岡田和彦
海の季節は陸上から2~3カ月遅れて巡る。伊豆半島沿岸では今も、夏に黒潮に運ばれて暖かい海からやってきた南方種の幼魚たち「季節来遊魚」の姿を見ることができる。ただ、今年は少し様子が違う。例年なら、春先の厳寒期に死滅してしまう昨年生まれの幼魚が生き延び、大きく育っているのだ。
静岡県沼津市の内浦湾に浮かぶ淡島沖の海中。黒い魚体に白い星が際立つミツボシクロスズメダイが元気に泳ぎ回る。体長は7~8センチ。近くのサンゴイソギンチャクの触手の間にいる体長1センチほどの幼魚とは明らかに大きさが違う。イソギンチャクに隠れる幼魚特有の動作も取らない。
伊豆半島沿岸では例年、海水温が14度前後まで下がる2月から3月にかけて南方種の幼魚は姿を消す。そのため「死滅回遊魚」とも呼ばれる。それが、昨シーズンは、多くの場所で海水温が16度程度までしか下がらず、幼魚たちが越冬した。そして、成長を続けている。
淡島をガイドする平沢マリンセ…
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