クラウド障害、NTTデータ系「一部復旧困難に」

ネット・IT
2019/12/16 20:01

全国約50の自治体で起きたクラウド障害をめぐり、NTTデータ傘下の日本電子計算(東京・千代田)は16日、このうち33自治体でデータの一部が消え、復旧が困難になったと発表した。職員のメールや後期高齢者医療に関する情報などが含まれているという。同社は当初、早期に復旧できるとの見方を示したが、2週間近く障害が続いている。

自治体にクラウドサービスを提供する日本電子計算の山田英司社長は同日記者会見を開き、「クラウドの障害により自治体、住民に大変な迷惑をおかけした」と謝罪した。現状ではデータの復旧は70%にとどまる。

残りのデータのうち15%分は15日、ソフトウエアの不具合と見られる現象でバックアップデータを取得できていないことが判明した。33の自治体が対象で、ウェブサイトや職員のメールシステム、後期高齢者医療制度の手続き関連のシステム、学校のファイルサーバーなどが含まれる。残る15%はバックアップデータから今後、復旧が可能だという。

日本電子計算によると、クラウドサーバーの機器で4日、制御系ソフトの不具合が発生。機器の保存領域が機能不全に陥り、アクセスできなくなったことで業務システムのサーバーなどが停止。大規模なシステム障害に発展した。

同社は6日、復旧のために制御系ソフトを更新。業務システムを動かすサーバーの基本ソフト(OS)を復元しようとしたところ、ディスク上のデータを管理する仕組みに不整合が見つかった。多くのディスク領域でデータを正常に読み書きできなかったため、障害が長期化した。

バックアップの不備による大規模システム障害を巡っては、2012年にヤフー子会社のレンタルサーバー事業者が起こした不具合がある。その際、5600社分の顧客情報やメールシステムなどが消失した。

山田社長はバックアップが取れていなかった残り15%分のデータについて、「クラウド以外のシステムにデータが残っている可能性があり、今後調べる」と述べ、顧客である自治体と個別に協議を進める考えを明らかにした。

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