未来の電子レンジ、製品化向け一歩前進。「幕の内弁当のご飯と揚げ物だけ温め」が可能

小型の固体半導体でマイクロ波を綿密に制御

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上智大学の堀越研究室は、食品の狙った部分だけを温められる次世代の電子レンジの試作機をシャープ、日本ガイシ、日本ユニシスと共同で開発したと発表しました。

この電子レンジは「温める食品に応じて部分的な加熱ができる」というのが最大の特徴で、たとえばコンビニ弁当でご飯の部分だけを温めて、漬物はつめたいままといった加熱が可能です。

この技術は堀越智准教授が2012年から重ねてきたマイクロ波の研究が基になっており、一般の電子レンジで搭載されているマグネトロンの代わりに固体半導体を発振器として採用することで、温める範囲の厳密な制御を実現しています。

次世代型電子レンジ▲電子レンジの内部の写真(左)と、温め中のサーモグラフィー。左上のプリンとサラダは冷たいまま、他の食品を温めています

5世代目となる今回の試作機では、量産品に近い部品構成を採用して、コストや耐久性についても実用化が可能な水準で設計されています。さらに、お弁当などの製品ごとの加熱方法もクラウドサーバーから取得する機能が追加されており、お弁当のパッケージに貼り付けられたバーコードやQRコードを読み取って、最適な温め方を自動で設定することができるようになっています。

未来の電子レンジ▲ディスプレイ面はタブレットのようなパネルを搭載し、操作が可能

堀越研究室では今回の発表の反響を取り入れた次期製品も試作し、その後、量産化を検討していく段階に入っていくとしています。

堀越准教授によると、最初の市販製品はコンビニなどに設置されている業務用レンジを想定して開発中で、現時点では、冷凍食品を均一に加熱したり、食材間の温度差を大きくしたりといった加熱方法の改良を進めているとしています。

また、今回の電子レンジで使われている半導体発振器をより小型化し、他の家電に組み込むことも視野に入れているとのことです。

現代の電子レンジは温めムラが大きく、入れてはいけない食材も多いなど便利ながらも使う上での注意点が多い家電ですが、今後、技術が発展すれば、お弁当をそのまま放り込んでボタンを押すだけで、温かいものは温かく、冷たいものは冷たいままで食べられる未来が来るかもしれません。


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