ドーモ、@jollyjoesterです🙏
この記事はコミュニティ•カンファレンス運営 Advent Calendar 2019 - Adventarの15日目の記事です。
インターネッツが発達したおかげで海外の情報を英語のまま学ぶ機会が増えて来ていると思います。 となればその情報を発信している人の情報を生で聞きたいということも増えてきているのではないでしょうか?
ここでは海外スピーカーを招聘する際に必要となってくる同時通訳を頼む際のアレコレについて記します。
私はtry! Swift TokyoというSwiftの国際的なカンファレンス(登壇者の7~8割が海外から)や、Mercari Tech Confというメルカリの技術カンファレンス(社内に英語話者が多いため日英サポート必須)の主催をやっていたため、主にその時の経験をお伝えします。
業者
まず業者の選択ですが、通訳の質を最も重要視して選んでいます。 せっかく同時通訳を用意したのに通訳を聞いてもよくわからなかったというのでは残念すぎますよね。
ITという専門領域の通訳なのでその領域に実績のあるところを選ぶのが良いと思います。 (ちなみに私がいつもお世話になっているのはケイワイトレード株式会社さんです)
通訳者のランクもあるので迷わず高いランクの方をお願いしましょう。
基本的に質の良い通訳のために必要なのは
- 発表資料のスライド、スクリプトの事前提出(だいたい1週間前まで)
- スピーカーとの事前打ち合わせ(だいたい当日の朝など、登壇前に行う)
は必須で、さらに
- その領域に特有の日英ワードリスト(だいたい1週間前まで)
があるとより良いと思います。
ワードリストはその領域に特有の固有名詞や、一般的なワードの組み合わせだけどその領域で特有の意味を持つ言葉をリストで渡したりします。 形式は単純で、そのワードの英単語に相当する日本語での訳し方を記載します。
下記はiOS界隈の例ですが、IDEの名前であるXcodeっていう単語があるということや、ViewControllerは訳さなくてそのままビューコントローラーと言ってくれるとわかりやすいよといったことを提供しています。
Xcode, エックスコード ViewController, ビューコントローラー ・・・
お金
基本的には「通訳者の拘束時間+同時通訳ブース+レシーバー」が料金になってきます。
通訳者の拘束時間はもちろん事前打ち合わせも含みます。
同時通訳はとても集中力がいるものなので、長丁場になる場合は休憩、交代も含めて通訳者を確保する必要があります。 例えばtry! Swift Tokyoの場合、2日間フルに同時通訳をお願いしたため、8名の通訳者の方にお世話になりました。
同時通訳ブースやレシーバーについては会場側に用意がある場合もあります。 どちらを使う方がいいかはそれぞれ会場業者、同時通訳業者に話を聞いて決めましょう。
また、通訳音声の2次利用(例えば撮影したセッション動画に同時通訳の音声をあてたいなど)の場合はさらにお金がかかります。
具体的な金額については見積もりを依頼してみてください。
スピーカー
事前準備
同時通訳を導入する際にはスピーカーの協力も不可欠です。
先に述べた
発表資料のスライド、スクリプトの事前提出
というのが大きな点で、最低カンファレンスの1週間前には通訳業者に提供できるのが望ましいです。
通訳業者に提供=その段階までにスピーカーに提出してもらわなければならない=スピーカー資料の提出期限が早まります。
もちろんスピーカーとしてぎりぎりまで資料の作成・推敲をしたい気持ちは痛いほどわかりますので、そのあたりは「運営側の質の良い通訳を提供したい、その方がスピーカーの伝えたいことがより伝わるよ!」って思いをぶつけた上でセッションの品質もできるだけ良いものを提供できるようぎりぎりの調整を頑張りましょう。
同時通訳者に一回提出してから発生した資料の変更点の共有など、地味に工数がかかることも注意です。
当日
事前協力だけでなく、当日のセッションでの話すスピードについても同時通訳を提供するのでできるだけゆっくり話してほしいとスピーカーに協力を求めると良いと思います。
同時通訳を提供していて特に辛かったのはLT(時間が限られているので早口になる)でかつ日→英の通訳(日本語の方が情報密度が高い)の場合でした。そういうパターンの同時通訳は難しいということを認識しておくと良いかと思います。
また、主に当日行うこととして事前打ち合わせがあります。 これはどんなことを話す予定なのか?や、事前提出したスライド・スクリプトなどの不明点を確認する大事な場です。 事前打ち合わせはしっかりやってもらいましょう。
可能であればですが、日英わかるその領域のエンジニアが通訳者とスピーカーの事前打ち合わせのサポートに入れるとなお良いかもしれません。
会場
先に述べたように会場に同時通訳ブースが必要となります。
カンファレンス会場に備え付けの同時通訳ブースがない場合は、同時通訳ブース(簡易プレハブのような設備)をスピーカーが見えやすい位置に設置する必要があります。その分席数が圧迫されるのであらかじめ織り込んでおきましょう。
また長時間通訳が必要で通訳者の交代が必要な場合は、通訳者が休憩できる「通訳者控室」が必要になることもあります。 追加の部屋などを確保する必要があるので通訳業者に確認しておきましょう。
レシーバー
同時通訳は参加者にレシーバーを配布し、そのレシーバーを用いて通訳を聞いてもらうことになります。
同時通訳を提供しているカンファレンスに参加したことがある方は、一度は運営からの「レシーバーを返してください!」というアナウンスを聞いたことがあるのではないでしょうか? 実はレシーバー1つ紛失で数万円とけっこうな痛手になります(これを一度経験するとレシーバーを返却することの大切さがわかります・・・)。
ということで各カンファレンス椅子に固定する、セッションごとに回収する、会場を出る際に回収するなど頑張ったりします。 本来頑張らなくてもいいはずの工数を負うことになるので辛いですが、適度に頑張りつつ、数個くらいなら頑張るより諦めて適正なコスパになるようワークフローを設計しましょう。
まとめ
ということで同時通訳の手配の仕方についてアレコレ書いてみました。 今後カンファレンスで同時通訳を導入する方の参考になれば幸いです。