全席グリーン以上、新「踊り子」はここがスゴい

青く輝く「サフィール」2020年春デビュー

JR東日本の新型特急「サフィール踊り子」E261系(撮影:尾形文繁)

緑一色――。麻雀の役満、リューイーソーの話ではない。オールグリーン、つまり、全席がグリーン車またはさらに高級な「プレミアムグリーン車」という列車が2020年春からJR東日本の列車ラインナップに加わるのだ。それは「伊豆半島方面へのプレミアムな鉄道の旅を提供する」ために開発されたE261系という車両である。東京または新宿と伊豆急下田の間を1日1~2往復する。

現在、首都圏と伊豆エリアを結ぶJR東日本の代表的な特急列車といえば、川端康成の小説「伊豆の踊子」にちなんだ名前を冠する「踊り子」と「スーパービュー踊り子」である。

スーパービュー踊り子は一般的な特急料金より若干割高の「A特急料金」を必要とするが、その分、高床式の大きな窓からの見晴らしは抜群だ。伊豆の美しい海や山の景色を楽しむことができる。E261系はスーパービュー踊り子に代わる、伊豆方面へのアクセス特急の新たな主役となる。

「本物の魅力」を発信

近年、都心と伊豆エリアを結ぶ列車が続々と登場している。2016年にはJR東日本が観光列車「伊豆クレイル」を小田原―伊豆急下田間に投入した。土日や休日を中心に運行し、女性客を意識した内装が好評だ。

2017年には東急電鉄が「ザ・ロイヤル・エクスプレス」を横浜―伊豆急下田間にデビューさせた。デザインしたのはJR九州の観光列車のデザインで知られる水戸岡鋭治氏。

伊東ー伊豆急下田間を運営する伊豆急行は東急グループの1社であり、東急としても鉄道で伊豆観光を振興したいという思いがあった。東急の野本弘文社長(当時)は、「この車両をデザインするのは水戸岡鋭治さんしかいない」と語っていた。実際、完成した車両の豪華さは、水戸岡氏が手がけたJR九州のクルーズトレイン「ななつ星in九州」にひけを取らない。

そして、JR東日本は2018年5月、新たな観光特急列車を2020年春に運行することを発表した。JR東日本のプレスリリースにはこう書かれている。

伊豆エリアの「本物の魅力」を世界に発信します――。

「本物の魅力」をカギ括弧で強調しているところに、JR東日本の意気込みが感じられる。

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  • 宇太郎d308bc4e112c
    昨日の夕方、埼京線ですれ違い、
    薄暗かったけど大きなロゴはしっかり見えました。

    高級化路線は、一つの文化としては良いと思います。
    庶民向けの列車もちゃんと残してくれるのであれば。
    up38
    down3
    2019/12/17 06:45
  • アルカリ乾電池2d7a3136c054
    ネーミングについて、近ごろプレミアムが氾濫気味でかえってありふれてしまい安っぽく感じてしまいます。グランクラスでも良かったのでは?
    up12
    down4
    2019/12/17 08:37
  • G.K9eace1547298
    運賃情報も欲しかったなぁ、、、。

    2時間程度の乗車時間でどれ程楽しめるのか?
    ま、そういう意味では食堂車の麺のみは納得できるのかもね。
    up5
    down0
    2019/12/17 10:40
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