オリックスに日本球界初の女性スカウトが誕生する。来年1月1日付でソフトボールの北京五輪金メダリスト、乾絵美さん(36)をアマチュアスカウトに起用。五輪イヤーに金メダリストを加え、逸材発掘を目指す。
乾さんは日本代表の捕手としてアテネ、北京両五輪に参加。銅メダルと金メダルの獲得に貢献した。今も日本代表のエースに君臨する上野由岐子投手(37)=ビックカメラ高崎=ともバッテリーを組んだ。
現役引退後の2010年3月にオリックスに入団し、現在は球団事業運営部コミュニティグループに在籍。ジュニアチームや地域の野球普及活動にも携わってきた。高校野球の大阪予選などが開催される大阪信金スタジアムの運営業務も兼ねてきたが、スカウティングは未経験。乾さんの抜てきについて、球団関係者は「固定観念にとらわれない視点で選手を見てもらえる人を探していた。たまたま女性だったということです」と説明した。
年末に札幌ドームで行われるNPB12球団ジュニアトーナメントへ向けた準備があるため、本格始動は年明けから。他のスカウトと同様に担当地域を持ち、アマチュア選手を追いかけることになる。独自の視点は、これまで見逃されてきた才能を見いだすかもしれない。
<乾絵美(いぬい・えみ)> 1983(昭和58)年10月26日生まれ、兵庫県加古川市出身の36歳。2002年に神戸常盤女高から上野由岐子投手の剛速球を捕れる捕手として日立&ルネサス高崎に入社。03年に日本代表入り。04年アテネ五輪は出番がなかったが、08年北京五輪では初戦で先発マスクを任されるなど5試合に出場して金メダルに貢献。同年秋にはチームとして紫綬褒章を受章。09年に現役引退。