第1回は、「宝くじ販売委託をめぐる利権と闇」である。
1.宝くじは現在、発売元が都道府県、政令市の全国地方自治宝くじ、近畿宝くじともにみずほ銀行に委託されている。これは、戦中の「勝札」以来の「宝くじ」が勧業銀行の受託業務とされ、勧業銀行の破局で第一勧銀、みずほ銀行へと「吸収」合併していく下で生じた結果である。
しかし、みずほ銀行においても宝くじ部門が旧勧業銀行、第一勧銀系の役人以下の「利権」領域となっており、みずほ銀行から再委託を受けた売り捌き業者が甘い汁を得ていると、あるブログで展開されていた。(「日本プロファイル研究所」ブログでは、ハーディスグループ、(株)オーエルシー等の詳しい状況を載せている。)
このことを知ったので、大阪市に対し、この点の情報公開請求をしたところ、実は全国宝くじの東京都も近畿宝くじの大阪府も、当せん金付証票法で定められた再委託業者の具体的審査チェックをほとんどしていないことが判った。
2.みずほ銀行は、自治体宝くじの受理業務について再委託は自由にすることはできない。宝くじは証票法により再委託を認める場合について、自治体は再委託業者の①社会的経済的資質に問題がないこと、②再委託事業の非違行為のないこと、③継続性、④安定性、⑤その他不適正のないこと等の承認基準を公示し、個々の具体的適正さを審査して承認することとしている。
ところが、大阪市の承認手続は、事実上みずほ銀行が承認申請したものをそのまま可として承認しており、承認申請書類には再受託事業者の商業登記簿一つすら添付させておらず、何ら市長は承認を可とする積極材料は示されていないものであった。(全国宝くじの東京都も大阪府も同様)
まさに、再委託をめぐる選定は、情報公開手続をいくらしても事実上みずほ銀行への白紙委任となって不明なのである。これは、証票法6条の再委託先業者は知事や政令都市首長が個別承認を得なければならないという規定を無視しているものである。
3.そして、大阪府、市の再委託先は、(株)オーエルシー(岡社長)のハーディスグループといわれているところが、市は一社でよく売上のあがる222店舗を抑えておりダントツ一位であった。そして、日本プロファイル研究所ブログでいわれるこのような旧勧業銀行、みずほ銀行利権は続いていることが判った。
みずほ銀行を指定銀行とする下で、再受託の段階までもまた利権の闇領域となっているのである。
宝くじの総売上額の15%がみずほ以下受託業者の売上収益となっているから、1兆円の宝くじ売上の中から1500億円の売上は利権領域となり、みずほ銀行以下どう分配するかは宝くじの公正運営にかかわるのである。そして、再委託先の関係者が甘い汁を得ている。
しかし、全国の自治体を大阪府・大阪市も販売売上さえあげればよく、自らの発売する宝くじ販売の利権やその分配には気を配らない。宝くじの運営には全国の自治体の役職者も参加しているが、透明化を図り、説明責任を果たしているとはいえない。ギャンブルには闇があるというが、宝くじも一つの闇世界である。
(Y)