森達也の最新作『i 新聞記者ドキュメント』を見てきた。東京新聞の記者・望月衣塑子に密着したドキュメンタリーだ。感想らしい感想がぜんぜん読めないので自分で書いてみる。
望月は菅官房長官への質問で有名になった人だ。森はリベラルだが超能力やオウム、佐村河内守など、異端の人物に密着した変なドキュメンタリーを撮ってる人である。
画面に映し出される望月は、取材らしい取材はしていない。しているのは菅官房長官へ質問しているだけだ。しかし、なぜか周りから気鋭のジャーナリストとして持ち上げられている、そんな状況を写している。森ははっきりと「質問しているだけですよね?」と周囲の人間に聞いている。
さらに、周りからは持ち上げられている望月だが、社内ではどうやらそうでもないようだ。彼女が質問妨害を受けてることを記事にしたいと言うと、上司はまず記事ではなくコラムで書いたら、と言う。望月はコラムを書き上げるのだが、なんとそれは掲載されなかった。
望月への質問妨害は、知る権利を妨害していると望月らは批判する。しかし、望月が官邸で質問している姿を森はカメラで撮ることができない。森は記者クラブの人間じゃないからだ。いろんな人へあたって記者会見に入れないか探るが、どこからも拒絶されてしまう。記者クラブが承認した人間なら入れるらしいが、2013年以降誰も承認されていないという。知る権利を標榜している場所に、フリーランスの森は入れない。そして、望月はそのことになんの疑問も抱いていないし、森のために何か手立てをする素振りも見せない。
矛盾に満ちた光景が映し出されるが、森はそれを批判的に撮ってるわけではない。ただその状況を淡々と見せるだけだ。それはいつも通りの森の作風でもある。オウムや佐村河内守に密着するが、いつも横にいながらどこか突き放したような冷たい態度を取る。それは同じリベラルの望月が対象でも変わらなかった。
しかし、矛盾した光景を撮っているということに、望月たちは気がついているのか、いないのか。これはとても変な映画だ。
民主党らのやったことは否定されがちだが記者クラブ改革はなんとか進められないものなのかな。 ぐぐってみたところ一部記者が廃止したほうが良いと声明を出したりすることはたまに...
具体的にどうやってるかなんてノウハウだからバラすわけがない