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シリーズ940万部、最終65巻も即重版 「落第忍者乱太郎」が愛される理由

緒方麦週刊朝日
忍たまの乱太郎、きり丸、しんべヱの三人組 (c)尼子騒兵衛/朝日小学生新聞

忍たまの乱太郎、きり丸、しんべヱの三人組 (c)尼子騒兵衛/朝日小学生新聞

『落第忍者乱太郎』の作者、尼子騒兵衛さん。自宅の机の上には骨格模型などの資料が置かれている。リハビリを続けながら次回作の構想を練っている=兵庫県尼崎市、撮影・掛祥葉子(写真部)

『落第忍者乱太郎』の作者、尼子騒兵衛さん。自宅の机の上には骨格模型などの資料が置かれている。リハビリを続けながら次回作の構想を練っている=兵庫県尼崎市、撮影・掛祥葉子(写真部)

尼子さんの自宅のガラスケースには、書物やまきびしなど忍者関連の史料が保管されている=兵庫県尼崎市、撮影・掛祥葉子(写真部)

尼子さんの自宅のガラスケースには、書物やまきびしなど忍者関連の史料が保管されている=兵庫県尼崎市、撮影・掛祥葉子(写真部)

単行本の最終65巻は、左が通常版。右の特装版は忍術学園6年生が表紙を飾った。特装版にはアニメ「忍たま乱太郎」の声優の高山みなみさん(乱太郎)、田中真弓さん(きり丸)、一龍斎貞友さん(しんべヱ)の鼎談のなどを収録した小冊子が付く

単行本の最終65巻は、左が通常版。右の特装版は忍術学園6年生が表紙を飾った。特装版にはアニメ「忍たま乱太郎」の声優の高山みなみさん(乱太郎)、田中真弓さん(きり丸)、一龍斎貞友さん(しんべヱ)の鼎談のなどを収録した小冊子が付く

 描くのは自宅の仕事場。眠くなったら床にそのまま寝て、目が覚めたらまた仕事という生活を30年以上続けてきたという。

「布団も敷かずタオルケット1枚で寝ていた。動かないから便秘にもなる。便秘薬を飲んで下痢になることもあった。脱水症状も起こしていたと思う」

 これまでも、連載の合間に入院や手術を経験してきた。乳がんや脳動脈狭窄(きょうさく)といった大病も患った。

「やり尽くしたというか、一人で描くのがだんだん無理になってきていました。本当はもっと書きたい話があって、きりがいいので70巻まではいきたいなと思っていたんですけどね」

 取材には、明るく次の作品への意欲を語った。

「連載は終わるけど、今度は文章とイラストで乱太郎たちの話を紡いでもいいんじゃないかなと。新しい舞台で乱太郎たちの話を書いてもいいし、(乱太郎ではない)新しいものを書いてもいい。時間的余裕ができたので、選択肢が広がったかなと思います」

 文章を書くために、最近初めてノートパソコンを買ったという。ノートパソコンを活用することで、「どこでも仕事ができる」と意気込む。

 参考になりそうなのが、病気とのつきあい方だ。右手、右足が動かない状態で入院先の作業療法士に教わったのは、ギャグの動きを取り入れた手の運動。「なんでやねん」「コマネチ」「ヨロちくび~」の動きをつなげたものだ。

 病院ではリハビリを兼ねてイラストを描くことも。手の力が入らないため、定規を使いながら時間をかけて描いた。努力の成果もあって、手や足の機能はかなり回復。7月に退院し、ベッドを買うなど生活も見直した。いまもリハビリは続ける。

 元来の前向きな性格が病気を乗り越えるのに役だったという。

「悲観したって仕方ないし、悲観するような性格でもない。入院も嫌いじゃなかった。ご飯が運ばれてきて、お風呂入って、ナイターで阪神戦を見て、“極楽~”なんじゃないかと思っていました」


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