主から見て買主が真実契約を履行する意思があることを信頼することができる、という意味が大きい。
手付の引き換えに売主が車検証のコピーをFAXしてきた。今回の場合、所有者は奈良県のディーラーだった。売主その人でないという点は一応注意せねばならない。だが、ディーラーが車検証をコピーさせる相手は正当な 代理権があるものと一般的には信頼してよいと思われる。車検証の日付も5月2日と新しいものだったことも大事だった。要するにこれは先月にディーラーが下取りした車両なのだ。 もし売主の権限に不安があれば別途代理権を証明する書面を求めるのが正しい。郵送が面倒なら写メであっても信用材料にはなる。売主のほうでも買主の本人確認書類 を求めてくる。今回はこれらも写真に撮影してメールした。
車検証の情報がわかれば車庫証明の申請ができる。もちろん、駐車場を借りる場合はあらかじめ所有者に使用承諾書を書いてもらわねばならない。車庫証明の書式は警察のHPからダウンロードでき、書き方も書いてある のでそれに従えばよい。自己所有の場合は土地登記簿の写しと自認書が必要。また、印鑑証明も取っておく。自分の車を持つのは初めての自分だったがこういったことは実は学生時代に一通り経験していた(友人間の個人売買を取り持って代行したのだ)。なので、必要書類はあらかじめ揃えておいた。
車庫証明は大阪では1週間かかるそうだが、豊平区は申請翌日に調査、翌々日朝には交付になる。交付を受けたら直ちに売主にその旨連絡しよう。車庫証明書の写真も送った方が良い。こういう 連絡を即座に確実に行うことで取引に対するお互いのモチベーションがわかるというものである。
支払い
支払いはできる限り確実な証拠の残る方法が望ましい。Yahoo!かんたん決済は良い選択だ。ブラックリスト口座には入金できない。ただ、これは入金確認に3,4日を要する。急ぎの場合は 直接振込などになろう(自分の場合はそうだった。もちろん、相手が信頼できる十分の理由があってのことだが)。この場合ブラックリストは必ずチェックしよう。 入金したら「取引ナビ」で連絡。納車のスケジュールと必要書類の送付方法などについて打ち合わせよう。自分の場合6/20に振込み、26日千歳空港着留め、翌日引取りとなった。 また、車検証ほか必要書類は車載するのではなく、別途送付させたほうが良い。この段階まで来れば買主の残債務は名義変更の完了のみだ。
陸送について
北海道の人間がヤフオクで車を買おうとするなら陸送は必至だ(地元からはろくな出品がない)。僕はこの費用を払ってもなお良い相手さえ見つけることができればここで買うメリットは大きいと思って ヤフオクを使う決心をしたわけである。 陸送方法(つまり陸送業者)は近時かなり選択肢があるらしい。最大手は株式会社ゼロ(日産の関連会社)で、「マイカー宅配便」なるサービスをはじめとしてオークションの運営や車のエスクロー サービスまで手広くやっている。ここを使った場合の大まかな目安で東京⇒札幌なら5万円弱、大阪⇒札幌なら約6万円だ。これをさらに節約したいならまだ他社がある。それらの信頼性がどうかは 僕に資料がない。しかし、札幌市内にも本州方面向け陸送専門業者が存在する。これの戻り荷は歓迎されるはずだ(どんな運送業者も往路と復路の双方で荷を満載することが唯一最大の営業目標 だ)。もし次の機会があればこういった業者も検討してみたい。
ともあれ、今回は売主に費用を払って彼の手配で陸送してもらうことにした。業者は前掲の「ゼロ」社で、千歳空港留めを選択した。希望すれば自宅までの宅配も選べるがそれは1.5万円程度のコスト高 になる。千歳空港まで1000円の交通費と数時間の手間を惜しまないならそれは無用な出費というものだろう。売主は陸送会社に買主(つまり僕)への電話連絡と引き取り場所等についてのインフォメーション を依頼したらしいが、車が到着しても(これは宅配便と同じくネットに追跡サービスがある)連絡はなかった。しびれを切らしてこちらから電話した。 どうやら千歳空港にはゼロ社の出先があるのではなく、空港周辺の駐車場(飛行機を使う人が帰ってくるまで1泊1000円程度で車を預かる駐車場)と提携してそこを到着地としているだけらしい。ここなら苫小牧港からも近く、 車を引取りまで監守する人員を配置しなくて良いので料金もその分安価なのだ。ちなみに今回はエアポートパーキング(苫小牧市美沢261-56 )だった。ここに荷受人であることを確認できる書類を持参の上引取りに行けばよい。 希望すれば空港から送迎してもらえる(電話で空港到着時刻を伝えておけばよい)。
必要書類
売主からもらう書類は
車検証
譲渡証明書
委任状
印鑑証明(ここまで移転登録に必要)
リサイクル券(これがないと廃車のとき費用がかかってしまう)
自賠責保険証書と移転申請書類
その他、点検記録簿など所有者として引き継ぐべき書類
だ。これらがないと現車を引き取っても名義変更できない。安全のためには車とは別に宅配便などで送ってもらうのが良いだろう。取引もこの段階まで来ると売主のマインドは「早く確実に名義変更を完了 して欲しい」というものになる。金も受け取り、車も送ったのに名義変更が滞ってしまっては自動車税が原所有者にかかってしまうからだ。取引が3月末に近ければ近いほど売主はナーバスに なるはずだ(4月1日現在の所有者が納税義務者だから)。 なので、これらの書類が届いたらその旨連絡してやるべきだ。あとは車を引き取って陸運局へ行き、名義変更する義務が買主に残る。くどいようだが、これは買主の権利であると同時に契約上の義務だ。 買主の意識が「客」だとそうは思えないだろう。しかし、業販の世界はそうではない。車や不動産など登記を伴う取引では決められた期日までに確実に名義を変更する、ということに両当事者は重大な関心を持っている。 金を払ったからそれで良いというものではない。ヤフオクを利用する場合、ここは是非注意して欲しい。
車両の引取り
ゼロの陸送はネットでステータスを確認できる。着予定の前日夜にステータスが「お届け済み」になった。この場合の「お届け済み」はエアポートパーキング留めだったからそこに到着した、という意味だ。 翌日の昼間にエアポートパーキングに電話して改めて到着を確認。次の日の朝に空港まで行くから送迎を頼むと伝える。そして翌日((6/27)、仕事を休んで現場に向かった。 サミット前の厳戒態勢を縫うようにしてエアポートパーキングへ。ここは苫小牧市の外れの原野を囲っているだけの駐車場だが、事務員と送迎ドライバーが24時間常駐しているらしい。 ゼロ社はここと契約しているわけだ。あらかじめ電話して臨んだので持参した本人確認書類を照合することもなく、いきなり鍵を渡された。セキュリティ的にどうかと思うが、北海道らしいおおらかさではある。 どうやら話を聞いていると、本州方面から車をここまで持ってきて自分は飛行機で北海道入りし、レンタカーではなく自車で道内を乗り回す、というニーズが多いらしい。ともあれ受取りのサインのみで簡単に車は 手に入った。
ライト、ブレーキランプ、ウインカー等の最低限の始業点検をして駐車場を出発。ガソリンメーターはちょうどEのところだったが、どうやら10Lほど入っていたらしい。ありがたい。 この時点で朝10時。急ぐこともないので、一般道で札幌へ。途中千歳で満タンに給油。55L入った(2WDのオデッセイは満タンで65L入る)。スタンドで簡単な点検をしてもらった。オイルは新しい。 バッテリーはぎりぎりだった。しばらく乗っていなかったのだろうからこれは仕方ない。あとは特別な問題はなかった。 機関は極めて良好で静か。エアコンの効きも良い。ハンドルのふらつきなどもない。ブレーキにも異常なし。売主を信頼していたのでたぶん大丈夫だろうとは思っていたが、想像以上だった(週末に小樽に行き、急坂や山道も走ったが 非常にスムースだった)。内装は車内もシートが新品同様なのに驚いた。新品時のシールがまだついている。シートカバーをつけて使っていたのであろうか。 助手席側の読書灯が切れていた。翌日ホーマックで電球を購入(168円)、交換。 外装はドア周りのサビなどもない。左ドア下にやや大きめの擦り傷(タッチアップしてある)があるが、これはあらかじめ写真で了承済みだった。 ほとんど目立たない。右ドア(前、後)の方に使用感があり、薄い小傷がある。このレベルはこれからDIYできれいにしてゆこうと思う。
名義変更
途中食事などもして東区の陸運支局に着いたのはちょうど昼だった。役所なので昼は窓口が閉まっている。12:45まで待って、午後一番の手続きに。 入って直ぐのところにあるヘルプデスクで申請用紙(マークシート:40円)と印紙(500円)を購入。記入台でマニュアルどおりに旧車検証の情報と新所有者情報などを記入(新しい住所地を備え付けのコードブックで 検索して記入しなければならない)。これに赤い枠の引換え用紙をつけてこれも備え付けのクリアファイルに必要書類と共に入れ(書類の並べ順も決まっていて、申請台に書いてあるから万事そのとおりにする)、申請窓口 の青いBOXに投入(申請事項によって赤いBOXと青いBOXがある)。5分くらい待って名前を呼ばれる。書類に不備はないようだ。引換券の赤い紙を渡される。あとは車検証の交付待ちだ。月末の週末でかなり混むと 予想していたが、午後一番の手続きになったためか、車検証も10分くらい待っただけで出来上がってきた(番号表示盤に完了したものが表示される)。取りに行くと、「ナンバーを返納してください」と言われた。そうだろう。 奈良ナンバーからの転入なんだから。いつ外せばよいのかわからなかっただけだい(笑)。外はピーカンでこの日は暑かった。一応工具は持参したのだが、失敗だった。ねじを外すのは簡単だが、封印を外すのにてこずった。 大汗かきながら結局車載工具のプライヤーとマイナスドライバーでなんとか封印はがしに成功。返納して確認印をもらい、これと引換えに新車検証を手にした。
これで車は僕のものだが、まだ公道は走れない。これから新ナンバーを購入して封印してもらわなければ。その前に税金を申告しろ、ということなので東1丁目通りをはさんだ向かいのビルの3階まで行って税の申告をする (今回は自動車取得税の申告。免税点以下の売買だよ、という内容の申告だ)。そして最後はナンバー。陸運局敷地の右手奥にある「自家用車協会」に車検証を提出。すぐに在庫からナンバーを出してくれた(1720円)。 なるほど、これはオリジナルナンバーならあらかじめ作っておくし、それと同じように次に使えるナンバーのプールから製作済みのものを陸運局に連絡して割り振らせているのだ。車を「ナンバー取付場」の近くまで移動させて ナンバーの取り付け。ナンバーには封印の受け金具がついていて、後ナンバーの左側にそれを当ててねじ止めする。終わったらまた車検証を持って協会の窓口へ。「ボンネットを開けて待っていてください」と言われる。 あまり混んでもいなかったのですぐに検査員がやってきて車台番号とナンバーの照合を行う。そして確認したら封印。封印金具って特殊な道具など何一つなく手ではめ込むだけなんだと初めて知った(笑)。
これで終了。時計を見るとちょうど2時だった。ここでは実質1時間15分だったことになる。早く終わってよかった。気がつくと車検待ちの車の列が続々とやってきている。それらを縫うようにして陸運局を脱出した。 来年の今頃はあの列に並ぶことになるのだろう(当然ユーザー車検をしますよ、僕は:笑)。郵便局に寄って新しい車検証のコピーを売主に速達書留で送った。同時に「取引ナビ」で商品受領を連絡。あわせて車検証は 画像を売主に送った。こちらの義務はすべて完了した。果たして週明けには預かり金の3万円が入金されていた。これで今回の取引は全て完了したのだ。
(つづく)