癒しの香りたちこめる、ゆずたっぷりスープ

今日ご紹介するのは「ゆずたっぷり白菜スープ」。控えめな味つけが、旬のゆずと白菜のおいしさを最大限に引き立てます。年末で疲れた胃腸にやさしい味わいをどうぞ。

年末の胃腸がほっとする精進素材。

冬の代表的な葉野菜である白菜を、豊かなゆずの香りとほのかな酸味で楽しみましょう。肉や魚は入れずに油揚げを組み合わせ、調味料も塩だけの精進スープです。シンプル仕立てでさっぱりと食べる白菜は、濃いだしが効いたスープとはまた違ったおいしさです。

このスープのもうひとつの特長は、塩を限りなく薄くしてあること。このまま淡い味でいただくのもよし、テーブルに出した塩で、少し味を補うのもよし。自分にぴったりの味を見つけられると、体や心の調子も整います。

ゆずの皮の黄色と白菜の淡い緑の組み合わせも美しく、肉なしでも寂しさは感じません。香りの湯気から季節を感じ取れる、滋味深いひと鍋を、どうぞ楽しんでください。

ゆずたっぷり白菜スープ

材料(2人分)  所要時間20分

白菜 500g
油揚げ 1枚
ゆず 1個
塩 小さじ2
水 700~800mL

▼作り方

1 材料を切る
白菜は、4センチぐらいの幅でそぎ切りにする。油揚げは1㎝幅に切る★1

2 白菜を蒸し煮する
鍋に白菜、水100mLを入れ、ふたをして中火にかけ、7~8分蒸し煮をする。
ふたをあけて油揚げを散らして水をひたひたに加え、塩小さじ1を加えて煮立て、白菜がやわらかくなるまで煮る。

3 ゆずを切って散らす
ゆずのヘタをとって種をはずしながら薄切りにし、鍋に散らす。★2
食卓で塩を好みで加えて食べる。★3


レシピのポイント解説

・白菜の扱い方
・ゆずについて
・味つけについて

★1 白菜の扱い方

白菜は、最近1/4個で売られていますね。白菜のもともとの大きさにもよりますが、700~800gぐらいのことが多いです。20cmの鍋だと500gぐらいがちょうどよいようです。内側の白い部分を4~5枚抜くか、外側の葉を1~2枚抜きましょう。
食べごたえのある外葉は炒め物に、やわらかい内葉は汁物やサラダに向くので、使いみちに合わせてどちらを残してもOKです。

白菜の外葉の根元のほうは、泥が入っていたりすることがあります。葉をはがして洗ってから切りますが、スープなら、切ってからザルに入れて洗ってもいいです。

白菜は、白い芯の部分が厚いので、斜めに刃を入れて、そぐように切ります。こうすると、火の通りがよくなります。


包丁の刃を斜めに入れる。食べやすい大きさでOK

油揚げは、キッチンペーパーで軽く油をおさえてから、1㎝幅に切っておきます。


コクだしに油揚げを使う

鍋に切った白菜を全部入れます。水を100mL加えて中火にかけます。煮えにくい芯を下にしておくとよいでしょう。


写真は20cmの径の鍋。結構いっぱいになるので、最初は白菜だけで蒸し煮してしまう

途中ちょっとふたをあけてみて、ぐつぐつ煮立っていたら弱火に落として結構です。
7~8分たってふたをあけると、白菜のかさがだいぶ減っています。ここに、油揚げを散らして、水を600~700mL加え、ひたひたにします。塩も小さじ1加え、そのままふたをせずに煮立てます。
最初の段階で白菜にはかなり火が入っています。煮立ってからあと数分、煮込みます。白菜は生でも食べられますし、シャキシャキ食感もいいものですが、このスープはやわらかめがおいしいです。


「ひたひた」は、材料がギリギリ水をかぶるぐらい。少しぐらい出ていてもOK

★2ゆずについて

ゆずは、日本でも古くから使われてきた柑橘です。寒さや病気にも強く、独特の香りと、レモンよりおだやかな酸味は、和食に欠かせません。最近ではポン酢醤油などの加工品でゆずになじんでいる人も多いかと思いますが、季節のフレッシュなゆずの香りは全然違います。

ゆずは流水でよく洗いましょう。たわしなどは使わなくて大丈夫です。
切ってみると、わりとスカスカしているのが多いです。ちょっと種が多いので、切りながら種をとっていきましょう。ひとつ、ふたつぐらいは種が残ってもご愛敬です。ここでは1/2個のゆずを、輪切りにするような感じで薄く切っています。


種が結構あるので、取り除きながら切っていくとスムーズ

鍋が煮あがったら火を止めて、ゆずを散らします。今回のスープの一番のポイントですが、ゆずは必ず、食べる直前に入れること。ゆずを入れたままぐつぐつ煮てしまったり、長い時間スープに入れっぱなしにしてしまうと、皮の苦みがスープに移ってしまうのでご注意ください。


ゆずは食べる間際に。あとで食べる人がいる場合は、一度ゆずをひきあげておくとよい

残り半分のゆずは、肉を焼いてかけてもいいですし、味噌汁や炊き込みご飯にちょっと絞ってもおいしいもの。食べる機会がなかったら、お風呂にはいるときに湯船に放り込めば、ゆず湯を楽しめます。

★3味つけについて

このスープに入っている塩は、ほんのわずか。下味程度です。
まずそのままで少し味わって、白菜と油揚げのうまみ、ゆずの酸味と香りを感じてみてください。味が足りないという人のために、卓上に塩をおいて、鍋を食べるときのように、各自が少しずつ足して食べるといいでしょう。


塩はテーブルに。入れすぎ注意!

お疲れ気味の胃腸にやさしく

年末年始は、外食も増えて少し胃腸もお疲れ気味。そんなときは、油分も塩分もひかえたこんな汁物で、少し体をいたわってあげましょう。

ゆずの皮には風邪をひきやすい冬にとりたい栄養素、ビタミンCがたっぷり含まれています。酸味のもとであるクエン酸は疲労回復にも効果的。ノンオイル、糖質もないので、カロリーコントロールにも役立ちます。

鍋ひとつで本当に手軽にできるから、忙しい日にぱっと考えずに作れるのも魅力。お惣菜に頼るときも、こんな手づくりスープをつけるだけで食卓がほっとしますよ。


【アレンジ】肉やうどんを加えて食べごたえアップ

とてもあっさりしたスープですが、肉や魚を加えることで、ボリュームのあるスープに仕上がります。肉なら薄切り肉、魚なら鮭やたら、あるいはホタテなどもよいと思います。
うどんなど麺類を入れる場合は塩気が少しついていないとおいしくないので、めんつゆなどを利用して、少し味をつけましょう。

ゆずと白菜、豚バラ肉のスープ

おあげのかわりに、豚バラ肉を使います。豚肉は、最初から白菜の上に並べて一緒に蒸し、火をしっかり通します。

ゆずと白菜のうどん

基本のスープにめんつゆで味をつけて、麺を入れます。あっさりしたスープなので、うどんは細めの冷凍うどんを使いました。ボリュームはありますが、さらりと食べられるうどんです。

スープ・レッスン

有賀 薫
プレジデント社
2018-09-27

この連載について

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スープ・レッスン

有賀薫

野菜、お好きですか? おいしい旬の野菜を手に入れたら、ぜひシンプルなスープで味わってみてください。旬の野菜をたっぷり食べる、究極のベーシック・スープをスープ作家の有賀薫さんが教えててくれます。

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    コメント

    rosebourbon うわぁこれめっちゃ美味しそう。お休みの日に活用したい…。 約2時間前 replyretweetfavorite

    chiruko_t すだちうどんっぽいビジュアル。  約3時間前 replyretweetfavorite

    kaorun6 年末、ちょっとお疲れ気味の体をゆるりといたわるスープです。| 約3時間前 replyretweetfavorite