女、20歳大学生。顔はにゃんこスターに似てる。おっぱいcカップ、普通体型。わたしは普通に生きてきました。普通ってなんなのか分からないけど。真面目な家庭に育ち、特に大きな事件も怪我もなく、平穏に過ごしていました。とにかく真面目が取り柄な家族でした。お金にも困っておらず、三食決まった時間に食べて、ピアノ、習字、武道、塾にも通わせてもらいました。兄はその甲斐あってか、有名大学へ進学、いい会社にも就職しました。私は、あんな風にはなりたくない、勉強では敵わないと、小さな反抗で、高校から美術専攻へ。好きなことをして生きようと思いました。
特に苦労することもなく、美術系の大学へ進学しました。実家を出て一人暮らし。まわりのみんなはアルバイトをしている。大学生の四年間でなにも社会に出ないのもどうなの。ということでアルバイトを始めようとした。
アルバイトサイト彷徨うこと5日目。夏休み真っ最中だった。大学生の夏休みは長い。実家にも帰らなかった私は、ずっとずっとずっとひとりでいた。睡眠とおナニーを貪る毎日で辿り着くのはエロサイト。エロ同人誌、エロ動画、風俗、求人。「風俗より稼げる!3万円!」本当なのか、3万円って。正直、お金はある。仕送りも十分すぎるほどもらっていた。
そのサイトはセクキャバ ?女性コンパニオン?喋るのが苦手でもおっけー。髪型、化粧が苦手でもおっけー。容姿も気にしません。忙しいので採用率100パーセントです。との売り文句に惹かれた。私でもできる、したい。やりたい。"xxxなお店"って何だろう。何されるんだろう。キャバクラじゃないのか?
私は人とのコミュニケーションが苦手で、とくに喋るのがめちゃくちゃ苦手だ。喋れなさ具合は、たぶんこれ、病名付く奴。3人以上人が集まると喋るのをやめる。思考停止頭の中が真っ白になる。何も思考が浮かんでこない。何かの病気とか障害だと思ってインターネットで調べたら場面寡黙症の症状に当てはまった。怖かった。ああ病気だったんだって。どうすれば治るのかとか、インターネットにはのっていないし、大人になれば治るって。社会に出れば大人になれると思った。
とにかく、セクキャバ 、簡単ウェブ応募。それからすぐにメールが返ってきて面接日時と場所の確認をしたら、もうあとは面接。とんとん拍子すぎる。その日がきた。足を踏み入れたことのない繁華街。夜の街。キラキラしてて、足を踏み入れるのも躊躇う。そこは天国みたいだった。
そんなお店に女ひとりで入るのなんて無理。でもここで行かなきゃ。行かなきゃ、行かなきゃいかなきゃ。ってお店の前をうろうろうろうろうろうろうろうろ10分程度。遅刻しちゃう。ああああああああああああああ、あああ店へ突入。ここって男しかはいらないところだよね、18禁のところだよね。エレベーター三階。扉が開く。一瞬聞こえたとんでもなくうるさい音楽、薄暗い照明、煙たいタバコの匂い。無理無理無理無理、怖くてエレベーター閉じるボタン連打それでも、もう一度開く扉、ボーイさんが立ってた。「面接で来たんですけど……」ボーイさんが慌てた様子でとりあえず下で待ってて。と、再び下へ。おろおろ。すぐに店長さんが来た。一階のバーで面接。この店長がまた、めっちゃ優しい。大丈夫だよってさりげないボディータッチ、めっちゃ女の子の扱い慣れてる。「どうしてこの仕事を?」と志望理由みたいなの簡単にお話。仕事の詳細の説明。「セクキャバって何するところか知ってる?」とても基礎的なところから。お触りアリのキャバクラってとこですかね…?「そうそう、うちはおっぱい触られて、舐められて、下も触られて指入れもアリです。大丈夫そう?」頷くことしかできなかった。たぶん、顔が強張ってたと思う。他にも挨拶する時のダウンサービスの仕方、指名についての説明。時給について。そのくらいだったかな。ほんとに最低限の事項だけだった。まあいいのか。「タバコ吸う?」あ、はい、吸います。ってわたしの顔に似つかわしくないヤニに店長爆笑してた。ギャップだねーって。タバコ一本もらって吸った。雑談しながら、すごい。めっちゃ笑う店長。それから、源氏名を決めてもらった。自分で決めてもいいし、店長につけてもらってもいいよ、って。「好きな芸能人とかいる?」好きな人の名前を借りて、まゆ。
「今から働ける?」面接終わってからすぐさま体験入店へ。今日のぱんつ可愛くないし、生理だしあわわわわってなったが、それはもうここまで来たら逃げられない。がんばるがんばる。って店内へ。
慌ただしく女の子たちが出入りする待機室へ。とても狭いへやだった。ようやく人がすれ違えるくらい。うがいをする水道と、製氷機と、小物置き場と、座るところ。女の子7人くらい座れるのかな。
モンダミンで口をすすぐ、股をふく、ローションを塗る、見たことのない女の子たちがいた。目まぐるしく待機室へ流れてくる女の子にまゆですって店長に紹介してもらう。そして、先輩女の子へバトンタッチ。ギャルのお姉さん、これに着替えてね〜って渡されたのメンズのワイシャツ。Lサイズ、だぼだぼ。「えっと、正直にいうね。下着とか全部脱いでね。ストッキングとかアクセサリーは外してね。」ってあーださいパンツの上にワイシャツ1枚。えっちだ!えっちー!!!!着替える。もうどうにでもなれ。そのあとはお店のロゴだけが入った真っ白な名刺を渡されて、ここに名前書いてねーって。数十枚ほど油性ペンで描き描き。まゆ、まゆまゆまゆまゆまゆまゆ。かけたらお客様のいる表ステージへ。と言っても、狭い一室内に2人がけのソファが15席ある程度。セクキャバ 特有の目隠しの壁は一切ない。だだ見え。
オープンすぎる席の一番隅っこへ連れて行かれる。先輩女性スタッフに教えてもらう。名刺の渡し方、消毒の仕方。ハッスルタイムの動き方、お客様の膝の上に座るんだ。はい。「大丈夫?」何度も聞かれた。怖かった。顔が強張ってるらしい。まだ怖い。ずっと怖いと思う。隣に座って来たえっちなお姉さん、「だいじょーぶだよー。なんとかなるよー」ってゆるーく話しかけて来てくれた。なんかめっちゃきれいなお姉さん。安心できた。
それで、ここから接客本番なんだけど覚えてない。お客さんとキスしたら頑張ったねって言ってもらった。基本的にはお話だけで終わるのが多かった。セクキャバ1日目。面接からのいきなり体験入店。パリピの音楽に乗せて「まゆちゃんリストバックよろしくー」リストバックは接客終わりの合図。帰っておいでの救いの言葉。
営業が終わって、一万とななひゃくえんもらった。
キス、手マン、キスキスキスキス、おつぱいおっぱいおつぱいと、手マン。アナルも触られる、お話からの手マン。俺は何もしないよって言いつつ手マン。リストバックで席を抜けてボーイさんの言われる、ありがとうの意味はなんだ。ものだ。わたしは物だと。ものになる瞬間と、ものとして扱われる瞬間、何かが死んでいくのが分かった。減っていく。確実に減っていく。ものはモノでしかないんだ。
一生でこんなにもかわいいって言われたのはじめて。
それから1ヶ月。20万円たまった。週2出勤。コンビニで500円越えの買い物が当たり前になった。スイーツとチョコレートたべるようになった。ニキビが出来た。ボディークリームとちょっと高いシャンプーと歯磨き粉を買った。なんの迷いもなく化粧品をカゴに入れた。香水を買った。週に一本だったタバコを毎日吸うようになった。股が痒くなった。乳首を舐められた感覚が残ってたけど、気づかないふりをした。たまに、にちゃにちゃのお刺身を食べて、キスの感覚を思い出して、泣きそうになった。美味しーお刺身美味しーね。お客さまに似ている人を街で見かけてきもちわるくなった。
今夜も女の子扱いされてこよう。
これはSFだな
そんだけやなおもいして、たったにじゅうまんかよ・・・
女はいいなあ そんな程度のことで20万円も稼げて