第537回 開発運営レポート

2019/12/04 (水)

不定期企画「MHFのウラガワ」最終回~「新武器種『マグネットスパイク』が生まれるまで」編~
  • PS Vita
  • PS3®
  • PS4®
  • パソコン

アシスタントプロデューサーの砂野です。

いよいよ12月18日(水)のサービス終了まであと2週間となりました。
以前お伝えした通り、当日は10時からのメンテナンスは実施せず、夜21時まで思う存分、狩りをお楽しみいただけます。

ユーザーイベントもたくさん開催していただき、本当にありがとうございます。ぜひ、最後まで『MHF』をお楽しみいただけますと幸いです。



さて、537回に渡ってお届けしてきた「開発運営レポート」、そして7回に渡ってお届けしてきました「MHFのウラガワ」も、今回が最終回です。

最後に、ハンターの皆様にもっとも喜んでいただける開発秘話は何かな…?と考えた結果、今回は『MHF』オリジナル武器種である「マグネットスパイク」が生まれるまでの過程を、コラムとしてお届けします。

“新たな武器種を生み出す”ということは、本タイトルの開発の中でもトップレベルにハードルが高いプロジェクトです。そんなプロジェクトが実際にどのように進んだのか、そして、ハンターの皆様のお手元に届けることができたのか、ぜひご一読ください。

『MHF』オリジナル武器種「マグネットスパイク」とは


「HL&EXコース無料開放」を開始以降、復帰してくださっている方もたくさんいらっしゃいますので、簡単に「マグネットスパイク」の概要をご説明します。

「マグネットスパイク」は、2018年9月26日(水)実施の『MHF-ZZ(ダブルゼット)』大型アップデートにて実装した、『MHF』としては「穿龍棍」に続く、完全オリジナル武器種です。

「マグネットスパイク」紹介ページ

※上記リンクは、ゲームブラウザから閲覧することができません。
  お手数ですが、パソコンまたはスマートフォンにてご覧ください。



キーワードとして「超重量級の近接武器」「磁力による高速アクション」「斬・打のモード切り替え」を掲げ、新たな狩猟体験を目指した武器種となります。

開発過程をより詳細にお伝えするために、以前生放送に声だけ出演してくれたことのあるマグネットスパイク開発担当の企画スタッフ「マグスパくん」(僕の同期でもあります)にも改めて当時の様子を聞いてきました。

「マグネットスパイク」開発の流れ

オリジナル新武器種の開発期間は、数ある実装物の中でも最も長いといえます。「マグネットスパイク」の開発は、約2年前となる2016年11月頃から案出しを開始し、2017年6月頃に概要とコンセプトデザインが完成。その後、複数回のモーションキャプチャーを行ない、実装の半年前には詳細をFIXさせ、残り期間は量産作業やデバッグ&修正作業…という形で進行しました。

企画着手

まず最初は、特に条件や制約を設けない形で案出しを行ないました。
案出しの形式も様々で、テキストと参考画像をまとめた資料であったり、ラフデザインで説明する画像だったりします。

以下の画像は特に変わり種の案にはなりますが、こんな形で幅広い案を募りました。(「パラソル型の武器種にして、カトレアをレジェンドラスタにする」みたいな案までありました)


※画像クリックで拡大表示


※画像クリックで拡大表示

もろもろ案出しを行なった結果、この時点では「斬属性の中距離武器」または「斬属性の脚装備武器」が面白そう、というのが大まかな方針に決まりました。

脚を中心にしたモーションは、これまでの『MHF』 のアクションとも差別化ができるため有望視されていたのですが、“次のオリジナル新武器種は、他社のタイトルも含め、既存の武器にはないものにしたい”という方針から、後者の案は早々になくなることとなります。 ちなみに、二丁拳銃や蛇腹剣、鎖鎌といった案出し時には常連ともいえる武器種案があるのですが、こちらも同様の理由で採用されていません。

メイン要素の検討

“次のオリジナル武器種のあるべき方向性(メイン要素)”を論理的に検討するフェーズでは、「レンジ」・「斬/打/弾」・「動きの重さ」の観点から、以下のように検討を行ないました。

 

1.レンジ
同様の武器種は他になく、差別化が可能なため、中距離の方向で検討。
→モンスターとの距離は、ランス(極長)と弓(連射矢)の中間程度の想定

2.斬/打/弾
前回のオリジナル武器種(穿龍棍)が打属性だったため、斬属性の方向で検討。

3.動きの重さ
中距離であれば、回避メインなら軽め、ガードメインなら平均的な重さを想定。


見返してみると、2と3は変わっていることがわかります。

これは、この後『モンスターハンター』らしい武器種アクションという観点で検討していった結果で、ひとつは「変形ギミック」を取り入れたいという大きな理由がありました。
「スラッシュアックスF」しかり、「穿龍棍」しかり、MHの武器種には変形/可動ギミックを持つものが存在します。こうしたギミックを取り入れるのであれば、「斬」と「打」の両方が使えるようにできれば、さらに既存武器種との差別化ができるのではないか、ということから2は変更となりました。

もうひとつは、MHの武器種ならではの「重く大きな武器を力強く振り回す」という要素を取り入れたいという理由です。軽快に動ける武器種は、既に多く存在していたこともあり、のちのち3もこの方向に舵を切ることになるのですが、この時点では「中距離」という要素との矛盾が残っていたため、次のラフデザイン作成時にはまだ採用されていません。

第1回ラフデザイン作成

上記の検討の結果、次の2つの要素をお題として、第1回のラフデザイン作成が行なわれることになりました。

■第1回のお題
・中距離攻撃が行なえる
・斬/打の両方を取り入れたデザイン

ちなみに、「マグネットスパイク」は歴代でも、かなりラフデザイン期間が長い実装物で、このあとにも計3回ほどのラフデザイン作成を行なうことになります。


※画像クリックで拡大表示

第1回のラフデザイン時点では、二つに分かれたパーツを「鎖状のもので繋ぐ」か「蛇腹構造を用いて射出する」という方向性でした。

この中ではお題が強く意識されていた、左上の『コマ』をモチーフにしたデザインと、右下の『双頭棍』が有力でした。しかし、全ての案に共通する「鎖や蛇腹構造」を用いることで中距離攻撃を実現するという方向性自体に既視感があったため、まるっきり別の方向で第2回のラフデザイン作成を行なうことになりました。

そこで考え出されたのが、「磁力」を用いるというアイデアです。離れた位置にいるモンスターに瞬時に接触する方法は何かないか…と頭を悩ませる中で、ヒントになったのは『MHF』初の古龍であり、磁力を司る「ルコディオラ」だったのです。

「磁力」を使うという観点からアイデアを膨らませていくと、もはや離れた位置から攻撃する必要はなく、ハンター自身が磁力を用いた高速移動を行なうことで中距離攻撃を実現しよう、という結論に至りました。

こうなると、重厚な近接攻撃をベースに、磁力を駆使して中距離攻撃を行なえるようになるため、メイン要素3を検討していた際の矛盾も解消されます。「超重量級×磁力による高速移動」という、未だかつてない掛け算が生まれた瞬間でした。

第2回ラフデザイン作成

かくして、第2回のラフデザイン作成は、最終的に「マグネットスパイク」のコンセプトにもなっている以下の3つの要素をお題として行なわれました。

■第2回のお題
・重量級でありながら、中距離攻撃が行なえる
・斬/打の両方を取り入れたデザイン
・磁力を取り入れたデザイン

<案A>

※画像クリックで拡大表示

左のふたつの案は、第1回に比べてかなり重量級のデザインになりました。真ん中の案は、下部に電光虫の電力を用いた電磁石が備わっており、打撃側と斬撃側が回転するという案でした。右端の案は重量感こそないものの、片手盾にもなるデザインはカッコイイです。

 


 

<案B>

※画像クリックで拡大表示

こちらの左のふたつの案は、斬撃を繰りだす刃を出し入れできるギミックを持つデザインです。右側の「振り子鎌」の案は変形ギミックこそないものの、納刀状態の姿はかなり最終デザインに近いものがありますね。左端の案の刃が出るギミックと、右端の案のフォルムは、いまの「マグネットスパイク」の原形とも言えると思います。

 


 

<案C>

※画像クリックで拡大表示

案Cは、かなり振り切ったデザイン案になっています。
どれも変形ギミックはなく、持ち換えや使い分けで斬撃と打撃を繰り出すデザインですが、真ん中の「ランドセル」案はかなり面白いですよね(笑)。

第2回のラフデザイン作成で、かなり方向性が見えてきた印象があります。 ただ、斬モードと打モードの違いをもっとわかりやすくするため、「変形ギミック」のインパクトを強める方向でブラッシュアップした案を持ち寄る形で、第3回を開催することになりました。

第3回ラフデザイン作成

<案D>

※画像クリックで拡大表示

案Dは、またこれまでと違った方向性で作成されました。
右端のデザイン案については、示し合わせた訳でもないのに、別のデザイナーが作成した案Eとモチーフ(ハサミ)が共通しているのが面白いですね。また、納刀状態の「翼が生えたような見た目」というところは、今でも残っている要素です。

 


 

<案E>

※画像クリックで拡大表示

こちらも、変形ギミックのわかりやすさがかなり向上したデザインです。
ただ、他のデザイン案と同様、斬モードと打モードをそれぞれハンターが使ったときの、道具(武器)としての使い勝手のよさという点で頭を悩ませていました。

 


 

<案F>

※画像クリックで拡大表示

案Fは、変形ギミックによる斬/打のメリハリはまだ取り入れられていないものの、第2回の中ではかなり最終的なデザインに近づいた案でした。ブーメランやハングライダーをイメージしたフォルムは、この後のブラッシュアップに活かされています。

 


 

<案G>

※画像クリックで拡大表示

案Gは、マグネットスパイクの「IF」の姿と思わせるデザイン案です。斬モードはほとんど完成版のデザインに近く、あとは打モードに変形する際の折りたたむ方向だけが異なります。右上のモンスターに磁界を付与する「磁力盤」というアイデアも、かなり近いものがありますね。

第3回のラフデザイン作成では、完成版デザインの原形が出揃いましたが、打モードの形状だけがまだしっくりきていませんでした。というのも、カタマリ的なデザイン案が多く、重量級の打撃武器を振り回すアクションに向かなかったためです。 そのため、打モードのフォルム(特に持ち手)をブラッシュアップする方向で、第4回のラフデザイン作成を開催することになりました。

第4回ラフデザイン作成

<案H>

※画像クリックで拡大表示

案Gの「グライダーホルン」の持ち手を大きく改善したデザイン案です。
マグスパくんと「これもカッコイイよね」なんて話をしていました。かなり有力な候補ではあったのですが、打モードの形状がハンマーのようにも見えることと、モンスターとの接触部分以外に、かなり斬モードの要素(刃)が残っていることが懸念でした。

 


 

<案I>

※画像クリックで拡大表示

そして採用されたのが、この案Iのデザインです。
打モードの状態では刃が完全に内部に収納されることで、打モードは打撃武器らしく、斬モードは斬撃武器らしい形状に変形する点と、課題となっていた「打モードの振り回しやすさ」が確保されている点が大きな決め手でした。

デザインのブラッシュアップ

※画像クリックで拡大表示

斬モード/打モードそれぞれで武器を構えたり、抜刀状態で移動するシーンを想定してブラッシュアップを行なっていきました。また、案Iの段階では打モードに近い状態で納刀していましたが、これまでのラフデザイン作成の中で非常に印象に残っていた、翼を背負っているようにも見える形(斬モードに近い形状)で納刀する方向に変更となりました。

モーションなど「遊び」の部分の作り込み

こうしてデザインが固まったら、実際の攻撃アクションのモーションづくりや、磁力を活かした「遊び」の部分の作り込みを行なっていきます。

たとえば、磁力でモンスターを縛りつける「磁縛(じばく)」や、磁力を蓄積することでハンター自身を強化する「磁纏(じてん)」などです。

 

■磁縛(じばく)アクション
「マグネットスパイク」は開発初期から、ハンターの皆様に楽しんでいただける強力な武器種にしたいという思いと、マグネットスパイクをきっかけに他の武器種も活躍できるようなCo-op要素を詰め込みたいという思いがありました。
その延長線上で、磁縛アクション中のハンターは攻撃に参加できないことを活かして、モンスターを縛りつけている最中は、パーティーの他の武器種(ハンマーや大剣など)でスタンを狙ってもらおう、という意図を込めて「磁縛」を実装しました。

■磁纏(じてん)状態
斬/打のモード切替が可能な武器種にすることが決まった時点で、「どちらかのモードだけではなく、状況に応じて両方のモードを使うと楽しい」というシチュエーションを作ることは常に意識していました。そうした中で、各モードでのアクション中にゲージが溜まり、満タンになったらモードを変更して自身を強化できる「磁纏」という仕組みを取り入れました。


また、「磁力」というこれまでにない要素を取り入れた「マグネットスパイク」では、モーションのアイデアは無数に出てきました。開発時点ではサービス終了は決まっていませんでしたが、オリジナル新武器種を実装するのはおそらく最後であろうという思いはあったため、「あと1モーション入れられるか…」というメモリの限界まで詰め込みました。

そのため、最終的には他の武器種の2倍以上のモーションを備える武器種になったわけですが、結果的に多くのハンターの皆様にとてもご好評いただいたので、ギリギリまで頑張ってよかったなと感じています。

さて、いかがでしたでしょうか?

今回は最終回ということもあり、大ボリュームでお届けしました。
拙筆ながら、この開発運営レポートや「MHFのウラガワ」がハンターの皆様にお楽しみいただけていたら、これ以上ない幸せです。

冒頭でも触れたとおり、『モンスターハンター フロンティアZ』のサービス終了まで、残すところ、あと2週間となりました。

開発・運営チームとしても、最後まで楽しんでいただけるよう、様々なイベントを行なってまいります。また、ハンターの皆様が主体となったイベントも思う存分、実施していただけますと幸いです。(最近思い付いたのですが、全コラボ装備で集合写真を撮るのとか、面白そうだなと思います笑)



お気に入りの武器・防具を、ぜひ写真に収めてください。
もう会えなくなるキャラクターに、後悔のないよう話しかけてください。
もう会えなくなるモンスターに、心ゆくまで会いに行ってください。
メゼポルタで交わす、仲間たちとの何気ない会話を楽しんでください。


開発運営レポートはこれで最後になりますが、グランドフィナーレまではまだまだ時間がありますので、しめっぽい言葉や感謝の気持ちなどをお伝えするのは、もう少しあとにしようと思います。

それでは、最後の最後まで、『モンスターハンター フロンティアZ』をよろしくお願いいたします。

お問い合わせ状況
  • PS Vita
  • PS3®
  • PS4®
  • パソコン

各種キャンペーンやイベント報酬のアイテムなどをお受け取りしようとした際に、アイテムボックスに空きがあるにもかかわらず「特典を受取るための空きがない」とメッセージが表示され、お受け取りができないとお問い合わせいただくことがございます。

上記の場合、お客様が所持されている猟団ポイント、Nポイント、イメチェンポイントが原因で、お受け取りができない場合がございます。

各種ポイントに関しては下記の所持上限が定められており、上限を超えるポイントの受け取りはできない仕様がございます。

■各ポイントの最大所持上限数
・猟団ポイント:50,000RP
・Nポイント:100,000NP
・イメチェンポイント:99P

そのため「ガイド」より特典をお受け取りされることで各種ポイントの所持上限を超える状態の場合、特典をお受け取りできない状況となります。

※一例となりますが「HLリワードのスタンプ」特典などのNポイントが未受け取りかつ、Nポイントの所持数が多い場合などに、上記の状況が発生いたします。

該当のメッセージが表示され特典をお受け取りいただけていない場合は、大変お手数ではございますが各種ポイントの所持ポイント数をご確認いただき、特典を受け取っても所持上限を上回らないよう、現在所持されているポイントをお使いいただいた後、あらためてお受け取りをお試しいただきますようお願いいたします。

利用規約違反者対応状況
  • PS Vita
  • PS3®
  • PS4®
  • パソコン

2019年11月18日(月) ~2019年12月1日(日)の期間中に、PS3、PSVita、PS4、パソコンのゲーム内において計4件の利用規約違反が確認されたため、該当するアカウントに対して罰則(警告、一時停止、永久停止)を適用いたしました。

  警告 一時停止 永久停止 合計
チート行為※ 0 0 2 2
ハラスメント 0 1 0 1
不適切名称 0 1 0 1
合計 0 2 2 4

※不具合の悪質な不正利用による対処件数が含まれます。

2019年11月
合計 3件
2019年12月
合計 6件

MHF-Zでは、ゲーム内でのチート行為やチャットでのハラスメント行為以外にも、ゲーム内のキャラクター名や猟団名などにつきまして、公序良俗に反する不適切な名称を付ける迷惑行為につきまして、利用規約上において禁止行為とさせていただいております。

「キャラクター名」や「猟団名」はもちろんのこと、「パートナー」「パートニャー」「ホルク」などの名称につきましても対象となります。

調査の結果、不適切な名称と判断された場合、「警告」や「一時停止」および「名前の変更」という対処が行なわれます。 また、これらの名称につきまして公式狩猟大会や狩人祭開催中に、規約違反行為が確認された場合、その対象者および猟団ごと失格となり、公式狩猟大会での入賞取り消しや狩人祭の上位猟団発表から除外される場合がございます。

ゲーム中に不適切な名称を発見された場合には、下記「お問い合わせ」ページの「迷惑行為の報告」より、該当のキャラクター名やキャラクターID、猟団名などを含むできるだけ正確な情報をお書き添えいただいた上、ご報告をお願いいたします。

お問い合わせ
規約違反に関する罰則規定

MHF-Zは、インターネットを通して不特定多数のお客様が同時にプレイされるオンラインゲームです。ご自身や仲間内では、全く問題ないと思われている「キャラクター名」や「猟団名」であったとしても、他のお客様が不快に感じられてしまう場合もございます。くれぐれもご注意くださいますようお願いいたします。


以上で今週の開発運営レポートのご報告となります。

過去の開発運営レポート一覧