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シリーズ940万部、最終65巻も即重版 「落第忍者乱太郎」が愛される理由

緒方麦週刊朝日
忍たまの乱太郎、きり丸、しんべヱの三人組 (c)尼子騒兵衛/朝日小学生新聞

忍たまの乱太郎、きり丸、しんべヱの三人組 (c)尼子騒兵衛/朝日小学生新聞

『落第忍者乱太郎』の作者、尼子騒兵衛さん。自宅の机の上には骨格模型などの資料が置かれている。リハビリを続けながら次回作の構想を練っている=兵庫県尼崎市、撮影・掛祥葉子(写真部)

『落第忍者乱太郎』の作者、尼子騒兵衛さん。自宅の机の上には骨格模型などの資料が置かれている。リハビリを続けながら次回作の構想を練っている=兵庫県尼崎市、撮影・掛祥葉子(写真部)

尼子さんの自宅のガラスケースには、書物やまきびしなど忍者関連の史料が保管されている=兵庫県尼崎市、撮影・掛祥葉子(写真部)

尼子さんの自宅のガラスケースには、書物やまきびしなど忍者関連の史料が保管されている=兵庫県尼崎市、撮影・掛祥葉子(写真部)

単行本の最終65巻は、左が通常版。右の特装版は忍術学園6年生が表紙を飾った。特装版にはアニメ「忍たま乱太郎」の声優の高山みなみさん(乱太郎)、田中真弓さん(きり丸)、一龍斎貞友さん(しんべヱ)の鼎談のなどを収録した小冊子が付く

単行本の最終65巻は、左が通常版。右の特装版は忍術学園6年生が表紙を飾った。特装版にはアニメ「忍たま乱太郎」の声優の高山みなみさん(乱太郎)、田中真弓さん(きり丸)、一龍斎貞友さん(しんべヱ)の鼎談のなどを収録した小冊子が付く

 現在は訪問リハビリや自費でのリハビリを続けている。食事は連日野菜たっぷりのみそ汁を作っているという。

「みそ汁と決まっていれば、何の具を入れるかだけ考えればいい。豚肉だったり、ウィンナーだったり、いろんな具を入れられるので、バリエーションがあっておもしろい。いいおだしをとっていれば結構おいしいです」

 尼崎市出身で、騒々しいことから「尼子騒兵衛」のペンネームをつけた。くのいちと同じで、年齢は非公表。もともと歴史が大好きで、史料を読んで「おもしろい」と感じたことを伝える方法がギャグ漫画だったという。

「野球でも普通のプレーが思わぬ方向に行くと、そこにすき間が生じ、笑いが起こる珍プレーになります。まじめな歴史的事実を乱太郎たちを通して伝えようとすると、ちがう方向へ進んで、結果的に笑いが生じるんだと思います」

 ギャグ漫画でも奥行きのある作品なのは、しっかりした時代考証があるため。ギャグとすぐにわかるものは登場させても、室町・戦国時代に実在したと誤解されるようなものは避ける。例えば自動販売機はOKだが、江戸時代から流通したような小判はNG。アニメの台本もチェックする。

「子供たちが読む新聞の連載だったので、歴史的な事実を大事にしたかった。それと恋愛ネタや下ネタは使わない。好いた、ほれたは描かない。ギャグに困ることはあっても、歴史のネタに困ることはありません」

 初めて連載したのが乱太郎だった。知り合いの漫画家の紹介でスタートした当時は電通の社員で、しばらくは「二足のわらじ」が続いたという。

「1日3ページで3カ月。土日使えばなんとかなるかなと思って引き受けました。途中、大学の通信制で歴史学を勉強する『三足のわらじ』の時期もあった」

 実は、当初は忍者ものではなく、諸国を旅する“お遍路”ものを考えていた。見た目は弱々しいが戦うととても強い少年が、各地を旅するような話を描こうとしていたという。


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