かんぽ、法令・社内規則違反疑い1万2836件

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2019/12/18 15:35

かんぽ生命の保険契約問題について記者会見する特別調査委の伊藤鉄男委員長(中央)ら(18日、東京・丸の内)

かんぽ生命の保険契約問題について記者会見する特別調査委の伊藤鉄男委員長(中央)ら(18日、東京・丸の内)

日本郵政グループは18日、かんぽ生命保険の不適切な保険販売をめぐり、外部弁護士で構成する特別調査委員会の調査報告書を公表した。法令違反が48件、社内規則違反が622件あった。法令または社内規則に違反する疑いのある件数は1万2836件にのぼり、9月の中間報告(6327件)の2倍に増えた。今後の調査の進捗によっては違反件数はさらに拡大する可能性もある。

保険料の二重徴収など顧客の不利益が疑われる18万3千件について契約時の状況などを調査した。このうち14万8千件について顧客からの意向確認を完了した。

違反の疑いのある契約のうち、60代以上の年代の顧客が7割以上を占めていた。違反疑いの契約に関与した募集人は5797人と、募集人全体の1~2%を占めていた。また違反の疑いのある事例の約26%で、販売成績が「優秀」とされる募集人が関与していた。

不適切販売の原因については「募集人の一部はモラルに欠け、顧客の利益よりも個人的な利得を優先させた」と指摘。さらに「営業目標必達主義を背景とした、厳しい営業推進管理が行われていたこと」が、不適切販売を助長させた要因となったと強調した。目標達成を重視するあまり、販売実績を上げる手段として不適正募集が黙認される風潮が形成されていたことを特別調査委員会として確認した。

不適切販売はかんぽ生命の商品を、日本郵便の募集人が担うという郵政グループ特有の構造の中で発生した。報告書では、かんぽ生命は「問題を矮小(わいしょう)化する組織風土だった」、日本郵便は「重層的な組織構造の中で、郵便局の現場の実態の把握ができていなかった」、日本郵政は「持ち株会社として果たすべき役割についてコンセンサスが得られていなかった」などと、グループのガバナンス(企業統治)の問題点を指摘した。

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