人口減の地方でも「マンション好調」のカラクリ

戸建て文化に変化、竣工前に完売の物件も

首都圏を中心に人気の底堅いマンションが、地方都市でも広がっている。写真はイメージ(撮影:今井康一)

10月13日、倉敷駅前のホテルの宴会場はいつになく賑々しかった。地元の新聞社やテレビ局はもとより、倉敷市長や地元議員、商工会議所会頭、果ては倉敷市のゆるキャラ「くらいふ」までが一堂に会した。式典終盤の鏡開きを終えると、割れんばかりの拍手が巻き起こった。

会場となったホテルから道路を挟んだ向かい側では、大型マンションの建設が始まっている。式典は、この工事の着工を祝うために開かれた。

地方都市でタワマンが完売

もともとは古い戸建てや商店、駐車場などが密集していた地域だ。「(商店が)一軒やめ、二軒やめ、どんどん寂れていった。何とかしないとという気持ちがあった」(市街地再開発準備組合で理事長を務めた小寺惠美子さん)。

記念式典の様子。再開発は一大イベントだ(記者撮影)

計画では177戸のマンションや152室を有するホテル、商業施設が誕生する。事業主である旭化成不動産レジデンス西日本営業部の齋藤淳氏は、「倉敷市では最大級だ」と意気込む。倉敷市にとっても、駅前活性化の起爆剤にしたい考えだ。

地方での人口減少が叫ばれて久しいが、旭化成不動産レジデンスはこれまでも地方都市でのマンション開発を数多く手掛けてきた。滋賀・草津駅前の26階建てタワーマンションは竣工前に完売した。和歌山駅前のタワーマンションも好調だ。戸建て文化が根強かった地域でも、マンションが普及しつつある。

不動産経済研究所によれば、首都圏1都3県および近畿圏2府4県を除いた地域のマンション発売戸数は、2018年は2万2216戸だった。リーマンショック以前の毎年4~5万戸には及ばないが、ここ数年横ばいが続いている。デベロッパーは首都圏とは異なる方法で需要を捉え、マンション開発にいそしむ。

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  • 如月五月ブログ/更新6407c324596e
    そもそも、

    地方の人口が今後急速に進むなかで、タワマンを作る
    という発想が時代遅れ。
    岡山のケースでは、隣接する兵庫県の神戸市が「タワ
    マン禁止条例」今年発令されたにもかかわらずだ。

    一方、人口数万人の街に「急坂」「積雪」などの事情を
    考慮して、小規模マンションを市の中心部に建設するのは
    コンパクトシティ化という点からも、評価できると思う。

    住民のために補助金を使うなら後者だと思うのだが。

    up22
    down4
    2019/12/16 10:00
  • 団塊世代7fea2850a161
    地方と言っても政令指定都市レベルは人口は減少していない。その地方の東京のようで周りからの人口流入が進んでいる。北海道の札幌市や東北の仙台市のように。
    その一方で郊外大型住宅団地が寂びれ始めており、便利な中心街に住もうとしても戸建ての住宅地は少ない。それがマンションブームの原因だと思う。建設業者も大都市では土地が高くて事業が出来ないが、政令指定都市レベルなら可能なのだろう。
    up10
    down0
    2019/12/16 10:39
  • 団塊世代7fea2850a161
    私が住む政令指定都市でもこの記事と同じことが起きている。完成前に完売となり、現在建設中のものが幾つもある。娘夫婦がそこに住んでいるが、3割ほどは住んでいないとガス会社の担当者から聞いたらしい。住んでいるのは人気の職業の者。住んでいないのは高齢の富裕層と思われる。老後に住む予定とか、将来の子供夫婦のためとか、相続税対策とか、値上がり期待の資産運用とか。
    up9
    down1
    2019/12/16 09:38
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