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岐阜

時季外れの子育てツバメ、巣立つ 多治見で住民安堵

6日、口を開けるひなにえさを与えようとするツバメの親(左)=多治見市平和町で

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 多治見市平和町のマンション駐車場で時季外れの子育てをしているのが見つかったツバメは、ひなが五羽とも巣立ったことが確認された。氷点下まで下がる朝もあっただけに、見守っていた地元住民からは安堵(あんど)の声が上がった。

 ツバメを毎日観察していた市土岐川観察館アドバイザーの富田増男さん(72)=同市=によると、巣立ったのは七~十一日。一羽ずつ巣から出て、他のひなより体がやや小さめの最後の一羽は、十一日午後一時過ぎに突然巣から飛び去ったという。

 その後、四羽は親鳥とともに飛んでいる姿が確認され、現在は約五十メートル離れた店舗の軒下の巣を夜間のねぐらにしている。ひなが成長して親鳥が巣に入りきれず、巣の端に止まっていたり別の場所で過ごしていたりしている。

 ただ、一羽は巣立ったものの飛び方が不安定で、行方は分かっていない。富田さんは「天敵のカラスに襲われた可能性がある」と話す。

ツバメが子育てしていた巣。羽根が残っている=多治見市平和町で

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 巣の下に落ちていたふんなどを調べたところ、三ミリ前後のユスリカの仲間をえさにしていることが分かった。土岐川の河川敷などに生息しているという。

 富田さんによると、ツバメのひなは通常、巣立ちの後二週間ほど親に同伴し、えさの取り方を学ぶ。今の時季は、さまざまな種類の虫がいる春や夏とは異なるため、捕食の方法を短期間で習得できるかは分からないという。

 巣立ちから十日ほどたつと、通常は家族で温暖な東南アジアに渡る。寒い時季の子育てだったため、このツバメの親子がこのまま多治見で過ごすのか、暖かい地へ旅立つのかは分からない。

 富田さんは「えさがなくなって寒さをしのげるかが心配だが、このまま元気に育っていってほしい」と願っている。

 (真子弘之助)

 

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