外国産の生き物が日本の自然界に放され、生態系に影響を与える外来種の問題はヘビに限らない。爬虫(はちゅう)類や魚類を中心に、その多くがペット由来といい、以前から知られたところではカメの問題がある。

 楠田哲士岐阜大准教授によると、もはや手に負えないほど増えた米国原産のミドリガメ(ミシシッピアカミミガメ)だけでなく、県内でも珍しい外来種は見つかっている。最近では、昨年11月に本巣市でマダガスカル原産のホウシャガメ、今年6月に岐阜市でアメリカ大陸原産のカミツキガメが発見された。近隣では、愛知県一宮市で9月、中国南東部原産のハナガメと日本固有のニホンイシガメ(準絶滅危惧種)との交雑種と思われるカメまで見つかり、同研究室で保護されている。

 法律上は、特定外来生物に指定されている生き物は野外に放すと罰則の対象になる。山県市で見つかったコーンスネークを含む指定外の生き物でも"遺棄"や"虐待"と見なされ、動物愛護法に触れる恐れがあるという。

 ただ、古くから日本に根づいている仏教的な価値観が問題を難しくする面もあるという。「生き物を山野池沼に放つことは生き物の殺生や肉食を戒め、供養にもなり、功徳を積めるという仏教の教えがあった。生き物を放つ『放生(ほうじょう)』は善行だった」と楠田准教授。古典落語にも、ご隠居が功徳を積もうとウナギ店のウナギやスッポンを次から次へと川に放す「後生鰻(ごしょううなぎ)」という話があり、ルールで縛るだけでは難しい文化的背景もあると考えられる。

 飼えなくなって死なせてしまうよりも自然界で生き続けてほしい、という思い−。しかし、楠田准教授は「それは無責任な自分への慰めでしかない。ペットとして飼われていた生き物が、野生では生きられない可能性があることを考えていない」と指摘する。

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 楠田准教授ら岐阜大の研究者は、外来種問題について地道に理解を広め、解決していこうと「ぎふ生物多様性情報収集ネットワーク」を発足。外来動植物の目撃、捕獲情報や写真の提供を呼び掛けている。飼い主が分からないペットの場合は、拾得物として警察署に届けることになるが、同ネットワークでも情報を募る。最終的に、その外来種を同研究室で受け入れる一元化の流れを作り、早期発見と対処につなげていきたいという。

 問い合わせは岐阜大応用生物科学部動物繁殖学研究室の楠田准教授、電話058(293)2862。

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