「いだてん」視聴率低迷でも神最終回確信のワケ

大河史上ワーストでもクドカンの手腕に期待

NHKの大河ドラマ「いだてん」は12月15日に最終回を迎えます(写真:共同通信社)

「#いだてん最高じゃんねぇ」というハッシュタグがある。NHK「いだてん」後半の主人公=田畑政治(阿部サダヲ)の口癖をもじった「いだてん」応援タグである。

12月15日の最終回に向けて、このハッシュタグが、ここ数日かなり盛り上がっている。世間的には盛り上がらなかったという烙印を押された格好の「いだてん」だが、コアな層はいよいよピークを迎えつつあるという「2層構造」になっているのだ。

今回は、最終回を目前にしたこのタイミングで、この「2層構造」の実態を総括したいと思う。「いだてん」の1年間を冷静に振り返りつつ、最終回に向けた期待を述べてみたい。

視聴率の低迷にあえいだ「いだてん」

正直、「いだてん」の1年間は苦闘の1年間だった。視聴率が低迷し続けたのだ。

初回こそ15.5%を記録するも、だんだんと高度を下げ、2月10日放送の第6話で9.9%と初の1ケタ台に落ち込み、それから12月8日の第46話に至るまで、実に41話連続で1ケタ台が続いている(数字は関東地区、ビデオリサーチ調べ)。

それどころか、不幸にもラグビーワールドカップ(日本対スコットランド戦)の裏で放送されることになった第39話は何と3.7%で、大河ドラマ史上最低視聴率を更新することとなる(第39回「懐かしの満州」はいわゆる「神回」だっただけに惜しかった)。

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視聴率低迷の原因は、すでに多く語られているが、まずは「大河(ドラマ)らしくなさ」だろう。

「ある1人の歴史的英雄の人生を、1年間かけてじっくりと追っていく」のが「大河らしさ」とすると、金栗四三や田畑政治という(西郷隆盛や明智光秀に比べたら)無名の2人を主人公としたことは、大河ファンの需要と合わなかったはずだ。

また、今年2月の段階で筆者が本連載「大河『いだてん』からそれでも目が離せない理由」で指摘した、「情報洪水」とでも言うべき、展開がやたらと忙しい濃密な脚本も、シニア層を多く含有する大河ファンから忌避されたと思われる。

さらに、競合の脅威にもさらされた。

そう、テレビ朝日「ポツンと一軒家」である。こちらの視聴率は絶好調で、10%台後半を安定的にたたき出し、9月29日放送分では史上最高の20.8%を記録している。

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  • rorc2d538983107
    大河で扱う時代物のネタはとうに出尽くしてしまっており、近年は同じ主人公の別バージョンかほとんど知られていない小物の物語かになりがちで、視聴率の下落傾向は明らかだった。私自身、大河からは遠ざかっていた。しかし、いだてんは面白い。と言っても、実は記事にもある裏番組を見ているので、いだてんは土曜の再放送で見ているため、視聴率には貢献していない。大河の歴史に残る番組だと思うので、低視聴率というレッテルではなく、良い作品として後生に残ってほしい。
    up55
    down20
    2019/12/14 10:29
  • D.Kbd5d9735991d
    政治がスポーツにカネも口も出す、田畑自身がかつて引き金を引いたこのテーマの始末の付け方は見事だと思いました。
    up28
    down13
    2019/12/14 09:24
  • 乾 巧eed1f68a3d31
    このスージー鈴木という人はあらかじめNHKで試写を見ていたのか?

    これまでの駄作ぶりが嘘のような感動、神がかった最終回だったじゃないか。「秋晴れ」と「どしゃぶり」の科白は涙なしには見れんかった。これまでのエピソードもう少し脚本、構成変えれば最高傑作とまでいかんでもまずまず面白い大河になっていたんじゃないかと思えば残念。

    おまけ
    低視聴率の原因はいろいろあるけど根本的に1年間ストーリーがつまらんかった。
    役者も主要メンバーでよかったのは森山未来だけ。いっそ老けてからの志ん生も森山君にやらせればよかったのでは(途中からナレーション交代したのは正解)。
    四三も田畑もやたらギャンギャン大声で騒ぐのでウザいし、リアリティがない。特に田畑、いくら破天荒な人柄だったとはいえあの時代にあの態度はありえない。
    up0
    down0
    2019/12/16 09:45
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