予防医療のランダム・ウォーカー

内科専門医のblog 〜予防に勝る治療なし〜

運動は高齢者にほど勧めたい

運動は高齢者ほど有効だと思います。 入院中の心臓病の高齢者の方には、ベッドサイドでの簡単な筋トレから開始することが多いです。 簡単な踵上げ、ゴムバンドやチューブをベッドの柵に結んで、手足で引っ張るようなトレーニングなどが代表的です。ストレッチによる関節可動域訓練も開始します。 そこから少し進むと、廊下の歩行を開始することが多いと思います。 安全に運動ができることがある程度わかれば、リハビリ室に移動して、エルゴメーター負荷を始めます。 運動前後には必ず血圧、心拍数、体温をチェックします。 呼吸数も実は大事です。体調が悪い時、病状が悪い時は呼吸パターンが浅く早くなっていたりします。 エルゴメーターとは自転車こぎのことですが、なぜ歩いたり、走ったりをいきなりさせないかというと、転倒のリスクがあるからです。(個人的な考えです) ご高齢の方がトレッドミル(ルームランナー)で後ろに飛ばされて怪我をする例もありますから、慎重になるべきかなと思います。 エルゴは負荷を簡単に調節できるのも良いところです。 この段階になると、ハーフスクワットもできるようになることが多いので、ハーフスクワットを開始します。 その後レッグプレスなどに移行します。 さて、有酸素運動と筋トレですが、ご高齢の方は心肺機能がだんだん落ちてくるため、まずは心肺機能を高めることのできる有酸素運動を中心にしていただいた方がよいかなと思います。 院内、もしくはジムに通えるのであればエルゴメーター、日常に馴染むのはウォーキングです。 筋トレももちろん大事ですが、筋トレは筋肉量を増やす効果のみで、心肺機能の向上は得られないのでうまく使い分けるべきです。 超高齢者であれば、筋トレで筋肉量を増やしてからの方が転倒のリスクが低下しますので、たしかにはじめは筋トレがよいですね。 みなさんの周りのご両親などはもちろん、自分自身にもmodifyして是非応用していただければ幸いです。 体力が低下しているほど、驚く程の効果が得られることが多いです。