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【井上透の最先端メソッド】

スイングのテンポが安定すれば必ずミート率上がります

2019年12月12日 紙面から

 今回はスイングのテンポ、リズムについて説明します。良いテンポ、良いリズムとは一体、どういうものでしょうか。自分に最も合ったリズム感を身に付けるためには「連続素振り」が一番です。なかなか芯に当たらないな、と悩んでいる人は、この練習法でミート率が確実に上がります。 (取材・構成 堤誠人)

シャープさ大事に

 スイングのテンポやリズムは、身長や筋力などの影響を受けます。一般論で言えば、体の大きい人は、あまり速く動けません。小さい人は機敏に動くことができます。

 例えば、昔のプロレスラーだったジャイアント馬場さんは素早く動くことができませんでした。一方、ラグビー日本代表の選手には小さいけど素早く動く選手がいました。

 ということは、最強なのは大きくて速く動ける人です。ゴルフでも最近は、海外では身長180センチ以上の体格なのにスイングがものすごく速い選手が出てきています。こういう選手は、本当によく飛びます。それは、大きい体なのに素早く動くことができることが理由です。

 では、体格に恵まれない日本人は彼らにどう対抗すればいいのでしょうか。飛距離について言えば小さいメリットを生かし、シャープに振ることが重要になってきます。

 シャープなスイングをするためには、正しいリズム感が欠かせません。そして、自分の適切なリズム感を見つけるのなら、難しく考える必要はありません。

 気持ちの良いテンポやリズムを発見するためには「連続素振り」が最も簡単です。足踏みをするようなテンポで軽く何回か振り、最後の1回だけしっかりと振ります。この練習だと、自分の身長や筋力、クラブの重さなどを考慮した場合の、最もベストに近いスイングテンポ以外では振れないのです。

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静止からは難しい

 この時のテンポを基準に考えます。あとは、この基準通りに振れるか、ということです。ただ、この基準通りに振ることは、結構、大変なのです。連続素振りでは、そんなに急いで振っているように感じません。しかし、完全に静止しているところから、そのテンポに乗せようとすると、思い切りよく始動しないと、そのリズム感で振れないことが分かります。

 多くのアマチュアゴルファーは、この時に考えすぎてしまうのです。バックスイングの時にいろいろなことを考えると、ゆっくりとした動きになります。そこから基準のテンポに合わせようとすると、力んだり、動きが急に速くなったりします。

 まずは連続素振りで自分の振りやすい、固有のリズム感を発見すること。次に、このリズム感を、いかに止まっているところからスムーズに乗せていくか。この2つができて、初めて安定したテンポ、リズムで打つことができます。

自分に合った正しいリズム感をつかめばミート率が上がる

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何度もテンポ再現

 プロの世界で重要なのは、良いテンポで振ることだけではなく、何度でも同じテンポで再現させることです。なので、ゆったりとしたテンポでうまくいっている人は、それで十分です。速いテンポでうまくいっている人も同様です。なぜなら、再現性が高いからです。

 逆に、ミート率が悪かったり、リズムが安定しなかったりする人は、この「連続素振り」のドリルを試してください。そして、このテンポで打てるように練習し、リズムが安定するようになれば、必ずミート率が上がります。

【井上透のひとりごと】

27歳でベテラン扱い…顕著だった若手台頭

 男女とも、今季の日本ツアーが終わりました。特に女子ツアーでは若手の台頭が顕著でした。

 来季の賞金シードを獲得した50選手の平均年齢は26.26歳です。これが、日本選手に限ると24.97歳まで下がります。30歳以上の日本選手でシード権をつかんだのは8人だけでした。

 私が指導している成田美寿々プロは27歳ですが、まだ中堅にもなっていない年齢なのに、まるでベテランのように扱われていると感じることさえあります。

 これはジュニアゴルファーの早期育成のたまものです。しかし、行き過ぎれば、いくら練習しても上達しない状況に陥ったり、バーンアウトと言われる燃え尽き症候群を生み出したりしてしまいます。

 若い魅了的な選手が多くなることは大切ですが、何事もバランスが大切です。

 <井上透(いのうえ・とおる)> 1973(昭和48)年4月3日生まれ、横浜市出身の46歳。大学生の時に渡米し、ゴルフ理論を学ぶ。97年に日本初のプロコーチとなり、現在は成田美寿々や穴井詩らを指導。世界ジュニアゴルフ選手権の日本代表監督を務めるなど、ジュニア育成にも力を入れる。2016年から東大ゴルフ部監督。

 取材協力 横浜本牧インドアゴルフ練習場(横浜市中区本牧原15の6グロブナースクエアB1)(電)045(228)7739

(毎週木曜日の紙面に掲載)

 

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