このリストは文系の人が数学や物理学を勉強するための本の案内です.あくまで,個人的に勉強になったものを並べているだけで,もちろん網羅的ではありません.やたらと並んでいることからわかるように,いろんな本を読んでは挫折して,凹んだりしていました.優秀ならこんなにいっぱい挙げなくていいのだろうと思います.ここから下は,挫折と失敗の個人的な記録です.
- 2019/12/07 後悔と公開
- 2019/12/17 物理学の項目に最低限必要だと思われる数学の内容を加筆・Susskindのことを忘れていたので,古典力学の項目を作りそこに加筆.
- 注意
- 哲学の本がそうであるように,数学・物理学の本にも読み方はあります.読み方の違いは決して小さくないと思います.なので,いきなり独習しようとしてもうまく行かないことが多いです.友達だったり,授業だったりを有効活用するといいと思います.
- 私自身は,受験の段階では完全にゴリゴリの文系でした(センターは生物でした).数学や物理学を勉強し始めたのは大学院に入ってからです.決して頭がいいタイプの人間ではありませんし,数学や物理学ができる人間じゃないです.まぁその程度の人間が書いているわけですから,生温い目で見てください.
- これを書いている森田自身がどれくらい数学・物理学を理解しているのかというと,物理学基礎論以外の物理学の哲学の論文は問題なく読めるくらいです.基礎論も読めますが,知らない内容が出てくることはあります(フォン・ノイマン環とか).別に物理学や数学を理解しているとは思いませんが,割とちゃんとした国際WSで発表したことがあるので,まぁまぁ書く資格があるでしょう.
- 通常の哲学的な研究者であれば,論理学や圏論が上がってくるのでしょうが,私は論理学を真面目に勉強したことがないです.また,自分自身が圏論をやるだけの数学的モチベーションを持ち合わせていません.その程度の人間です.なので,これらの分野については他の方の話を伺うのがいいかと思います.(記号の読み方は知っておいてもいいかもしれないですね)
- 一つの本を読んでつまづいたときには,それを脳内でゆっくり噛み締めたり,図書館で同内容の別の教科書を読むといいと思います.
- 「わかるようになるまでやれば,わかるようになる」という言葉で尽きていると思うので,やるしかないと思われます.
数学
数学の教科書は古くなりにくい.特に,60年代に書かれたような教科書は今でもやはりいい教科書なので再版を重ねている.いわゆる名著を下に多くあげているし,実際にお世話になった.ただ,もちろん数学だって発展している.例えば,線形代数のコアの内容がこの50年で変わったとは思わないが,線形代数の意義は変わっているのだと思う.その意味では古い本ばかりではなく,新しい教科書も手にとって欲しいとは思う.
全般
- 志賀浩二.『数学30講シリーズ』.朝倉書店.
- とりあえずこれを読むことがスタート.中等教育(一部,初等教育)のレベルからスタートして,様々な内容を学ぶことができる.演習問題がいっぱいあるタイプではなく,理解するための本.全部で10冊.全部読む必要はなく,5の解析を勉強するなら,1の微積分は不要.あと4をやるなら3はいらなかったような記憶がある.ただ,初めて勉強するなら素直に最初の二冊(線形代数と微分積分)を読むといいと思う.個人的には,「固有値問題」がめちゃくちゃ面白かった.
- 志村五郎.『数学をいかに使うかシリーズ』.ちくま学芸文庫.
- フェルマー予想で有名な志村による数学がどういう学問なのかを教えてくれるシリーズ.数学の諸々の分野が相互に関係していることを伝えてくれる.ある程度勉強してからではないと難しいし,教科書的ではないが,数学という分野の豊さを知るにはいいシリーズだと思う.
線型代数 - 齋藤正彦.『線型代数入門』.東京大学出版会.1966.
- 比較的コンパクトにまとまった線型代数の名盤.簡潔に書かれている一方で,抽象的すぎて難しいという意見も見たことがある.実際,数学や物理学とは違うモチベーションの人には難しいかもしれない.とはいえ,標準的な教科書だし,個人的にはこれで勉強会を開いていた思い入れがある一冊.
- 川久保勝夫.『線形代数入門(新装版)』.日本評論社.2010.
- 旧版は1999年だが,それでも齋藤本よりは新しい.現代的な話との接続を考えるなら,古い本が必ずしも適しているとは限らないと思うので,やや新しめのもの.こちらの方が難易度は低く,勉強会で使った際に文学部の学部3年生の人たちでも問題なくやれてた(とはいえ京大の学生だからなぁ).
- 笠原晧司.『新装版 線型代数と固有値問題』.現代数学社.2014.
- 内容は,線形代数の面白さを強調するものになっていると思う.固有値問題は解析にも繋がってるし,行列についての理解も深めてくれる.数学は,他の数学の分野と接続していくことを学ぶのが大事だと思っているので,解析への接続に是非.
- 2004年の改訂増補版の新装版で,これのさらに「新装版改訂増補」というのが2019年に出ているらしい.フォントとかを変えているのだと思うが,フォントを新しくすれば読みやすくなるわけではない.高木貞治の『解析』の新版は本当に読みにくかった.
解析・微積分 - 笠原晧司.『微分積分学』.サイエンス社.1974.
- 微分積分を学ぶということは,極限やその評価や近似を理解することだと前書きに書かれていて,なるほどと思った記憶が残っている.個人的にはこの一冊があれば,微分積分は十分であるように思う.もちろん軽い本ではないので,読むのは大変かもしれないが,頑張るだけの価値がある本ではないだろうか.
- Stephen Abott. Understanding Analysis. Springer. 2015.
- 洋書かよと思うかもしれないが,数学・物理学系の英語の本(論文)はそもそも英語が難しくないので,文学部にいればそこはそんなに問題にならないはず(哲学者や文学者の英語の方が大変だ).これも勉強会で読んだが,学部生向けのテキストということもあって,極限について概念的な説明がわかりやすかった.笠原よりもこっちが先でもいいくらい.
- 杉浦光夫.『解析入門I・II』.東京大学出版会.1980.
- 辞書.専門家は辞書を通読することもあるだろうが,非専門家が通読するものではない.もちろん,通読するだけの価値があるけれど,個人的には一人頑張るだけのモチベーションはなかった.ただ,手元にあると困ったときに必ず助けてくれるので,その点ではめちゃくちゃお世話になっている.
- 純哲の人たちはこれを勉強会でやっていたので,気合が違うんだなぁとか思った.とはいえ,IIまでやってないのかな.
- 伊藤清三.『ルベーグ積分』.裳華房,1964.
- 新版も出ているらしいが,旧版しか読んでいない.ヒルベルト空間論をやるに当たって勉強したが,途中で挫折している.必要箇所について勉強にはなったのだが,読むのが大変だった.
- 30講とこれを読んで初めて集合や位相の意義を理解して復習することになった.無能なので,いまだに集合論それ自体の面白さはわかっていない.
集合論・位相 - 松坂和夫.『集合・位相入門』.岩波書店.1968.
- 丁寧に読んだわけではないのがだが,色々最低限確認するために,目をとおした際にわかりやすかった記憶がある.集合はチャチャッと消化して,位相を勉強する方がいいと思っている.(集合論に関心がある場合は別.)
- 森田の数学観や物理学観は,一緒に勉強会をしてくれてた数学科や物理学科の人の影響が大きいので,集合論など抽象数学は具体数学ありきという思いが強い.スタンダードな哲学者なら集合論をお勧めするのだろうけど,費用対効果でいうと位相を頑張る方が面白いのかなと思っている.集合論が数学的に無意味といいたいわけではもちろんなくて,他の分野も勉強しないで集合論だけ勉強するとかナンセンスでしょくらいの意味です.
群論 - 雪江明彦.『代数学1 群論入門』.日本評論社.2010.
- 群論については色々と本が出ているが,これが一番好きだった.特に,3章の「群を学ぶ理由」などは勉強になったし,新しめの教科書であるというのもいいところだと思う.30講と合わせてどうぞ.
- 個人的には対称性を理解するために読んだだけで,代数学はまだまだなので,代数学の教科書としてどうなのかとかはわからないが,多分いい本なはず.
多様体 - 松本幸夫.『多様体の基礎』.東京大学出版会.1988.
- 松島与三.『多様体入門』.裳華房.1965.
- 多様体まで到達しているなら,どの本でもいいような気がするが,この二冊はスタンダードだと思う.抽象的で難易度は高いかもしれないが,線形代数や解析なんかをちゃんとやっていれば,十分理解できる.
- 多分この辺で,数学科でない学部3年生くらいだろうか.僕の知り合いたちに聞くと,1年生の終わりには当然のように多様体まで終わっていたようだ.怖い.
物理学 これは個人的な印象だが,哲学が嫌いな物理学者は,哲学的に面白い.以下であげる本の中で,特に哲学が嫌いそうな人(誰とは言わないが)の本はどれも哲学的に面白い.
物理学の内容としても網羅的ではない.例えば電磁気学なんかは入っていないが,それは森田の関心のせい.また,発展的な領域(QFTや物性とか)については,そもそも絶賛勉強中だったりするし,別にこんなリスト読まずに,もっとちゃんとした人の参考文献表を見ればいい.哲学者に役に立つのかは知らないが,そういうものも一部含まれている.
古典力学 - Leonard Susskind. The theoretical minimum. Basic Books. 2013.
- タイトルの通り,物理学をやる上で最低限の内容がまとめられている.古典力学とは何かというところからスタートし,解析力学を紹介して,一応電磁場の導入までやるので,古典物理学の概略は掴めるだろう.副題が,What you need to know to start doing physicsとあるように,最初の一冊として.Penguin版のClassical Mechanicsと同内容.
- Susskindは量子力学と相対論と古典的場の理論についても本を書いているが,個人的には未読.量子力学の方は,割と英語のブックガイドに挙げられることは多いような気がする.確かに,量子力学の哲学をやるにはいいのかもしれないが,量子力学を勉強するにはこの本だけでは不十分だと思う.翻訳についてはチェックしていない.
量子力学 量子力学に必要な数学としては,とりあえず有限・離散の範囲内なら線形代数さえ抑えておけばなんとかなる.歴史系の内容を理解したい場合には,微積分を抑えておいたほうがいい.ハイゼンベルグが行列力学を提示したとき,当時の物理学者は行列についてあまり知らなかったというのは有名な話.また,量子力学は関数解析のことという極論もあるので,関数解析さえできればいいのかもしれない.
- 清水明.『新版 量子論の基礎』.サイエンス社.2004.
- 公理的に書かれた教科書で,量子力学に関心のある哲学系の人はこの本から読むのがいいと思う.M1の勉強会でこれを読み,いろんな人にお世話になりながらなんとか読み切った.ブラケットで書かれていたり,あまり他の物理学の知見が前提されていないので,いきなりこれから初めても読むことができた.線形代数の基礎も導入されているので,お勧めできる.
- 新井朝雄.『ヒルベルト空間と量子力学 改訂増補版』.共立出版.2014.
- 量子力学というよりは,量子数理物理学の本なのだが,量子基礎論とかをやるにはいい文献.数学的には丁寧に書かれているものの,数学的には非常に高度だと思う.個人的には二回くらい挫折しているが,数学が得意な人はこちらの方がいいかもしれない.特に,線形代数や関数解析なんかを理解できている人は,こっちの方がいいのかもしれない.
- 小暮陽三.『なっとくする演習・量子力学』.講談社.2008.
- タイトルにごまかされそうだけど,めちゃくちゃいい本だと思う.量子力学のモチベーションを理解することができるし,解説も丁寧.上の二つはフォーマルに再構成された量子力学の教科書だが,こちらは歴史的な経緯をベースに再構成したもの.
- 朝永振一郎.『量子力学I [第二版]』.みすず書房.1969.
- 朝永振一郎.『量子力学II [第二版]』.みすず書房.1997.
- 朝永大先生の教科書.さすがの日本語力.小暮本の次はこの本.物理学を勉強しているなと感じられる.歴史的な発展を元にした教科書で,小暮本は明らかにインスパイアされている.特に,20年代の量子力学について調べているときは朝永の説明を踏まえて資料を読み直すと,当時の人の気持ちが理解できる気がする.そういう読み方をしたので通読できているわけではない.あと,重ね合わせとベクトルについてのお話とかは,授業でガンガン使っている.
- 一応,注意しておくと,歴史的経緯にそった教科書だが,科学史としてみればまぁ微妙でそう簡単に受け入れて欲しくはない.一流の科学者が素晴らしい科学史家であるとは限らないのはワインバーグの本とそれに対する反応を見ればわかる.もちろん,ワインバーグも朝永も超一流だ.
- 猪木慶治・川合光.『量子力学I・ II』.講談社.1994.
- 名著.だが,文系の人がいきなり読むようなものではない.最初に読んだときは全然ダメで挫折した.でも量子力学以外のことも勉強してから戻ってくると,学びが多い.個人的には,論文読んだり他の分野やったりしているときに困ったら,この本を開いている.
- J.J.サクライ.『現代の量子力学』.吉岡書店.1989.
- 名著と名高い本.勉強会でめちゃくちゃ苦労して読んだ.結局最後までは行かなかったような記憶がある.ただ,物理学者にとってはスタンダードであるということは,これを読めることが物理学の理解に繋がるのだろうと思う.とはいえやはり,文系の初学者にはお勧めしない.
- 須藤靖.『解析力学・量子論』.東京大学出版会.2008.
- 哲学に対して殺意マックスな先生だけど,コンパクトに解析力学と量子力学を勉強させてくれる.コンパクトである分,文系の人には式と式の間のギャップが大きすぎるように感じるだろう.ただ,解析力学から量子力学という道程は標準的なものなので,そういう意味では勉強する必要がある.頑張って勉強会で読んだなぁ.
- 古典力学という言葉でニュートン力学しか想像できない哲学者のなんと多いことか...解析力学やってからが本番です.
- 高橋康.『量子力学を学ぶための 解析力学入門 増補第2版』.講談社.2000.
- この本は本当にお世話になった.中でも7章は白眉.物理学の哲学をやるなら必ず目を通しておきたい.高橋先生の序文は自分自身のスタンスを確定する上で非常に重要だった(昔,ブログにも書いた).重要なのは前提知識を全て理解していることではなく,勘所を抑えた上で,必要な時に前のテキストに戻りながら理解を深めていくべきだということらしい.ただ,記述がシンプルなので,初学者は苦労するだろう.
- 量子場にはコミットしないリストだが,同じく高橋先生の『古典場から量子場への道』(表先生との共著)もまた0章が素晴らしい.
- 前田周一郎.『束論と量子論理(POD版)』.森北出版.2015.
- 長らく絶版だったがprint on demand版で復活した.量子論理の教科書としては最善で,量子力学の哲学の本を読む上でも勉強になるだろう.個人的には未読だけれど,ロジックとかをちゃんとやっている哲学の人にはこの本はお勧めできる.
熱統計力学 熱統計力学に必要なのは主に微積分.ただし,線形代数については,最低でもベクトルとスカラーの違いを抑えておいて欲しい.統計や確率論についての知識も必要だが,その辺の数学をちゃんとやらなくても,以下で挙げたテキストではフォローしてくれている.もちろん,量子的な側面を学ぶなら線形代数はきちんとやらないと困ると思う. - 清水明.『熱力学の基礎』.東京大学出版会.2007.
- 熱力学について,量子力学と同様にある意味で公理的に書いていく教科書.この本を読んだことで,研究者としての人生は大きく変わった.基本的に誰でも読める本だと思う.最低限の数学的な内容も含まれている.また,本書の中では,かなり哲学的に面白いことも書かれている.是非とも通読してほしい.
- 清水先生は「こういう問いは形而上学,つまり無意味なんですね」というパンチラインで知られているが,ご自身の立場はやはり哲学的に見ても面白く,議論したくなってしまう.
- この本を読んだことで,エントロピーもそんなに哲学的に深淵じゃないなと理解できた.「エントロピーとは何か」を考える前に,「エントロピーを使えるようになる」ことを目指すべきだと思うけど,どうでしょうか.
- 田崎晴明.『統計力学I・II』.培風館.2008.
- 統計力学の教科書はこれが勉強になる.ご本人曰く「ラノベ」らしいが,それだけ面白いトピックが田崎先生本人の意見を交えて説明されている.確かに,もっとシンプルで薄い教科書もあるのだが,統計力学がいかに豊かであるかを教えてくれる上に,発展的な内容と基礎的な内容を橋渡ししてくれている.確率論の導入から始まるので,最低限の微積分やら線形代数の知識があれば,あとは読みながらでもなんとかなるはず.
- 田崎先生はソーカル事件についてのコメントでわかるように,積極的かつ真摯に哲学と向き合ってくださる.ご本人的にこう言われても困るのだろうが,書かれている内容は哲学的に面白い.統計力学の哲学なんかを読むときには横においている.
- 西森秀稔.『相転移・臨界現象の統計物理学』.培風館.2005.
- 統計力学が終わったらこちらはどうだろうか.田崎統計と同じシリーズなのだが,こちらが先に出版されている.相転移・臨界現象について,物理的な説明をしている本で,説明が簡潔で薄いが,体系的な理解は得られる.簡潔な分,難しいところもあるかもしれないが,ここまで来たらきっと自分でなんとかできる.
- 高橋和考・西森秀稔.『相転移・臨界現象とくりこみ群』.丸善出版.2017.
- 熱力学と統計力学,量子力学を学んでいれば,理解できる本.前半は歴史的に臨界現象の基礎的な内容を論じている.後半は発展的な内容が展開されている.熱統計力学の記述はあくまでも,用語や記法の確認程度.それでも,読めば勉強になるし,難しくて読めないということもないのではないだろう.
相対性理論 特殊相対性理論は中学数学のレベルでも理解できるはず.他方,一般だともう少し数学的に高度で微積や線形代数はもちろんだが,多様体についての理解も必要だ.ただ,数学の勉強をしすぎて物理の本を読めないというのは本末転倒になる可能性もあるので,数学についてはあんまり完全な理解を追い求めすぎないほうがいいと思う. - バーナード・シュッツ.江里口良治・二間瀬敏史共訳.『第二版 シュッツ相対性理論入門』.丸善.2010.
- 学部生のための勉強会で特殊までやった.特殊の範囲内では電磁気学などその他の物理学がそれほど前提されていないので,ベクトル解析の知識がなくてもなんとかなると思う.ただ,後半の一般に入ればそれはもちろん諸々の知識が必要なので,きちんと準備してから登頂してほしい..
- 個人的には時空間に興味があまりなかったので,一般相対論の途中で投げている.
- 須藤靖.『一般相対論入門』.東京大学出版会.2004.
- 解析・量子でも名前を挙げた須藤先生の相対論の本.とにかく,最初の20pを読めば特殊相対論の肝は掴めるのだから,まずは読もう.もちろん,文系には優しくない作りだとは思うけれど,式変形は全部追えなくても最初は大丈夫というか,その辺は我慢するしかない.もちろん,シュッツもだけれど最初は添字の多さにギョッとする.ちゃんとじっくり付き合えば気持ちがわかってくるもんだと思う.
- 物理学者になるのであれば,物理学者の進める本が物理学者のように読めるように努力するべきだが,そういう人はこんなところで油を売っている場合ではない.ここはあくまで,文学部の人が学ぶならという方向で書いているので,その辺は大目に見てほしい.
- David Malament. Topics in the Foundations of General Relativity and Newtonian Gravitation Theory. Chicago Univ. Press. 2012.
- 物理学の哲学者でもあるMalamentによる一般相対性理論の本.微分幾何学から重力理論へと向かう本で,森田も絶賛勉強中.とりあえずいい本だと信じている.ネットにpdfが転がっているので,そちらを手に入れれば十分だろう.
- 内井惣七.『アインシュタインの思考をたどる』.ミネルヴァ書房.2004.
- 学部時代に読んだ記憶がある.よく考えると,これを最初に読んでちゃんと形式的なところへと移るという手もあるなと思ったので挙げておく.哲学者が書いた本なので,数学的に厳しいところはないだろうと思われる.これは,あくまで時空の哲学入門の本であって,相対論の本ではない(相対論の入り口としてはいい本だと思うけど).
- 師匠の師匠なので大師匠なのだろうが,直接お会いしたことはない.確か,物理学を勉強し始めたのはキャリアの中盤くらいだったと思うので,大事なのは気合だなと思った.相対論を教えてくれた同僚の物理学者がいたとかなんとかなので,やはりそういう人の存在は不可欠なのだろう.
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