今回は、日本のウイスキーメディアサイトが初めて手がけたボトル、マグ・メル ウィリアムソン12年を飲みます。

第一弾はアイラモルト

mag_mell_w_「マグ・メル」とは、ケルト神話における喜びの島という名前で、死後、楽しさと幸せを永遠に得られる楽園として伝えられる土地だと言われています。

このボトルを手がけるのは、ウイスキーメディアとして知られる「BARREL」で、ウイスキーのボトルや飲み方を伝える情報サイトとして日本で最も閲覧されています。

今回のボトルが、プライベートボトルとして初めて手がけるものになります。

ウィリアムソンという名前は、実はアイラモルトの王様ことラフロイグの別ブランドです。
大人の事情でラフロイグの名前を使えない際に、このウィリアムソンの名前が冠されるようです。

ウィリアムソンとは、1950年代から1970年までラフロイグ蒸溜所のマスターディスティラーを務めていたベッシー・ウィリアムソンから名付けられたと言われます。

ベッシー・ウィリアムソンは、20世紀初頭に蒸溜所の建て直しを行った創業家出身のイアン・ハンターの秘書でしたが、次第にウイスキー造りにも加わるようになり、イアン・ハンターから様々な秘伝を受け取った後、彼の後継者として15年にわたってラフロイグを手がけました。

その間に、ラフロイグの人気はどんどんと上がっていきましたが、蒸溜所単体の体力ではこれ以上の人気に対応できないと判断した彼女は、蒸溜所を売却しました。

ラフロイグの名声を上げたことで、ブランド名として残されていると言えます。

使用される樽はバーボン樽のみ、その12年以上熟成された原酒を加水無しにボトリングしています。

さて、このマグ・メル ウィリアムソン12年のラベルには、新進気鋭の画家、今井喬裕氏の絵が使用されています。
彼は近年珍しい、写実的な美人画を手がける画家で、あたかも実在するようなリアリティのある描写を行うことで、注目されつつあります。

アイラモルトらしさ全開

では、ストレートから飲みます。
グラスに注ぐと、液色はシャンパンゴールド、香りは正露丸とグレープフルーツが交互に訪れます。

口に含むと、正露丸の香りと灰のような煙たさが一気に広がります。奥からはレモン、グレープフルーツの爽やかな香りが追いかけます。
味わいは、アルコールからの辛みが比較的強く、その後は柑橘系のような酸味、ほのかな苦味が続きます。

ロックにすると、柑橘系の爽やかな香りが前に出るようになり、スモーキーな香りは少々潜む印象です。しばらく経つと、軽くバニラの甘い香りがやってきます。
味わいは、ビターが先に出るようになり、酸味はそれなりになります。しかしその余韻には甘みもほのかに得られます。

最後にハイボールでは、再び正露丸を伴ったスモーキーなピートが全体に強く広がります。奥からはカラメルやシナモンのような甘い香りが出てきます。
味わいは、苦味が先んじますが、後からはほのかな甘みとうま味が舌を覆います。

オフィシャルのラフロイグ10年と比べると、特徴的な正露丸を伴うピートは幾分柔らかくなり、グレープフルーツの香りが新鮮に感じられます。
それでもアイラモルトらしさを堪能できるボトルであることに間違いはないです。

700mL、アルコール度数54度、価格は19,580円。ただし販売された210本はすぐに完売してしまいました。
先行して飲食店向けに販売していましたので、もし見つけたら是非味わってください。

<個人的評価>

  • 香り A: 強烈な正露丸と燻煙。その後にグレープフルーツ。加水でバニラ、シナモン、カラメル。
  • 味わい B: ストレートでは酸味が強め、加水で苦味が勝ってくる。後味は甘みとうま味。
  • 総評 B: 少々まろやかだが、アイラモルトの強い個性を堪能できる。