大変だったり、ちょっと損をさせてしまったり、気まずいお願いをしなければいけない場面ってありますよね?
そんな時に、遠慮してお願いして、やっぱり断られたりということになっていないですか?
そんな時、「うぅん、まぁ、いいですよ。」と多少渋られながらかもしれませんが了承してもらうためのテクニックがあります!
キーワードは、『一貫性の法則』です。
この記事は、『心を上手に操作する方法』(トルステン・ハーフェナー、2012)から学んだことの記録です。 『心を上手に透視する方法』の続編です。タイトルは刺激的ですが、相手を操作するためにはその人との良好な関係作りが非常に重要なため、子育てや人間関係の中で有用なコミュニケーションのための方法についてのヒントも数多く含まれています♪
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『一貫性の法則』とは?
『一貫性の法則』とは、「自分の態度・発言・行動などに一貫性を持たせたいという心理的な傾向」のことです。
自分の中で、一本スジの通った状態にしておきたいというか、矛盾のない状態にしておきたいというか、そのような感じです。
そして、なぜ一貫性を持とうとしてしまうのかというと、それは人間が動物としてこれまで学んできたことが影響しています。
安定した環境であれば、一貫した行動を取っておいた方が、生き残りやすいということもあったでしょう。
一貫していれば、見通しも持ちやすいので、不安が減るということもあるでしょう。
一貫していれば、その都度考えたり試したりということをせずに済むので、省エネになるということもあるでしょう。
このようなメリットがあるので、人は一貫性を持とうとします。
言い方を変えると、人は一回決めたこと(態度・発言・行動)を変えようとしません。
そしてこの一貫性の法則は、変えた方がいい状況でも発動してしまいます。
相手に指摘されて、そっちの方が正しいと思っているのに、意地を張って意見を変えなかったりしたことないですか?
このようなことが起こって損をしてしまったり、また交渉に利用されてしまったりします。
『一貫性の法則』で、「断らない人」になってもらおう!
ここからは、一貫性の法則を上手に利用にした交渉のテクニックをお伝えします。
これは、「まず小さなお願いを受けてもらうことで「断らない人」になってもらい、その後で本来のお願いをして受けてもらう」というもので、『ローボール・テクニック』と言います。
例えば、街角で200問あるアンケート調査に協力してもらおうとするとします。
200問もあるアンケートなんて嫌ですよね。
素直に「200問あるアンケートにご協力お願いします」とお願いしても断られてしまうでしょう。
そこで、ローボール・テクニックを使います。
ローボール・テクニックを使うと、やり取りは、まず「アンケートにご協力いただけますか?」とお願いして了承してもらい、その後で「質問は200問あります」と説明するという流れになります。
そうすると、「えぇ、200問もあるの?でも『いい』って言っちゃったしな‥」と一貫性の法則が発動し、引き受けてくれる可能性はグッと上がるでしょう。
まずは「いいですよ」と言ってもらう
このローボール・テクニックは、ちょっと気まずいお願いや、「忙しい所悪いんだけど‥」と言いたくなるようなお願いをする際には非常に有効です。
ポイントは、まず「いいですよ」と言ってもらうということです。
本題を詳しく伝える前に、「手伝って欲しいことがあるんだけど」「ちょっと一緒に来て欲しいんだけど」など、本題の前段階のお願いをし、「いいですよ」と言ってもらいます。
このワンクッションが非常に重要です。
また、一貫性の法則の利用という点では、お願いをする前に、「あなたは皆に頼られている」「あなたは皆に慕われている」のような話をし、断りにくい一貫性の素を意識させることも、テクニックの1つです。
こんな話をされた後では、お願いを断りにくいですよね。
お子さんの対応でも効果あり☆
一貫性の法則は、お子さんに対しても有効な場面があります。
例えば、注射をお子さんが嫌がる場面でも使えるかもしれません。
病院の待合室で、強くて大好きな〇〇レンジャーのグッズを持たせながら、「〇〇レンジャーなら注射を怖がったりしないよ♪」と励ますことができるかもしれません。
普段から〇〇レンジャーに憧れているお子さんだったら、「〇〇レンジャーは強いんだ!」とグッと堪えてくれるかもしれませんね☆
暗示の要素も出てきますが、お子さんが何かに対して自信を持てない時に、同じようなできていることをやらせた上で、「これができるなら〇〇もできる!」と応援することもできるかもしれません☆
『ついでに』とのコンボにして、「机の上がきれいだね!きれいになったほうが気持ちいいね!ついでに床のゴミも拾っちゃって♪」なんて、お子さんを「きれい好き」ということにして一気に部屋の片づけをしてもらうこともできるかもしれません。
こんなにはうまくいかないかもしれませんが、少なくともただ「やりなさい」「できるよ」と働きかけた時よりは確率は上がるでしょう♪
その後のフォローを忘れずに!
一貫性の法則は、無意識というか、本能というかのお話なので、非常に強力です。
そのため、流れの中に人間味がないと、「一杯食わされた」「だまし討ちされた」という印象を与えかねません。
そうならないように、お願いを受けてもらった後には誠意を持ってお礼を伝えるべきですし、お願いをする際にも誠実にするべきです。
もっと言うと、普段から良好な人間関係を構築するためのコミュニケーションを取っておくことが必要でしょう。
一貫性の法則は非常に強力で、この記事のように「つい引き受けてしまう」という状況を作ることができますが、無理やりやらせてしまうテクニックではなく、誠実にお願いをする際の確率を上げる方法としてお使いいただければと思います。
この記事は、『心を上手に操作する方法』(トルステン・ハーフェナー、2012)から学んだことの記録です。